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これから
しおりを挟むあれから5年経った。私は大学に入学し考古学の勉強をしていた。今年に論文を出して院に行く予定だ。
モモトセはおもちゃ会社の製作部に就職した。そのルックスで広告塔にされているのは若干嫌そうではあるが、アイドル時代のファンがモモトセを大切にしてくれているので少しはやる気も出てきたそうだ。…妬ける。
私たちは結婚した。約束通りモモトセが18歳になった時に籍を入れた。プロポーズは…恥ずかしいので2人の秘密という事にしておく。
大学と職場の間くらいに少し広めのアパートを借りてモモトセのお母さんと3人で暮らしていた。モモトセのお母さんは言葉もだいぶ話せるようになり、元のお嬢様に戻りつつあった。私の両親とトルストイさんのお墓は私たちがもともと住んでいた居住区のあたりの霊園に建てさせてもらった。彼らも安らかに過ごしていることを願うのみだった。
今日はうちでホームパーティーの予定だ。
「おーい、ツヅリ!」
「アースィム!エミリー!ようこそ」
今日はモモトセの誕生日と結婚記念日のお祝いだった。2人の仲のいい人たちで小さなパーティを開くのが恒例になっていた。
「はぁまたモモトセのバカのお祝いに来ちゃったわ~」
アースィムはあれからモモトセとかなり仲良くなっていた。なんなら2人で遊びにいっていることもあるくらいだった。羨ましい…。
エミリーも第二子が生まれて母としての貫禄が出てきていた。
「はぁ~い♡ツヅリちゃん」
「こんにちは!お世話になるぞ」
アテニャンさんと彼氏さん、ホワイトさんも来てくれた。アテニャンさんは最近呑み友達になっていた。ホワイトさんはモモトセとはたまに会っているらしく、この2人も意外と気が合うようだった。
「おーい、ここにオレきても浮かない?」
「私も浮きそうなんですが…」
「そろそろワシも浮かないようになりたいわ」
コスモさんとミラーさん、ハッカイさんも来てくれた。ミラーさんはアイドル事務所の偉い人になったらしくほとんど会うことは無くなってしまったがこういう機会の時は顔を見せてくれる。
コスモさんは大学にツムギさんの後釜として遺伝子組み換えの件についての処理を任されていた。コスモさんはこの中で一番よく会う人だった。
ハッカイさんは親のいなくなった私に父のように頼っていいと言われた。ツンデレのツンがかなり多いが別に悪い人じゃなさそうだった。モモトセともまだわだかまりはあるものの以前よりは自然に接していた。
「じゃあ皆さんも揃いましたので、モモトセを呼んできますね」
別室に移動してもらっていたモモトセとチトセさんをパーティ会場へ移動してもらった。
「「「「お誕生日&結婚記念日おめでとう」」」」
そうしてクラッカーが鳴り響いていた。コスモさんはボソッと「まるでモモトセとチトセの記念日みたいだよな」と言っていたが無視をしておいた。
「あの、盛り上がっているところに申し訳ないのですが、報告があります」
これは誰にも言っていないとっておきの秘密だった。
私はお腹に手を当てて、みんなに伝えた。
「私 」
どうか、これから生まれる新しい命が“生きていて良かった“と思えるような未来をみんなで作っていけたら良いと願った。
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