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拾参
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目が覚めると見知らぬ部屋に連れてこられて縛られていた。あたりを見渡すとアンリ先輩と見たことない男性が立っていた。
「おはよう。モモトセ」
アンリ先輩はアイドル時代の話し方に戻っていた。こうして柔らかさと鋭さを持ち合わせていた。これがアンリ先輩だったなと思い出していた。
「なにが目的なん」
「最初からずっといってるはずだけど、我慢しろって」
「……」
そうだ。話半分にして流していたが、アンリ先輩は俺がツヅリに対して過剰に接近していることを我慢しろといってきた。それは間違っていない。でも、心と体がチグハグで思ってるようにいかないのだ。
椅子に縛りつけられて周りに妖しいお香が焚かれていた。
アンリ先輩は俺の膝下にしゃがみ込み下から覗いてきた。
「あんなの動物と一緒だけど。どう思う?自分で」
「……返す言葉もございません」
だんだんぼんやりしてきた。思考力が奪われ、いくつか簡単な質問をされたが、質問に対して素直に答えるようになってきていた。
「ツヅリちゃんをどうしたいの?」
そう問われた。そんなのきまってる
「おれのものにしたい。ひとりじめしたい。さわりたい。えがおにしたい。よろこんでほしい。……しわあせにしたい」
「モモトセ自身はどうなの?自分を犠牲にしてまでそうなって欲しいの?」
「もちろん」
そんなの考えるまでもない。俺はツヅリのために生きている。
「それがダメだって言ってるのわからない?一方的なんだよ」
アンリ先輩に両手で顔を持ち上げられた。
「アタシはモモトセとツヅリちゃんが心から幸せになって欲しいの」
そんなの言われなくても幸せにする。絶対。なにをしてでも。でも俺も幸せにならんといけんの?ツヅリが幸せやったら俺も幸せや。
「最初は距離を取っていると頭が冷えるかと思ったけど違ったね」
「まぁ、そこらへんにして」
隣にいた男性がまた別の男性を連れてきた。俺の中の人をやってたKという男や。本名は秘匿でほとんどの人が知らないらしい。
「アンリは本当に真面目でいい子だな。2人の最善の道を選ばせてあげようとする姿勢は偉いよ。でもモモトセガキンチョよ。諭したところで意味の3割も理解してないぞ」
また女性らしく話始めたアンリ先輩はKの発言に不満があるようやった。
「でもこの2人は結婚するのよ?そしたら好きだという気持ちだけではダメじゃない。自分のいう土台があって、“パートナー“として過ごしていかなかなきゃ。ツヅリちゃんはきっとパートナーを求めているはずよ」
本当にこの人には頭が上がらないと思った。数日しか過ごしていないのに言っていることが的を得ている。
ツヅリの目標は“自立“なのだ。なので、恋に溺れるのではなく人として自立したパートナーと共に過ごす事を求めているのだろう。
「アンリ達はお互いがしっかりと育ち、しっかりと自分を持って生きてこれたからそう思えるのさ。モモトセはこの未完成でチグハグな感じが放っておけなくて魅力なのにな」
Kが来た事により立ち上がったアンリ先輩を押しのけて目の前にKがきた。
「どうだ。ツヅリちゃんを目の前にすると抗えないだろう」
「…なんで、知ってる」
「モモトセ、お前意外と思考はしっかりしてるんだな。オレらは事前に薬が効きにくくなるようにしてたんだが」
また頭を撫でられた。こいつはいつもそうだ。子供扱いをしてくる。話し方もおっさんみたいだが、見た目は完全に俺より年下に見えるくらい幼いのだ。
「オレが知ってるのはツヅリの両親だ。ツヅリの母親はものすごい“チャーム“の持ち主でな。男も女もどちらもすぐに虜になるんだ。その遺伝子を継いでるから。母親ほどはいかないが少々チャームが出ているはずだ」
アンリ先輩は驚いた顔をしていた。だが納得したような顔もしていたので心当たりがあるのだろう。
チャームとは生まれる前に遺伝子を自分の思った通りに出来る生殖技術の中で付与される可能性のある別の能力の1つだった。
「モモトセはそれにまんまと当てられた訳だ」
そう言ってゲラゲラ笑っていた。アンリ先輩はそれを咎めてきて俺にごめんなさいと謝った。
「ツヅリちゃんにチャームがあったのなら仕方ないかもしれないわ。それは本当にごめんなさい。そして今も辛いわよね。でもそれなら尚更アタシがいってることは正しいわ。性的に迫ってもきっと好きって気持ちをわかってもらいにくいわ。彼女は周りの人にそうやって接せられちゃうのよ?」
「アンリ、お前本当にド正論パンチマンだな~。それはきっと何となくわかってはいると思うぞ?オレは逆に一発ヤるのがいいとおもう」
Kがそういうとアンリ先輩はKの頭を叩いていた。アンリ先輩はもう1人の男性にヤダ~と泣きついていた。どうやら恋人だったようだ。
「何事も経験よ、経験。たとえツヅリがチャームもちで惹かれててモモトセが本当の意味で好きじゃないかもって思ってるかもしれないが、お前の本音を聞いたら結構お前ちゃんとツヅリのこと好きそうだったからな。あとお前らが遺伝子的に1番相性がいいんだから余計にそうなるんだ。その気持ちは自然な事だ、否定せずに受け入れたらいい」
Kのことは苦手だったが、今回のことでもっと苦手になった。この人はこうやって痒いところに手が伸びてくるのだ。
「だからもう素直にいこうぜ。あの子は線引きがうまいだろ?ほらあのアースィムってやつに対しては特に線を引いてるだろ?でもモモトセに迫られても満更でもなさそうだったぞ」
「ホンマ、お前何者やねん。どこまで知ってんの」
「いやぁ~オレ実はお前らの近くに住んでんの。だから色々見ちゃったり~聞いちゃったり~して~。あそこにいるのはお前らのこととは関係ないよ、別件。でもあのアースィムという子には気をつけておきな。あいつの目は素人じゃない」
そう言ったKも鋭い眼差しをして、宙を睨んでいた。
「おはよう。モモトセ」
アンリ先輩はアイドル時代の話し方に戻っていた。こうして柔らかさと鋭さを持ち合わせていた。これがアンリ先輩だったなと思い出していた。
「なにが目的なん」
「最初からずっといってるはずだけど、我慢しろって」
「……」
そうだ。話半分にして流していたが、アンリ先輩は俺がツヅリに対して過剰に接近していることを我慢しろといってきた。それは間違っていない。でも、心と体がチグハグで思ってるようにいかないのだ。
椅子に縛りつけられて周りに妖しいお香が焚かれていた。
アンリ先輩は俺の膝下にしゃがみ込み下から覗いてきた。
「あんなの動物と一緒だけど。どう思う?自分で」
「……返す言葉もございません」
だんだんぼんやりしてきた。思考力が奪われ、いくつか簡単な質問をされたが、質問に対して素直に答えるようになってきていた。
「ツヅリちゃんをどうしたいの?」
そう問われた。そんなのきまってる
「おれのものにしたい。ひとりじめしたい。さわりたい。えがおにしたい。よろこんでほしい。……しわあせにしたい」
「モモトセ自身はどうなの?自分を犠牲にしてまでそうなって欲しいの?」
「もちろん」
そんなの考えるまでもない。俺はツヅリのために生きている。
「それがダメだって言ってるのわからない?一方的なんだよ」
アンリ先輩に両手で顔を持ち上げられた。
「アタシはモモトセとツヅリちゃんが心から幸せになって欲しいの」
そんなの言われなくても幸せにする。絶対。なにをしてでも。でも俺も幸せにならんといけんの?ツヅリが幸せやったら俺も幸せや。
「最初は距離を取っていると頭が冷えるかと思ったけど違ったね」
「まぁ、そこらへんにして」
隣にいた男性がまた別の男性を連れてきた。俺の中の人をやってたKという男や。本名は秘匿でほとんどの人が知らないらしい。
「アンリは本当に真面目でいい子だな。2人の最善の道を選ばせてあげようとする姿勢は偉いよ。でもモモトセガキンチョよ。諭したところで意味の3割も理解してないぞ」
また女性らしく話始めたアンリ先輩はKの発言に不満があるようやった。
「でもこの2人は結婚するのよ?そしたら好きだという気持ちだけではダメじゃない。自分のいう土台があって、“パートナー“として過ごしていかなかなきゃ。ツヅリちゃんはきっとパートナーを求めているはずよ」
本当にこの人には頭が上がらないと思った。数日しか過ごしていないのに言っていることが的を得ている。
ツヅリの目標は“自立“なのだ。なので、恋に溺れるのではなく人として自立したパートナーと共に過ごす事を求めているのだろう。
「アンリ達はお互いがしっかりと育ち、しっかりと自分を持って生きてこれたからそう思えるのさ。モモトセはこの未完成でチグハグな感じが放っておけなくて魅力なのにな」
Kが来た事により立ち上がったアンリ先輩を押しのけて目の前にKがきた。
「どうだ。ツヅリちゃんを目の前にすると抗えないだろう」
「…なんで、知ってる」
「モモトセ、お前意外と思考はしっかりしてるんだな。オレらは事前に薬が効きにくくなるようにしてたんだが」
また頭を撫でられた。こいつはいつもそうだ。子供扱いをしてくる。話し方もおっさんみたいだが、見た目は完全に俺より年下に見えるくらい幼いのだ。
「オレが知ってるのはツヅリの両親だ。ツヅリの母親はものすごい“チャーム“の持ち主でな。男も女もどちらもすぐに虜になるんだ。その遺伝子を継いでるから。母親ほどはいかないが少々チャームが出ているはずだ」
アンリ先輩は驚いた顔をしていた。だが納得したような顔もしていたので心当たりがあるのだろう。
チャームとは生まれる前に遺伝子を自分の思った通りに出来る生殖技術の中で付与される可能性のある別の能力の1つだった。
「モモトセはそれにまんまと当てられた訳だ」
そう言ってゲラゲラ笑っていた。アンリ先輩はそれを咎めてきて俺にごめんなさいと謝った。
「ツヅリちゃんにチャームがあったのなら仕方ないかもしれないわ。それは本当にごめんなさい。そして今も辛いわよね。でもそれなら尚更アタシがいってることは正しいわ。性的に迫ってもきっと好きって気持ちをわかってもらいにくいわ。彼女は周りの人にそうやって接せられちゃうのよ?」
「アンリ、お前本当にド正論パンチマンだな~。それはきっと何となくわかってはいると思うぞ?オレは逆に一発ヤるのがいいとおもう」
Kがそういうとアンリ先輩はKの頭を叩いていた。アンリ先輩はもう1人の男性にヤダ~と泣きついていた。どうやら恋人だったようだ。
「何事も経験よ、経験。たとえツヅリがチャームもちで惹かれててモモトセが本当の意味で好きじゃないかもって思ってるかもしれないが、お前の本音を聞いたら結構お前ちゃんとツヅリのこと好きそうだったからな。あとお前らが遺伝子的に1番相性がいいんだから余計にそうなるんだ。その気持ちは自然な事だ、否定せずに受け入れたらいい」
Kのことは苦手だったが、今回のことでもっと苦手になった。この人はこうやって痒いところに手が伸びてくるのだ。
「だからもう素直にいこうぜ。あの子は線引きがうまいだろ?ほらあのアースィムってやつに対しては特に線を引いてるだろ?でもモモトセに迫られても満更でもなさそうだったぞ」
「ホンマ、お前何者やねん。どこまで知ってんの」
「いやぁ~オレ実はお前らの近くに住んでんの。だから色々見ちゃったり~聞いちゃったり~して~。あそこにいるのはお前らのこととは関係ないよ、別件。でもあのアースィムという子には気をつけておきな。あいつの目は素人じゃない」
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