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しおりを挟む「アイドルって素晴らしい…」
私はモモトセに会えない間インターネットを駆使してモモトセのアイドル時代の映像やらMVやらを調べては感激していた。
明日アテニャンさんが帰るといっていたので、明日中にはモモトセも帰ってくると思うが、この3日間のうちに私はできる事をする事にした。
1つは仕事のこと。就職活動は休んでいるが、どの職種に進むかは決めてしまった方がいいと考えていた。そのきっかけはアテニャンさんと話をして刺激をもらったからだ。アテニャンさんは本当にファッションのことが好きで何着か服もプレゼントしてくれた。メイクなども私ができる範囲のことで最大限教えてくれた。その時のアテニャンさんは生き生きとしていた。私もそのように生きたいと思った。
自分が興味があるのは考古学だ。でもそこに進むには大学に入って発掘調査をしなければならない。とりあえずは大学に行かなければならない。特待生であれば学費は免除であり、発掘作業も参加できる。なので、そこに向けて勉強する事にした。
2つめはモモトセのことをもっと知りたいと思った。私は本当に勉強不足だったなと感じた。モモトセのあの執着っぷりや自信のなさはどこからくるのだろうかと思っていた。過去のことを簡単に話してくれてたが、“アイドルのモモトセ“と“ただのモモトセ“は違うのだと痛感している。…モモトセ本人が言ってたように“お人形“なのだ。
しかし、そこに違和感をずっと感じていた。
モモトセは自信はなさそうだが歌が上手い。別に人が当てているのは低音でセクシーな感じだが、モモトセ本人の歌声はハリがあり透き通る声だ。高めかやや中間ぐらいの声で聞きやすい声である。
それにダンスだって上手い。そもそも神経で繋がって他人が体を動かしていたとしても、それについていける運動能力がないと難しいことなのでは無いか。神経伝達の書物も読んでみて考えてみたが、結局体を壊してしまったのだ。それ以上は考えるのはやめた。
問題は別にある気がする。モモトセはモモトセ自身でアイドルを十分にやれる素質、才能があるのになぜそれを他人に任せてまで表舞台に立たないといけなかったのか。
モモトセのアイドル映像を見ての休憩は一旦置いておき、“クゼ家“について調べる事にした。
「ふむふむ、クゼ家は1000年以上続く芸能一家であり、その活躍の幅は多岐に渡ると」
歌手、俳優、オペラ、画家、楽器演奏者など多くの芸術家を輩出している名門の家である。大きな家であったが、500年前のアンドロイドとの大戦争で多くの人が命を落とした時にクゼ家の者も命を落としてしまっていた。
そのあたりの概要はひとまずこの辺りでいいとしてモモトセに関することが載っていないか探してみた。
そういえば、モモトセのご両親はお見合いのことどう思っているのだろうか。自分は孤児なので疑問にすら思わなかったが、モモトセは未成年なので親の同意がないとお見合いも結婚も出来ない。 と、いうことは既に亡くなっているか居るけど関わりがないかになる。
検索してみると父の名前だけ出てきた。
「ハッカイ・クゼさん…」
彼は有名な作曲家だそうだ。モモトセのグループにも曲を提供している。あのハイセンスオシャレ曲はこの方から生まれていたのか…感動。
お父さんとモトトセは顔が全く似ていなかった。色味は全体的に色素は薄いが、目の形もモモトセは溢れるくらい大きいが、お父さんは切長だった。ただ男性らしいスタイルはどことなく似ている気がした。
この顔見覚えがある。そんな気がしたが、他人の空似だろうと深く考えなかった。
モモトセのお父さんはどうやら8人兄弟だそうだ。その兄妹たちも華々しく歌手や画家などの有名人勢揃いであった。6人目まで存命であったが7人目だけ亡くなっていた。その人がふと気になり、より詳しく調べてみる事にした。
「ナナミ・クゼさん…」
どうやらこの方はアイドルだったそうだ。ソロで活動していたらしく伝説のアイドルとして語り継がれていた。
「えっ……モモトセにそっくり」
検索を進めるとナナミさんの過去の画像などが出てきたが、外見がモモトセそっくりであったのだ。
「なにこれ…。こんなに似ているのに話題にすらなってないのも違和感がある」
ここまで似ていたらモモトセの父はハッカイさんではなくナナミさんなのでは?!くらい話題になってもいいだろう。実際ナナミさんは伝説のアイドルなのだ。
それに亡くなっているという事実だけ記載はあるが、何故亡くなったなどは一切触れられてなかった。意図的に揉み消されている。ナナミさんの歌や映像なども一切ない。あるのは簡単なプロフィールと写真のみ。
何かある…。しかしこの手の調べ物は1人では難しい。だが、相手も選ばないと下手すると私は命を落としかねない。慎重に動く事にしよう…。
そんな事を考えているともう日付が変わる時間になっていたので明日に備えて寝る事にした。
明日はモモトセが帰ってくる。夜はアースィムとご飯だ。何か作って待っとこう。そして明後日以降に私のこの気持ちをモモトセに話してみよう。そう思って眠りに入った。
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