サブスクを止めるー闘病短歌

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十三、

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●重粒子線治療を終える。結果はまだ分からない。が、とにかく新年を自宅で迎えることができ、八月に覚悟した事態よりは断然、マシな状況。それだけ、生への執着が強く甦るのも仕方がないこと。
一方で覚悟する猶予も与えぬ天災。そこにせめてもの支援をと意思表示することは、命があれば指一本で果たせる。新年から再開した抗癌剤治療は、思いのほか強い副作用で、身体は思うに任せない。
鬼の歌は、体験描写なのだけれど…、夢と思っていただくしかないだろうな。



百八の 煩悩凌ぐ 大煩悩
膵癌抱え まだ死にたくない 

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年を越す 
ただそれだけが
有難く 尊いことと 
癌が教える

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初詣
祈る
来年 再訪し
もう一年と 強請れる自分

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生きてくれ
俺も生きる と
義援金
病の指でも
為せることあり

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腹腔に とぐろを巻いた 竜がいる
命を守り 削る 抗癌剤

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真夜中に
一本角の 鬼が来て
何か囁き 帰っていった

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