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プロローグ 戦国乱世と小さき領地
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きっかけは稲作の不良であったのかもしれないし、あるいは天下人というものには一族郎党で乾坤一擲の勝負を挑む価値でもあるのかもしれない。どちらにせよ、互いへの不信感は絶頂に達して、現下において大名同士の争いの絶えない乱世となったのである。
しかし、そのような時代にあっても、天下を欲する武将からは見向きもされない小さな山間の領地はあった。
周囲を小高い山々に囲まれているので、山岳から伝って下りる冷気で稲は痛みやすく、夏場には水害も多いので、けっして稲作に向いていると言えない土地である。そこに暮らす民は総勢で六千ほどで、それを支配する侍は足軽を含めても二千もいなかった。
この領地を代々と治めるのは元を辿れば農民ではあるが、後に国人勢力と主従関係を結んで身を興した、地侍の一族である。
しかし、そのような時代にあっても、天下を欲する武将からは見向きもされない小さな山間の領地はあった。
周囲を小高い山々に囲まれているので、山岳から伝って下りる冷気で稲は痛みやすく、夏場には水害も多いので、けっして稲作に向いていると言えない土地である。そこに暮らす民は総勢で六千ほどで、それを支配する侍は足軽を含めても二千もいなかった。
この領地を代々と治めるのは元を辿れば農民ではあるが、後に国人勢力と主従関係を結んで身を興した、地侍の一族である。
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