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第三章 半世紀後の世界。
後輩に活躍させたい企画物。
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大黒林の南西、森と平原の境にあたるところでハコダンテ軍が複数のテントを設営してから二日目に入った。
朝晩は冷える気候の為に兵士達は焚き火を囲んで朝食を取っていた。
「おい聞いたか?」
「何がだ?」
「昨日の夜も上官のテントに奴隷隊の一人が連れ込まれたらしいぜ?」
「またかよ。くそ、俺達だって一人くらい楽しみにいただいてもいいのによ……」
話題に悪態をつく兵士に周りも同意する。
これから自分達は大黒林に潜んでいるかもしれない危険な化け物の種類と居場所を調査しなくてはならないからだ。
大黒林はハコダンテ国にとって貴重な木材の資源であるがそれは端の部分だけで中には魔獣や毒草など危険がうようよしており素人が誤って入らないように柵などの対策をとって封じ込めていたつもりだった。
しかし上からの報告で観測所を消し飛ばした魔獣が現れたことが知らされ王の命令でまずは調査する為に派遣されたというわけだ。
「どんな魔獣だと思う?」
「さあな、だが小さいとはいえ観測所を消し飛ばしたってならばアースドラゴン系かもしれないぞ。」
「それは大げさだろう。もしそうだったら消し飛ばされるより前に観測所の装置が検知していたはずだ。」
様々な憶測を兵士達が立てているとベルの音が鳴り響く。
集合の合図であるベルに兵士達は兜を脇に抱えて所定の位置に集まって並ぶ。
その右端にあたる列にエルフ族だけの集団がいた。
男女入り交じっているが全員の装備が革の防具に使い古しの弓矢と剣であり首には黒い模様が刻まれた首輪を着けていた。
エルフ達の表情はすでに憔悴しきった様子で寝不足な者もいるようだった。
集合が済むと用意されてる高台へ少々下腹が出ている今回の調査隊の隊長が立って形式なのか気をつけからの敬礼を取ってから手を下ろすと口を開いた。
「諸君、先刻伝えた通りこの大黒林に危険な魔獣が生息している可能性があり我々はその調査にやってきた。心してかかるように。」
背筋を反らして話す上官に兵士達も気を引き締める。
しかし隊長は急に笑みを浮かべると笑って見せてから言う。
「なんてな。単純に言えば魔獣を見つけたなら遠くから調査して帰る。見つからなかったらそれまでだ。明るい内に奥まで行き過ぎずに調査して、明後日の期日には全員で帰って後はギルドに任せればいい。」
隊長の言葉に兵士達の間から笑みがこぼれ場が和む。
それでも右端の一団に変化はなく暗い雰囲気が漂っていた。
「それに、いざとなったら時間稼ぎの盾もあるからな。だがサボるような行動は取るなよ?なんなら一番に魔獣を見つけた奴には女を使ってもいいぞ。」
鼻の下の髭をいじりながら隊長が言えば兵士達は活気を漲らせてみせる。
彼らの反応をエルフの一団は悔しさと憎しみの表情を地面に向けていた。
「よおし、それでは早速調査に……」
やる気に満ち溢れた兵士達へ隊長が出発の合図を出そうとした時だった。
背後から子どもの泣き声がしたような気がして森の方を振り返る。
近くにいた副隊長が声をかけると静かにするよう伝えてから隊長は森を凝視する。
「…ぇーん…ぇーん…ぇーん……」
すると森から顔を両手で覆いながらオレンジ色の髪にボロボロのワンピース姿の子どもが出てきたではないか。
これにはさすがにエルフの一団を含めた全員が驚く。
「き、君、大丈夫か?」
子どもを見て副隊長が駆け寄ると声をかけてあげた。
声をかけてくれた相手に子どもは手を下ろさずに尋ねてきた。
「うぅ…ここはどこ?パパとママは?」
「ここは森の端だ。君は森に入っていたのかい?」
「うん、旅をしてて野宿しようと森に入ったの。でも化け物が現れてパパとママが逃がしてくれて……」
そこでまた泣き声を上げる子どもに副隊長は抱き寄せてよしよしと背中を優しく叩いてあげた。
子どもの口から化け物と出たのでもしかしたらと思った隊長が近寄って尋ねた。
「化け物と言ったな君?どんな奴だった?色は?大きさは?」
「隊長、今は保護して気持ちを落ち着かせないと話せるものも話せません。」
「大事なことなのだ。どこで見たかくらいわかれば探索しやすいだろう?」
気を早める隊長を後ろに副隊長は眉を寄せつつ優しい口調で尋ねてあげた。
尋ねられてから少しして子どもは泣き止むと肩を震わせながら言った。
「色はね、真っ黒なの。でもつやつや光ってて綺麗なんだ……」
「え?き、綺麗…?」
「そう、綺麗なの。だって……」
当てていた両手を離して子どもが顔を見せた時、副隊長の表情が一気に恐怖に染まった。
「ボクの顔も綺麗にされちゃったからぁ!」
何故なら子どもの顔がまるで磨かれた壁のように光沢のある何もないのっぺらぼうだったからだ。
同じく見ていた隊長は悲鳴を上げて腰を抜かし副隊長は子どもを突き飛ばして立ち上がる。
突き飛ばされた子どもは小石のように宙返りして立ち上がりその顔を他の兵士達にも見せつけて悲鳴を上げさせ動揺させる。
目の前の反応を見て女の子に扮したエイムは楽しそうに笑ってから片手を前に出して言う。
「うふふ、愚かなヒト族よ!ボクは警告者である!この森はすでにボクのマスターのものだ!君達が入ることは決して許さない!今この場から去らないのであれば、全滅を覚悟しておけ!」
口すらない顔で宣言してきたエイムを前にハコダンテ軍は困惑する。
ヒトに化けさらには人語を話せる魔獣が目の前にいることだけでも驚きなのにその上の魔獣が森に君臨しているという事実はもはや任務完了どころかその域を越えたものになっていたからだ。
しかし恐怖に飲まれた者は愚かな判断をしてしまう時がある。
「お、おのれ魔獣め!やれ!討伐しろ!」
手足を使って腰が抜けた身体を後ずさりさせながら隊長は兵士達に攻撃の指示を出してきた。
上からの命令に弓矢を持つ兵士が先制攻撃にエイムへ向けて矢を放つ。
飛んできた矢の数本がエイムの身体に命中し一本は頭に当たり後ろに身体を反らせてみせたことで隊長はやったと思った。
「…あーあ、やっぱりこういう時ってヒト族はダメなことするよね。せっかく警告したのに。」
その言葉が聞こえてくるとエイムに刺さっていた矢がまるで泥に当たったかのように重力に従って抜け地面に落ちていく。
全ての矢が落ちるとエイムは何事もなかったように手の平を振って告げた。
「それじゃ、後は後輩に任せたいと思うから逃げるなら今のうちだよ。もっとも、逃げられたらの話だけどね。」
クスクスと笑って言えばエイムは高々と後ろに飛んで森の中へと姿を消していった。
突風のようにして終わり静寂が訪れると隊長は恐怖から守りの態勢へと指示を出す。
「奴隷隊を前に出せ!その間に伝書鳩を飛ばす!」
隊長の指示にエルフの一団は渋々動き剣と盾を持つ者が前、弓矢を持つ者が後ろの二列構成で立ち、そこから少し離れたところで兵士達が同じ並びで待ち構える。
陣形ができていく間に隊長は一目散にテントへ逃げると本国に伝える為の手紙を書く。
(じ、人語を話す魔獣に遭遇!すぐに応援を求む!)
半ば走り書きになったが手紙を書き終えると丸めて小さな筒に入れればテント出て伝書鳩が予備も含めているテントに向かう。
だが幕を上げた直後に隊長は唖然とした。
「モグモグ……」
「へ……?」
羽毛が舞い、入れていた木製の鳥籠は壊され地面には血が落ちている中で灰色の女性が何かを咀嚼しているのだ。
「んぐ?ヒほしょくれふへ。おははふいへはほへ(ヒト族ですね。お腹空いてので)…ごくっ……勝手に食べちゃいました。」
口の周りを血と羽毛で汚しながら女性が言うと最後に口から吐き出しのは鳥の足であった。
「な、ななななな何者だ貴様!?どこから現れた!?」
「あたしですか?あたしは大魔将軍様の眷属が一人、ムーンライダーのミケラです!大魔将軍様の命令で、皆さんをやっつけにきましたー!」
立ち上がって大の字の形でミケラは堂々と名乗れば腰にあるナックルを手袋を着けるように入れて装備すればスタートダッシュの態勢を取る。
ただの女性かと思いきや頭から耳が生え獣の尻尾を揺らしているミケラを前に隊長は手から手紙を落としたことすら気にせず逃げ出そうとテントを出た。
「というわけで皆さん……覚悟してくださいね。」
一度瞼を閉じてから開いたミケラの眼はすでに狩人の眼差しとなっており脚に溜めていた力を一気に解放した。
腹を上下に揺らし自分の全速力で走る隊長は視界に部下達を捉えると叫んだ。
「た、助けてくれぇ!敵はもうすでに侵入し…!」
次の瞬間、隊長の視界は空へと移ってから世界が逆さまになった。
そして隊長は見てしまった。
下腹が出ている身体がよたよたと歩いてからうつ伏せに倒れるのを。
それを最後に隊長は絶命した。
「すごいすごーい!まるで柔らかい木の実に爪を立てた感じです!」
背後から一気に接近したミケラはナックルの引き金を引き爪を一本を出すと横一線に振って隊長の首を簡単に切り離してみせた。
首を落とされた隊長の死体を見て副隊長が叫べば他の兵士達も驚いて方向を変える。
「ひいっ!?ム、ムーンライダー!?」
同じく振り返ったエルフの一人がミケラの容姿を見て悲鳴と共に名前を出す。
出てきた名前を知っているエルフの何人かが恐怖で腰が引けてしまう。
「おい奴隷隊!前後を替われ!お前達が戦うんだ!」
テント側から敵が現れたことに兵士がエルフ達に指示を飛ばす。
しかしミケラの種族を知ってエルフ達の足がすくみ陣形に乱れが生じる。
それでも弓矢を持つ者達が並んで一斉に構えてみせた。
「むむむ、これは訓練の成果を試す時!必ずやお役に立てるところをお見せいたします!」
爪をしまったナックルをかち合わせ金属音を立てると片足を後ろに引いてからミケラは止まる。
放てぇ!と副隊長の号令で矢がミケラに向けて一斉に発射された。
迫りくる矢を前にミケラは左へ駆け出して回避するとそのまま時計回りに接近してから右のナックルから爪を全開放させると
「どーん!しゃきしゃきーん!どどーん!」
横に並んだ弓兵達を次と右で切り裂き、左でぶん殴っていった。
爪は兵士の兜をまるで紙のように頭ごと切り落としてみせる。
ミケラが端から端へと兵士達の前を通りすぎた後には弓矢を持つ者はエルフを含めて全員立っていなかった。
朝晩は冷える気候の為に兵士達は焚き火を囲んで朝食を取っていた。
「おい聞いたか?」
「何がだ?」
「昨日の夜も上官のテントに奴隷隊の一人が連れ込まれたらしいぜ?」
「またかよ。くそ、俺達だって一人くらい楽しみにいただいてもいいのによ……」
話題に悪態をつく兵士に周りも同意する。
これから自分達は大黒林に潜んでいるかもしれない危険な化け物の種類と居場所を調査しなくてはならないからだ。
大黒林はハコダンテ国にとって貴重な木材の資源であるがそれは端の部分だけで中には魔獣や毒草など危険がうようよしており素人が誤って入らないように柵などの対策をとって封じ込めていたつもりだった。
しかし上からの報告で観測所を消し飛ばした魔獣が現れたことが知らされ王の命令でまずは調査する為に派遣されたというわけだ。
「どんな魔獣だと思う?」
「さあな、だが小さいとはいえ観測所を消し飛ばしたってならばアースドラゴン系かもしれないぞ。」
「それは大げさだろう。もしそうだったら消し飛ばされるより前に観測所の装置が検知していたはずだ。」
様々な憶測を兵士達が立てているとベルの音が鳴り響く。
集合の合図であるベルに兵士達は兜を脇に抱えて所定の位置に集まって並ぶ。
その右端にあたる列にエルフ族だけの集団がいた。
男女入り交じっているが全員の装備が革の防具に使い古しの弓矢と剣であり首には黒い模様が刻まれた首輪を着けていた。
エルフ達の表情はすでに憔悴しきった様子で寝不足な者もいるようだった。
集合が済むと用意されてる高台へ少々下腹が出ている今回の調査隊の隊長が立って形式なのか気をつけからの敬礼を取ってから手を下ろすと口を開いた。
「諸君、先刻伝えた通りこの大黒林に危険な魔獣が生息している可能性があり我々はその調査にやってきた。心してかかるように。」
背筋を反らして話す上官に兵士達も気を引き締める。
しかし隊長は急に笑みを浮かべると笑って見せてから言う。
「なんてな。単純に言えば魔獣を見つけたなら遠くから調査して帰る。見つからなかったらそれまでだ。明るい内に奥まで行き過ぎずに調査して、明後日の期日には全員で帰って後はギルドに任せればいい。」
隊長の言葉に兵士達の間から笑みがこぼれ場が和む。
それでも右端の一団に変化はなく暗い雰囲気が漂っていた。
「それに、いざとなったら時間稼ぎの盾もあるからな。だがサボるような行動は取るなよ?なんなら一番に魔獣を見つけた奴には女を使ってもいいぞ。」
鼻の下の髭をいじりながら隊長が言えば兵士達は活気を漲らせてみせる。
彼らの反応をエルフの一団は悔しさと憎しみの表情を地面に向けていた。
「よおし、それでは早速調査に……」
やる気に満ち溢れた兵士達へ隊長が出発の合図を出そうとした時だった。
背後から子どもの泣き声がしたような気がして森の方を振り返る。
近くにいた副隊長が声をかけると静かにするよう伝えてから隊長は森を凝視する。
「…ぇーん…ぇーん…ぇーん……」
すると森から顔を両手で覆いながらオレンジ色の髪にボロボロのワンピース姿の子どもが出てきたではないか。
これにはさすがにエルフの一団を含めた全員が驚く。
「き、君、大丈夫か?」
子どもを見て副隊長が駆け寄ると声をかけてあげた。
声をかけてくれた相手に子どもは手を下ろさずに尋ねてきた。
「うぅ…ここはどこ?パパとママは?」
「ここは森の端だ。君は森に入っていたのかい?」
「うん、旅をしてて野宿しようと森に入ったの。でも化け物が現れてパパとママが逃がしてくれて……」
そこでまた泣き声を上げる子どもに副隊長は抱き寄せてよしよしと背中を優しく叩いてあげた。
子どもの口から化け物と出たのでもしかしたらと思った隊長が近寄って尋ねた。
「化け物と言ったな君?どんな奴だった?色は?大きさは?」
「隊長、今は保護して気持ちを落ち着かせないと話せるものも話せません。」
「大事なことなのだ。どこで見たかくらいわかれば探索しやすいだろう?」
気を早める隊長を後ろに副隊長は眉を寄せつつ優しい口調で尋ねてあげた。
尋ねられてから少しして子どもは泣き止むと肩を震わせながら言った。
「色はね、真っ黒なの。でもつやつや光ってて綺麗なんだ……」
「え?き、綺麗…?」
「そう、綺麗なの。だって……」
当てていた両手を離して子どもが顔を見せた時、副隊長の表情が一気に恐怖に染まった。
「ボクの顔も綺麗にされちゃったからぁ!」
何故なら子どもの顔がまるで磨かれた壁のように光沢のある何もないのっぺらぼうだったからだ。
同じく見ていた隊長は悲鳴を上げて腰を抜かし副隊長は子どもを突き飛ばして立ち上がる。
突き飛ばされた子どもは小石のように宙返りして立ち上がりその顔を他の兵士達にも見せつけて悲鳴を上げさせ動揺させる。
目の前の反応を見て女の子に扮したエイムは楽しそうに笑ってから片手を前に出して言う。
「うふふ、愚かなヒト族よ!ボクは警告者である!この森はすでにボクのマスターのものだ!君達が入ることは決して許さない!今この場から去らないのであれば、全滅を覚悟しておけ!」
口すらない顔で宣言してきたエイムを前にハコダンテ軍は困惑する。
ヒトに化けさらには人語を話せる魔獣が目の前にいることだけでも驚きなのにその上の魔獣が森に君臨しているという事実はもはや任務完了どころかその域を越えたものになっていたからだ。
しかし恐怖に飲まれた者は愚かな判断をしてしまう時がある。
「お、おのれ魔獣め!やれ!討伐しろ!」
手足を使って腰が抜けた身体を後ずさりさせながら隊長は兵士達に攻撃の指示を出してきた。
上からの命令に弓矢を持つ兵士が先制攻撃にエイムへ向けて矢を放つ。
飛んできた矢の数本がエイムの身体に命中し一本は頭に当たり後ろに身体を反らせてみせたことで隊長はやったと思った。
「…あーあ、やっぱりこういう時ってヒト族はダメなことするよね。せっかく警告したのに。」
その言葉が聞こえてくるとエイムに刺さっていた矢がまるで泥に当たったかのように重力に従って抜け地面に落ちていく。
全ての矢が落ちるとエイムは何事もなかったように手の平を振って告げた。
「それじゃ、後は後輩に任せたいと思うから逃げるなら今のうちだよ。もっとも、逃げられたらの話だけどね。」
クスクスと笑って言えばエイムは高々と後ろに飛んで森の中へと姿を消していった。
突風のようにして終わり静寂が訪れると隊長は恐怖から守りの態勢へと指示を出す。
「奴隷隊を前に出せ!その間に伝書鳩を飛ばす!」
隊長の指示にエルフの一団は渋々動き剣と盾を持つ者が前、弓矢を持つ者が後ろの二列構成で立ち、そこから少し離れたところで兵士達が同じ並びで待ち構える。
陣形ができていく間に隊長は一目散にテントへ逃げると本国に伝える為の手紙を書く。
(じ、人語を話す魔獣に遭遇!すぐに応援を求む!)
半ば走り書きになったが手紙を書き終えると丸めて小さな筒に入れればテント出て伝書鳩が予備も含めているテントに向かう。
だが幕を上げた直後に隊長は唖然とした。
「モグモグ……」
「へ……?」
羽毛が舞い、入れていた木製の鳥籠は壊され地面には血が落ちている中で灰色の女性が何かを咀嚼しているのだ。
「んぐ?ヒほしょくれふへ。おははふいへはほへ(ヒト族ですね。お腹空いてので)…ごくっ……勝手に食べちゃいました。」
口の周りを血と羽毛で汚しながら女性が言うと最後に口から吐き出しのは鳥の足であった。
「な、ななななな何者だ貴様!?どこから現れた!?」
「あたしですか?あたしは大魔将軍様の眷属が一人、ムーンライダーのミケラです!大魔将軍様の命令で、皆さんをやっつけにきましたー!」
立ち上がって大の字の形でミケラは堂々と名乗れば腰にあるナックルを手袋を着けるように入れて装備すればスタートダッシュの態勢を取る。
ただの女性かと思いきや頭から耳が生え獣の尻尾を揺らしているミケラを前に隊長は手から手紙を落としたことすら気にせず逃げ出そうとテントを出た。
「というわけで皆さん……覚悟してくださいね。」
一度瞼を閉じてから開いたミケラの眼はすでに狩人の眼差しとなっており脚に溜めていた力を一気に解放した。
腹を上下に揺らし自分の全速力で走る隊長は視界に部下達を捉えると叫んだ。
「た、助けてくれぇ!敵はもうすでに侵入し…!」
次の瞬間、隊長の視界は空へと移ってから世界が逆さまになった。
そして隊長は見てしまった。
下腹が出ている身体がよたよたと歩いてからうつ伏せに倒れるのを。
それを最後に隊長は絶命した。
「すごいすごーい!まるで柔らかい木の実に爪を立てた感じです!」
背後から一気に接近したミケラはナックルの引き金を引き爪を一本を出すと横一線に振って隊長の首を簡単に切り離してみせた。
首を落とされた隊長の死体を見て副隊長が叫べば他の兵士達も驚いて方向を変える。
「ひいっ!?ム、ムーンライダー!?」
同じく振り返ったエルフの一人がミケラの容姿を見て悲鳴と共に名前を出す。
出てきた名前を知っているエルフの何人かが恐怖で腰が引けてしまう。
「おい奴隷隊!前後を替われ!お前達が戦うんだ!」
テント側から敵が現れたことに兵士がエルフ達に指示を飛ばす。
しかしミケラの種族を知ってエルフ達の足がすくみ陣形に乱れが生じる。
それでも弓矢を持つ者達が並んで一斉に構えてみせた。
「むむむ、これは訓練の成果を試す時!必ずやお役に立てるところをお見せいたします!」
爪をしまったナックルをかち合わせ金属音を立てると片足を後ろに引いてからミケラは止まる。
放てぇ!と副隊長の号令で矢がミケラに向けて一斉に発射された。
迫りくる矢を前にミケラは左へ駆け出して回避するとそのまま時計回りに接近してから右のナックルから爪を全開放させると
「どーん!しゃきしゃきーん!どどーん!」
横に並んだ弓兵達を次と右で切り裂き、左でぶん殴っていった。
爪は兵士の兜をまるで紙のように頭ごと切り落としてみせる。
ミケラが端から端へと兵士達の前を通りすぎた後には弓矢を持つ者はエルフを含めて全員立っていなかった。
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