16 / 43
相談相手
14
しおりを挟む
時間の経過とともに手術の違和感は消えていった。自分でも見慣れてくると、もっと自然に思えた。瑠衣はそれだけで十分満足したが、周りはそうではなかった。
マスクから出ている目元部分はパッチリ二重で可愛いが、食事中や汗を拭くためにマスクを取れば、途端に以前のように好奇の目で見られる。そしてまたヒソヒソと聞こえてくるのだ。
「あの人可愛いと思ったのにマスク取ったらヤバかった」
「マスク美人って怖いよね」
笑い声が聞こえる度に自分のことのなのだとわかってしまう。マスクを取るのが怖くなって、一層手放せなくなった。そうなってくると今度は鼻や口元も直したくなった。
歯並びが悪いだけでも顎のラインが崩れる。だから歯科矯正もしたいし、二重顎も何とかしたいと欲が出てきた。
けれど美容整形はなんといっても金額が高い。二重にするのにだってバイトをしてコツコツ貯めた給料だけでは足りず、両親が貯金していたお年玉から少し出して10万円をかき集めたのだ。
それだって相当な金額だと思ったが、歯科矯正や鼻整形、顔骨格を変える骨切りなど合わせたら数100万はかかる。それでもどうしてもやりたかった瑠衣は、これまた両親に頼み込み2年生から奨学金を借りてもらうことにした。
奨学金は月5万円入金される。2年で120万円だ。瑠衣の家は裕福ではなかったが、奨学金を借りて通学するほど貧困でもなかった。だから、学費は両親に出してもらい奨学金も両親に前借する形で整形費用に充ててもらった。
卒業後は自分で奨学金を返済することを約束したのだ。働きながら自分で返すことになったって、今のバイト代を全額両親へ返済に充てたって、元の顔で生き続けるよりもよっぽどよかった。
長期の休みを使って瑠衣は整形を繰り返した。大体ダウンタイムはどれも半年程度だが、最初の1週間は腫れと浮腫みでパンパンに膨れ上がる。2週間経つ頃には内出血が落ち着いてきて、1ヵ月経つ頃にはそこまで目立たなくなる。
それでも傷口だけは1ヵ月ごときではなくなりはしない。夏休みが1番長いものの暑い時期は汗もかくし膿みやすく、感染症のリスクも高い。より注意が必要だったが瑠衣はなんとかそれも乗り切った。
鼻やあごの手術をした時には、食事もままならず睡眠も十分にとれなかった。けれど、二重を手に入れた時の期待を考えれば、そんな苦痛などなんてことはなかった。
マスクから出ている目元部分はパッチリ二重で可愛いが、食事中や汗を拭くためにマスクを取れば、途端に以前のように好奇の目で見られる。そしてまたヒソヒソと聞こえてくるのだ。
「あの人可愛いと思ったのにマスク取ったらヤバかった」
「マスク美人って怖いよね」
笑い声が聞こえる度に自分のことのなのだとわかってしまう。マスクを取るのが怖くなって、一層手放せなくなった。そうなってくると今度は鼻や口元も直したくなった。
歯並びが悪いだけでも顎のラインが崩れる。だから歯科矯正もしたいし、二重顎も何とかしたいと欲が出てきた。
けれど美容整形はなんといっても金額が高い。二重にするのにだってバイトをしてコツコツ貯めた給料だけでは足りず、両親が貯金していたお年玉から少し出して10万円をかき集めたのだ。
それだって相当な金額だと思ったが、歯科矯正や鼻整形、顔骨格を変える骨切りなど合わせたら数100万はかかる。それでもどうしてもやりたかった瑠衣は、これまた両親に頼み込み2年生から奨学金を借りてもらうことにした。
奨学金は月5万円入金される。2年で120万円だ。瑠衣の家は裕福ではなかったが、奨学金を借りて通学するほど貧困でもなかった。だから、学費は両親に出してもらい奨学金も両親に前借する形で整形費用に充ててもらった。
卒業後は自分で奨学金を返済することを約束したのだ。働きながら自分で返すことになったって、今のバイト代を全額両親へ返済に充てたって、元の顔で生き続けるよりもよっぽどよかった。
長期の休みを使って瑠衣は整形を繰り返した。大体ダウンタイムはどれも半年程度だが、最初の1週間は腫れと浮腫みでパンパンに膨れ上がる。2週間経つ頃には内出血が落ち着いてきて、1ヵ月経つ頃にはそこまで目立たなくなる。
それでも傷口だけは1ヵ月ごときではなくなりはしない。夏休みが1番長いものの暑い時期は汗もかくし膿みやすく、感染症のリスクも高い。より注意が必要だったが瑠衣はなんとかそれも乗り切った。
鼻やあごの手術をした時には、食事もままならず睡眠も十分にとれなかった。けれど、二重を手に入れた時の期待を考えれば、そんな苦痛などなんてことはなかった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる