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相談相手
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しおりを挟む 整形前の瑠衣は自分の顔が大嫌いだった。幼少期の写真を見ても自分で可愛いとは思えなかった。子供は皆可愛いなんていうのは嘘だ。小さければ可愛いわけじゃない。
周りの大人はお世辞で可愛いなんて言うが、子供同士は残酷だった。
「ミミズみたいな目してる」
「鼻の穴デカいな」
「顔デカ星人」
何度そう言って笑われたかわからない。実の父親もそうだった。
「お前は器量が悪いんだから愛想がなきゃ世間じゃやっていけないぞ」
「誰に似たんだかな。父さんも母さんもそんなに不細工じゃないのに」
「男に生まれてくりゃよかったのにな。可哀想に」
笑われるか同情されるかのどちらかだった。終いには母親にまで「可愛く産んであげられなくてごめんね」と泣かれた。
子供ながらに自分は可愛くない種類の人間なんだなぁ……と思っていたが、時の流れは更に残酷だった。
小学校中学年から少しずつ髪型や服装も気になりだした。好きな男の子もできた。隣の席になるとドキドキして、毎日登校するのが楽しくなった。
けれどある日の放課後「負けた奴は堀江の席に座ることー!」と声が聞こえ、男子数人から罰ゲームの対象にされていることを知った。更に片想いしていた隣の席の男子からは「俺毎日罰ゲームだよ!」と笑われていることを知った。
それは中学でも変わらなかった。好きになった男子は、皆クラスで1番可愛い子が好きだった。誰と誰が付き合ったという話を友人たちがしていても「瑠衣には関係ない話だよ」なんて笑われる。
恋愛話は自分には関係ないのだ。それは、誰も堀江瑠衣を好きにならいから。そう間接的に言われているようなものだった。
女友達にすらそんなことを言われ、自分に味方など誰もいないのだと心を閉ざすようになった。
道を歩いているだけで見ず知らずの人に「ブース」と笑われ、後ろからは「今の女見た? すげーブスだった」と驚きにも似た声が聞こえた。
周りの大人はお世辞で可愛いなんて言うが、子供同士は残酷だった。
「ミミズみたいな目してる」
「鼻の穴デカいな」
「顔デカ星人」
何度そう言って笑われたかわからない。実の父親もそうだった。
「お前は器量が悪いんだから愛想がなきゃ世間じゃやっていけないぞ」
「誰に似たんだかな。父さんも母さんもそんなに不細工じゃないのに」
「男に生まれてくりゃよかったのにな。可哀想に」
笑われるか同情されるかのどちらかだった。終いには母親にまで「可愛く産んであげられなくてごめんね」と泣かれた。
子供ながらに自分は可愛くない種類の人間なんだなぁ……と思っていたが、時の流れは更に残酷だった。
小学校中学年から少しずつ髪型や服装も気になりだした。好きな男の子もできた。隣の席になるとドキドキして、毎日登校するのが楽しくなった。
けれどある日の放課後「負けた奴は堀江の席に座ることー!」と声が聞こえ、男子数人から罰ゲームの対象にされていることを知った。更に片想いしていた隣の席の男子からは「俺毎日罰ゲームだよ!」と笑われていることを知った。
それは中学でも変わらなかった。好きになった男子は、皆クラスで1番可愛い子が好きだった。誰と誰が付き合ったという話を友人たちがしていても「瑠衣には関係ない話だよ」なんて笑われる。
恋愛話は自分には関係ないのだ。それは、誰も堀江瑠衣を好きにならいから。そう間接的に言われているようなものだった。
女友達にすらそんなことを言われ、自分に味方など誰もいないのだと心を閉ざすようになった。
道を歩いているだけで見ず知らずの人に「ブース」と笑われ、後ろからは「今の女見た? すげーブスだった」と驚きにも似た声が聞こえた。
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