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新しい風
08
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亜純に料理を振る舞う日がくるとは思わなかった。少し緊張はするが、それでも特別な時間に感じる気持ちの方が大きい。
もしも付き合えたら、自分も依と同じように亜純と横並びで料理をする日がくるかもしれない。想像するだけで楽しそうだった。
今まで付き合った彼女は手料理を振舞ってくれた。それももちろん嬉しかった。亜純が自分のために料理を作ってくれたら、そんなに嬉しいことはない。けれど、その時間も一緒に過ごせたらきっともっと幸せだと思った。
唇が痛む亜純が何なら食べられるかと考えるのは難しいが、何を作ったら喜んでくれるかと悩む時間も楽しい。最近こんなに楽しく思うことはなかった気がする。
最後にワクワクしたのはいつだっけ。そう記憶を辿って思いついたのは、亜純が悠生と付き合う前に一緒に食事した時だった。
あの時から亜純と会うのが楽しみだったんだなぁ……としみじみと思う。
料理を並べて一緒に食事をすると、何だか一緒に住んでいるような気分になった。亜純が帰らなければいいのに……そう思ったら、悠生のことが落ち着くまではそうした方がいい気もした。
「ねぇ亜純」
「ん?」
「あの男にさ、家の近くまで来てもらってたって言ったじゃん?」
「……うん」
「もしバッタリ遭遇したら危ないからさ……亜純が嫌じゃなきゃ仕事ここから通う?」
千景は意を決して言った。もちろん亜純の安全を守りたいという気持ちからだが、あわよくば一緒にいたいという下心もあった。
今すぐ亜純を抱きたいわけでもないし、自分のモノにしてしまいたいわけでもない。けれど、同じ空間に亜純がいることが心地よくてこの時間がずっと続けばいいのにと思ってしまった。
当然亜純は驚いたように目を大きくさせて、言葉を選んでいるようだった。それから躊躇いがちに「それって一緒に住むってこと……?」と尋ねた。
もしも付き合えたら、自分も依と同じように亜純と横並びで料理をする日がくるかもしれない。想像するだけで楽しそうだった。
今まで付き合った彼女は手料理を振舞ってくれた。それももちろん嬉しかった。亜純が自分のために料理を作ってくれたら、そんなに嬉しいことはない。けれど、その時間も一緒に過ごせたらきっともっと幸せだと思った。
唇が痛む亜純が何なら食べられるかと考えるのは難しいが、何を作ったら喜んでくれるかと悩む時間も楽しい。最近こんなに楽しく思うことはなかった気がする。
最後にワクワクしたのはいつだっけ。そう記憶を辿って思いついたのは、亜純が悠生と付き合う前に一緒に食事した時だった。
あの時から亜純と会うのが楽しみだったんだなぁ……としみじみと思う。
料理を並べて一緒に食事をすると、何だか一緒に住んでいるような気分になった。亜純が帰らなければいいのに……そう思ったら、悠生のことが落ち着くまではそうした方がいい気もした。
「ねぇ亜純」
「ん?」
「あの男にさ、家の近くまで来てもらってたって言ったじゃん?」
「……うん」
「もしバッタリ遭遇したら危ないからさ……亜純が嫌じゃなきゃ仕事ここから通う?」
千景は意を決して言った。もちろん亜純の安全を守りたいという気持ちからだが、あわよくば一緒にいたいという下心もあった。
今すぐ亜純を抱きたいわけでもないし、自分のモノにしてしまいたいわけでもない。けれど、同じ空間に亜純がいることが心地よくてこの時間がずっと続けばいいのにと思ってしまった。
当然亜純は驚いたように目を大きくさせて、言葉を選んでいるようだった。それから躊躇いがちに「それって一緒に住むってこと……?」と尋ねた。
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