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愛情は感じるもの

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「お疲れ様です。美希先生どうしたんですか?」

 亜純はつい今まで悠生といたものだから、美希から悠生のことで話があると言われてドキリと脈が速くなった。
 悠生と付き合った時には嬉しくて、美希にも自慢にならない程度に悠生とのデート内容を語ったが、今となってはこんなことになり美希には申し訳ない思いもあった。

 おそらく後輩思いの美希のことだから、現状を伝えれば「私があんなところに連れて行ったから……」と責任を感じてしまうだろうと思えた。
 それと同時に浮かれていた自分が情けなくて恥ずかしくもある。結局、表向きの良さに騙されたいいカモだったのだから滑稽なこと極まりない。

 それでも美希が何を話そうとしているのか気になった。

「私あれから何度か婚活パーティーに行ってるんだけど、この前亜純ちゃんの彼氏を見かけたの」

「……え?」

「あの見た目だから絶対見間違えるはずはなくて。知らない間に別れたのかなって思ってたんだけど」

「いえ……」

 亜純は電話越しに自分の口元を覆った。他にも被害にあっている女性がいるかもしれない。そう疑ってはいたが、まさか自分と付き合っていながら他の相手を同時進行で探しているとは思わなかった。
 世の中には浮気や不倫をする人間がいることはわかっている。けれど、依は怪しい気配もなかったし、千景なんか何年も彼女もいなければ遊びの相手もいない。亜純の中で、身近に浮気をする人間がいること自体驚きだった。

「だよね。それでね、驚いたのはここからなんだけどその後、亜純ちゃんの彼と一緒に来てた人がいたでしょ? その人とも別の会場で一緒になったの」

 婚活している人々はアクティブな人が多く、1つのイベントで出会いがなければ繰り返し色んなイベントに参加するようだ。そのため、以前違うイベントで知り合った人間が他のイベントに参加している例も多々ある。
 美希が色んなパーティーに参加しているように、悠生の友人がいてもなんら不思議はないのだが美希は重大な発表をするかのように振舞った。
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