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それぞれの生活

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 ピロートークでは約束していた日曜日の話になった。温泉に行きたいと言った亜純に、今度はちゃんとしたホテルを取っておくねと言って亜純の額にキスをした。

 さすがに泊まりとはいかず、亜純は余韻もそこそこに家まで送ってもらった。下半身は重たい痛みがあったし、あらゆる筋肉が収縮して久しぶりに体を使った感じがした。
 普段園児たちと走り回って使う筋肉とは違い、痛みを感じる度に恥ずかしくなる。

「ゆうくんとしちゃった……」

 自室で顔を赤らめながら、恍惚の吐息をつく。頭も体も興奮してとても眠れなかった。温泉旅行はどこへ行こうかと全国の温泉をリサーチする。
 日曜日だけ1日一緒に出かけられたらまずは満足だと思っていたのに、最初から旅行だなんて嬉しすぎる。それに、次はもっといいホテルだなんて……どんなところだろうと胸が踊る。
 そんなことを考えていたらあっという間に朝だった。ただ、そんな寝不足も悠生と出会ってから経験したもの。
 仕事中にあくびが出るのも、眠いのも悠生との夜を思い出せばそれも喜びに変わる。

 仕事中も園児たちを気にかけてはいるものの、お昼寝の時間になればまた悠生のことを考えてしまう。

 そういえばまだ千景に報告してないから、帰ったら電話しよー。そんなことを考えながら仕事帰りにコンビニへ寄った。
 会計は738円で電子マネーで支払おうかと思ったが、1万円札を崩したかったんだと思い出し現金で支払うことにした。

「……あれ?」

 亜純は財布の中を見て手を止めた。確かお札は2万1千円入っていたはず。千円札が多い方が便利だから1万円を崩そうと思っていたのだ。
 前回お金を下ろしに行った時、1万円だけだとすぐになくなってしまうから、余分に下ろしておいたはず。

 崩した形跡もないし、あの時確かに2万下ろしたと思ったが記憶違いだろうか。それとも1万円札をそのままなにかに使ったっけ?
 うーんと考えがらもとりあえず現金でと言ってしまったため、その1万円札で支払った。
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