112 / 243
夫婦のかたち
19
しおりを挟む
「それは……ごめん。でもわかって欲しかったんだよ。俺は今でも亜純が好きなんだよ?」
依はどうにかして亜純を引き留めようと必死だ。しかし、固まり始めている亜純の気持ちは動きそうになかった。
「そう言われても私の気持ちは依から離れちゃったみたい。このまま一緒にいても辛くなる」
「……離婚するってこと?」
「うん。明日役所に行ってくる」
離婚の意思を聞いて依は顔を青くさせた。こんなにも早く離婚届を用意されるとは思っていなかった。もう少しくらい引き留められるかと思っていた。
「待ってよ、亜純。離婚しなくても、もっと別の方法が」
「別の方法なんかないよ。好きじゃない人と同じ家で生活するなんて、私にはできない。家も探し始める。最悪実家に帰ってもいいし」
何度好きじゃないと言われても、依は本当にそれが亜純から発せられた言葉だとは信じられなかった。依の知る亜純は、こんなふうに依が傷付くようなことを言う人間ではなかった。
依の心に、別の怒りが込み上げた。
「……同窓会なんか行ったからだろ? 行くまではいつもの亜純だったのに……」
依はうわ言のようにそう呟いた。
「……え?」
「真白と千景になんか言われたんだろ? 真白に相談したんでしょ? 俺が抱かなかったこと」
「……なんで。真白から聞いたの?」
「浮気でもしてるのかって詰められた。何で抱かないんだって」
「真白が……?」
亜純は大きく瞳を揺らした。真白はそんなこと言っていなかったし、亜純が依と話し合いをする前に依と話をしていたなんて思いもしなかった。
「真白に俺と別れろって言われたんだろ?」
「違うよ! 真白はそんなこと言わない!」
亜純は、真白と依が自分のセックスレスについて会話していたことに動揺したが、それ以上に真白のせいにしようとする依に腹が立った。
依はどうにかして亜純を引き留めようと必死だ。しかし、固まり始めている亜純の気持ちは動きそうになかった。
「そう言われても私の気持ちは依から離れちゃったみたい。このまま一緒にいても辛くなる」
「……離婚するってこと?」
「うん。明日役所に行ってくる」
離婚の意思を聞いて依は顔を青くさせた。こんなにも早く離婚届を用意されるとは思っていなかった。もう少しくらい引き留められるかと思っていた。
「待ってよ、亜純。離婚しなくても、もっと別の方法が」
「別の方法なんかないよ。好きじゃない人と同じ家で生活するなんて、私にはできない。家も探し始める。最悪実家に帰ってもいいし」
何度好きじゃないと言われても、依は本当にそれが亜純から発せられた言葉だとは信じられなかった。依の知る亜純は、こんなふうに依が傷付くようなことを言う人間ではなかった。
依の心に、別の怒りが込み上げた。
「……同窓会なんか行ったからだろ? 行くまではいつもの亜純だったのに……」
依はうわ言のようにそう呟いた。
「……え?」
「真白と千景になんか言われたんだろ? 真白に相談したんでしょ? 俺が抱かなかったこと」
「……なんで。真白から聞いたの?」
「浮気でもしてるのかって詰められた。何で抱かないんだって」
「真白が……?」
亜純は大きく瞳を揺らした。真白はそんなこと言っていなかったし、亜純が依と話し合いをする前に依と話をしていたなんて思いもしなかった。
「真白に俺と別れろって言われたんだろ?」
「違うよ! 真白はそんなこと言わない!」
亜純は、真白と依が自分のセックスレスについて会話していたことに動揺したが、それ以上に真白のせいにしようとする依に腹が立った。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる