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夫婦のかたち
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「……どっちにしても亜純と2人でいるなんて無理だったんじゃん」
依はすうっと熱が冷めていくのを感じた。亜純への愛情はまだちゃんとある。できることならば過去に戻ってやり直したいとすら思う。
けれど、自分の気持ちを精一杯ぶつけるだけの熱量はもう残っていなかった。
最初から依が思っていた通り、亜純は子供がいる生活が欲しくて夫婦2人だけの生活ならいらないのだ。
例え子供ができたとしても、依が望まないのであれば離婚することを考えているのだから。
亜純は怒りが収まらないまま、依を見つめた。原因を作ったのは依だというのに、被害者のような顔をしていた。
「俺は亜純のことが好きだから2人でいたかっただけなのに。亜純は、俺よりも子供の存在の方が大事だってことだよね」
「……私にだってわからないよ。結婚1年目で言ってくれてたら、今までの5年間は依の気持ちを知った上で一緒にいたかもしれない。それを覚悟して2人でいる選択もできたかもしれない。でも、散々待ってセックスレスになって依に避けられてるって感じてから、私の中で子供っていう存在は結婚した当時よりももっと大きなものになったの」
依が声のトーンを下げたことで、亜純も再び冷静さを取り戻し始めた。
「依とえっちしなくても、子供さえいてくれたらこんなに悲しい思いはしなかったとか、このまま依が私に魅力を感じなくなったら一生子供は授からないまま依にも愛されないまま夫婦でいても1人ぼっちでいるような惨めな生活を送るんだとか考えるようにもなった」
「……亜純」
「依にだけ愛情を向けても返ってこないから、いない子供に期待して何が悪いの? こんな気持ちになってから、あの時言ってくれてればなんて思っても、正直あの時の私と今の私じゃ考え方が違う……。
今の私は、依のことを受け入れられないの。そうさせたのはこの6年間でしょ? 私が依を捨てるとか、子供を授かる為の道具として扱ってるとか……私のことを責めるのはやめてよ」
亜純は、依が傷付いた顔をすればするほど、自分の傷が抉られていくのを感じた。
依はすうっと熱が冷めていくのを感じた。亜純への愛情はまだちゃんとある。できることならば過去に戻ってやり直したいとすら思う。
けれど、自分の気持ちを精一杯ぶつけるだけの熱量はもう残っていなかった。
最初から依が思っていた通り、亜純は子供がいる生活が欲しくて夫婦2人だけの生活ならいらないのだ。
例え子供ができたとしても、依が望まないのであれば離婚することを考えているのだから。
亜純は怒りが収まらないまま、依を見つめた。原因を作ったのは依だというのに、被害者のような顔をしていた。
「俺は亜純のことが好きだから2人でいたかっただけなのに。亜純は、俺よりも子供の存在の方が大事だってことだよね」
「……私にだってわからないよ。結婚1年目で言ってくれてたら、今までの5年間は依の気持ちを知った上で一緒にいたかもしれない。それを覚悟して2人でいる選択もできたかもしれない。でも、散々待ってセックスレスになって依に避けられてるって感じてから、私の中で子供っていう存在は結婚した当時よりももっと大きなものになったの」
依が声のトーンを下げたことで、亜純も再び冷静さを取り戻し始めた。
「依とえっちしなくても、子供さえいてくれたらこんなに悲しい思いはしなかったとか、このまま依が私に魅力を感じなくなったら一生子供は授からないまま依にも愛されないまま夫婦でいても1人ぼっちでいるような惨めな生活を送るんだとか考えるようにもなった」
「……亜純」
「依にだけ愛情を向けても返ってこないから、いない子供に期待して何が悪いの? こんな気持ちになってから、あの時言ってくれてればなんて思っても、正直あの時の私と今の私じゃ考え方が違う……。
今の私は、依のことを受け入れられないの。そうさせたのはこの6年間でしょ? 私が依を捨てるとか、子供を授かる為の道具として扱ってるとか……私のことを責めるのはやめてよ」
亜純は、依が傷付いた顔をすればするほど、自分の傷が抉られていくのを感じた。
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