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友人の恋人

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「でも、亜純が避妊してでも俺とセックスしたいって言ってくれるなら俺も亜純ともっとイチャイチャしたい……」

 依がこの期に及んでそんなことを言い出したものだから、亜純は思考を停止せざるを得なかった。
 その提案を亜純がしたのは、今後の妊娠を見越しての話だ。今は無理ならそれでもいい。そう思っただけで、今後一生ありえないのなら、セックスだけしたって意味がない。そう思ってしまった。

「依勝手だよ……。私は子供はいらないって言われてるのに、えっちだけするなんて……」

「え? それでもいいって言ったのは亜純だよね? そもそも亜純の不満って俺が亜純を抱かなくなったからじゃなかった?」

「違っ……最終的には子供がほしくて……そりゃ、依に求められなくなったのは寂しかったけど、依が子供をいらないって言うなら」

「なにそれ。俺って亜純にとって子供を作るための道具に過ぎないってこと?」

 今度は依が不満そうにそう言った。俺はこんなに亜純のことを考えて、こんなに好きで一緒にいるのに亜純は違うのかと機嫌を損ねた。

「違うでしょ? 私たち、夫婦なんだよ? お互いに道具とかじゃなくて、好きだから好きな人の子供がほしいんじゃないの?」

「俺は亜純のことは好きだけど、亜純との子供は好きじゃない。でも、亜純は子供をいらないって言う俺のことは好きじゃないって言いたいの? それなら、子供が欲しいって言ってくれる男なら俺じゃなくてもいいってこと?」

 皮肉にも依の方からその話に触れてきた。亜純はこれまでどうして2人の間にセックスがないのか不思議だった。
 今までのように依に愛されたいと、依に抱かれたいと思ってきた。依が言うように、それは子供を授かるための行為でなかったとしてもそれで愛情を確かめたいと思っていた。
 しかし、亜純が自然と発言した「えっちだけするなんて……」という言葉が答えを物語っていた。
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