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友人の恋人

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 亜純がそう言った途端に依は顔色を変えた。やっぱり同窓会なんて行かなきゃよかったと酷く後悔した。

「俺はまだ亜純と2人でいたいって言ったじゃん」

「うん……でもね、私は子供が欲しいってずっと思ってる」

「……亜純は俺と2人じゃ嫌なの?」

 依は心の中が霧のようにモヤモヤと陰っていくのを感じた。こんなにも亜純を想っているのに、2人の世界に邪魔者を入れようとする亜純の考えを覆したかった。

「依と2人でも楽しいよ。けど、その……依は私のこと……えっと、えっちもしてないし……」

 モジモジと恥ずかしそうに言う亜純は可愛かった。10年以上の付き合いになるのに、いつまでも亜純は純粋で綺麗だ。だけど同時に彼女の方から性の話をされるのはあまりいい気はしなかった。

 好きだから素直に抱きたいと思っていた時には、セックスを受け入れてくれることが嬉しかったが、自ら求めてくるのは理想の亜純とは違う。
 真白や高校時代の盛った動物のように体を求めてくる女性と重なる部分があったからだ。多少の好意はおそらく下心からくるものだった。しかし、亜純に対しては絶対的な恋愛感情だ。
 性の捌け口として亜純の存在があるわけじゃない。それなのに体を求める亜純に自分とは違う感覚を抱いた。

「俺は亜純のことが好きだよ。亜純のことが大事だから体目的だって思われたくないし」

「体目的ってなに……? 私たち夫婦だよね? とっくにそんな関係じゃないから結婚したんじゃないの? 好きだから触れたいって思うんじゃないの? 私は……今の依からあまり愛情を感じない」

 亜純は一瞬、かあっと怒りが込み上げた。亜純が言いたいことと論点がズレている気がするのと、どうにも依が適当な理由を探しているようにしか思えなくなったからだ。
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