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友人の恋人

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 千景と話してから10分程経ったあと、亜純のもとに渋々真白に説得させられた依が戻ってきた。

 亜純は話す予定のなかったことを千景にまで話してしまった後ろめたさを感じつつ、どこか気が楽になった気がした。
 依とまた話をするのは気が重い。できればこのまま避けて通りたかった。

 けれど、真白と千景に言われたようにそのままにしていても解決はしない。時間だけが経過して、子供ができないままこの生活を送るだけだ。

 亜純は素直に同窓会を楽しめないまま、結局4人で表向きの笑い話をして解散した。依は終始不機嫌そうだったが、亜純と2人きりになった途端ふうっと肩の力を抜いた。
 頭を亜純の肩に預けて猫のように擦り寄った。そんな行為もいつもなら可愛く思えるのに、今日ばかりは亜純の不安を煽った。

 帰りのタクシー内で夫婦生活について触れるわけにもいかず、亜純は頭の中で依に言いたいこと、聞きたいことを整理しながら家のドアを開けた。
 依はやれやれとネクタイを緩めて服を脱ぎ出した。靴下を脱いで裸足になると、中途半端に脱いだ服のまま風呂の湯を溜めに浴室へと向かった。

『お湯はりをします』という音声が流れる中、亜純は着替えを後回しに依の名を呼んだ。

「どうかした?」

「あのね、私依とちゃんと話がしたいと思って」

 依は亜純の言い方に怪訝な顔をした。空気を読まない依でも、さすがに何か言いたいことがありそうだということくらいはわかる。
 会わせたくなかった真白と千景とそれぞれ2人で話す機会を作ってしまった。依はまさか2人とセックスレスについて話したのではないかと息をのんだ。

「話ってなに……」

「あのね……依はさ、子供いらないの?」

 亜純は色々シミュレーションしたにもかかわらず、切り出し方がわからなくなってしまい、色んな工程をとばしてそう尋ねた。
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