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将来の夢

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「なぁ、なんで亜純に本送るんだよ」

 依はいつかそんな電話を千景にかけた。

「だって依は絵本読まないんでしょ? 依に送ったら読んでくれるの?」

「……亜純に読んでもらう」

「子供かよ。……どっちにしろ亜純に渡るなら、最初から亜純に送っても一緒でしょ。住所同じなんだし」

 ため息混じりにそんなことを言われれば、言い返す言葉が見つからなかった。それにしたって自分の妻に別の男が贈り物をしてくるなんていい気はしないものだ。
 ただ、2人が本のお礼で連絡を取り合っていても、会っている様子はなかったから我慢できていた。それなのに、今回同窓会で再会するとなると依の嫉妬は更に増すのだった。

 そして真白に関してもいい思い出はない。彼女から連絡がきたのは、事故した今回の連絡だけではなかった。半年前、真白と亜純が食事に行った夜、電話があったのだ。

「ねぇ依さ、亜純とレスなの?」

 突然そんなことを聞かれて飛び上がった。まさか久々に会った2人がそんな話をしているなんて思いもしなかった。

「亜純に相談されたの?」

「そろそろ子供作らないの?って話からそうなった」

「あー……」

「依、浮気してんの?」

 そう聞いた真白はバカにしたように笑った。亜純が貶された気がして依はかぁっと頭に血が上った。

「してねぇよ! するわけないだろ!」

「どうだか。亜純のことを好きだって言いながら私を抱いた男だからね」

「それは亜純と付き合いたかったからであって、浮ついた気持ちからじゃない」

「じゃあ、何で亜純を抱かないの?」

 夫婦の問題なのに、無関係の真白が首を突っ込んでくるのが腹立たしかった。それに亜純が依とセックスレスだということを真白に話したのも納得できなかった。

「真白には関係ないことだろ。亜純に相談されたわけじゃないならほっとけよ」

「私は依が亜純のことを大切にするって言ったから薦めたのに。それならやっぱり千景にすればよかった」

 自分は最初から亜純の味方だったんだと言わんばかりの物言いに依はさすがに呆れた。
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