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将来の夢

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 依がセックスをしなくなったのは、亜純がそろそろ計画的に子供が欲しいと言った時からだった。
 毎回しっかりと避妊をしてくれていた依。世の中には、避妊具を付けずに自分の欲に任せて挿入しようとするような男性もいる中、依は亜純のことを大切にしているからこそしっかりと避妊をしてくれるのだと思っていた。

 けれど、そろそろ子供が欲しいから避妊しなくていいよ。そう亜純が言った日、依はすっかりやる気をなくしてしまった。
 下半身も急に芯がなくなり、元気なく萎んでいた。

「ごめん……なんか、ビックリして……」

「ううん。私も急に言ってごめん……。気にしないで」

 お互い少し気まずかった。依の下半身が反応しなくなる事なんて今まで一度もなかった。この時だってたまたま驚いて萎んでしまっただけで、また次の機会がくれば今度こそは子作りに励むだけ。そう思っていたが、その次はいつまで待ってもやってこなかった。

 意を決して亜純から誘ったこともあった。

「ねぇ、依。赤ちゃん欲しいからさ、しよ?」

 依から毎日のように求めてくれたから、亜純からこんなふうに誘うことも初めてだった。女性から声をかけるなんて心臓が破裂しそうなくらい緊張して、恥ずかしいものなんだ。
 そんなドキドキ感に必死に耐えたのに、依はそれに応じなかった。

「ごめん。なんか、ちょっと疲れちゃってさ」

 申し訳なさそうに依は言った。キスをして腕枕までしたが、彼はそのまま寝息を立てて眠ったのだ。

 1回目のお誘いは恥ずかしいだけだった。2回目は少し悲しく感じた。3回目はちょっと悔しくて4回目は苦しかった。
 あれ以来すっかり自信をなくしてしまったのではないか。そんなふうに考えたこともあったが、いつかゴミ箱に丸めたティッシュペーパーが大量に入っているのを見て落ち込んだ。
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