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楽しいお茶会……?【9】
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澪が木箱を開ける。すると、すぐにキラキラと輝く首飾りが顔を出した。紬や朱々が持つどんな装飾品よりも高価で良質なものである。
鮮やかな碧と八方に光を放つ透明の石。眩しい程の光は、角度を変えるだけで零れ落ちるかのように煌めく。まるで真冬の夜空に散らばる星のようだった。
紬と朱々は思わず唾を飲み込む。食い入るように前のめりになってそれを見つめた。
「これと同じものを隣国の王妃様が着けておられます」
澪がそう言うと、皆がはっと顔を上げる。
「王妃様にこそ相応しい、潤銘郷で最も高価な装飾品です」
「こここここれを……王妃が……」
装飾品には目がない朱々は、固唾を飲んで更に前に出た。紬は恍惚の表情を浮かべ、すっかり首飾りの虜である。
「はい。これ一つで多くの村を復興させることができます。然れど、民よりも側室よりも、普段心の支えとなって下さっている奥方樣にどうしても贈りたいとおっしゃっていたのです」
とうとう首飾りの目の前にまで顔を寄せた紬と朱々の後ろで、皇成と煌明はぶんぶんと首を左右に振っている。
「美しいとは思いませんか? 潤銘郷一、いや遡雅ノ國一高価な首飾りです。このように華美な装飾は、麗しい正室のお二人にこそ相応しいと私も思うのです」
「た、確かに美しいです……。このように大きな碧空石は初めて見ました」
紬は口を開けっ放しにし、首飾りから目を逸らせずにそう言った。
「せ、正室にだけ特別な……」
先程までの憤りなど忘れてしまったかのように、興味は首飾りに移行した朱々。
「此度の側室の件、八雲様も甲斐様も正室のお二人には寂しい思いをさせて申し訳ないとお心を痛めておいでです。ならばせめて、正室として特別であるという証を贈ろうとのことでした。
統主としては、本来民の幸せを願う立場。しかし、そんな民よりも側室よりもお二人への愛情の方が深いのです」
澪の言葉に、二人は大きく瞳を揺らした。
「紬様、朱々様いかがでしょうか。お二人の旦那様はこんなにもお二人を想っていらっしゃるのですよ。いくら側室を娶ろうとも、正室として揺るぎない愛情を得られるのはお二人だけなのです。羨ましいです。よろしければもっとお近くでどうぞ。と言ってもすぐにお二人の元へ行くことになりますが」
澪が木箱をすっと前に出すと、直ぐ様それを手前に引き寄せる紬。朱々と二人並んで、自然に零れ落ちる吐息。
二人の瞳に反射する首飾りを見て澪は続けた。
「私が聞いたことは事実だと思っておりました。しかし実際のところ、お二人が側室の存在をお許しになれないということでしたらこちらはお譲りすることはできません。
だってこれは偉大なる王妃様と同じ首飾り。寛大で聡明で麗しい正室のみが相応しいと私も思うのです。御統主様方よりこのお話をいただいた時、素晴らしいお二人にはとてもお似合いだと思ったのですが……本当のところはどうなのでしょう」
澪は確信に迫る。皇成と煌明は止めろと目で訴える。しかし、二人には紬と朱々をこの場で納得させる言い訳など見つかる筈がなかった。
鮮やかな碧と八方に光を放つ透明の石。眩しい程の光は、角度を変えるだけで零れ落ちるかのように煌めく。まるで真冬の夜空に散らばる星のようだった。
紬と朱々は思わず唾を飲み込む。食い入るように前のめりになってそれを見つめた。
「これと同じものを隣国の王妃様が着けておられます」
澪がそう言うと、皆がはっと顔を上げる。
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「こここここれを……王妃が……」
装飾品には目がない朱々は、固唾を飲んで更に前に出た。紬は恍惚の表情を浮かべ、すっかり首飾りの虜である。
「はい。これ一つで多くの村を復興させることができます。然れど、民よりも側室よりも、普段心の支えとなって下さっている奥方樣にどうしても贈りたいとおっしゃっていたのです」
とうとう首飾りの目の前にまで顔を寄せた紬と朱々の後ろで、皇成と煌明はぶんぶんと首を左右に振っている。
「美しいとは思いませんか? 潤銘郷一、いや遡雅ノ國一高価な首飾りです。このように華美な装飾は、麗しい正室のお二人にこそ相応しいと私も思うのです」
「た、確かに美しいです……。このように大きな碧空石は初めて見ました」
紬は口を開けっ放しにし、首飾りから目を逸らせずにそう言った。
「せ、正室にだけ特別な……」
先程までの憤りなど忘れてしまったかのように、興味は首飾りに移行した朱々。
「此度の側室の件、八雲様も甲斐様も正室のお二人には寂しい思いをさせて申し訳ないとお心を痛めておいでです。ならばせめて、正室として特別であるという証を贈ろうとのことでした。
統主としては、本来民の幸せを願う立場。しかし、そんな民よりも側室よりもお二人への愛情の方が深いのです」
澪の言葉に、二人は大きく瞳を揺らした。
「紬様、朱々様いかがでしょうか。お二人の旦那様はこんなにもお二人を想っていらっしゃるのですよ。いくら側室を娶ろうとも、正室として揺るぎない愛情を得られるのはお二人だけなのです。羨ましいです。よろしければもっとお近くでどうぞ。と言ってもすぐにお二人の元へ行くことになりますが」
澪が木箱をすっと前に出すと、直ぐ様それを手前に引き寄せる紬。朱々と二人並んで、自然に零れ落ちる吐息。
二人の瞳に反射する首飾りを見て澪は続けた。
「私が聞いたことは事実だと思っておりました。しかし実際のところ、お二人が側室の存在をお許しになれないということでしたらこちらはお譲りすることはできません。
だってこれは偉大なる王妃様と同じ首飾り。寛大で聡明で麗しい正室のみが相応しいと私も思うのです。御統主様方よりこのお話をいただいた時、素晴らしいお二人にはとてもお似合いだと思ったのですが……本当のところはどうなのでしょう」
澪は確信に迫る。皇成と煌明は止めろと目で訴える。しかし、二人には紬と朱々をこの場で納得させる言い訳など見つかる筈がなかった。
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