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赤髪の少女【24】

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 ようやく追い付いた五平と琥太郎は、その姿を見て言葉を失った。

「あ、来た来た。こっちへおいで」

 そう言って澪は嬉しそうに五平と琥太郎を手招きした。颯と横一列に並ぶ六名の男達。その前に二人を立たせると「ほら、謝んな」そう殺気立った低い声を発した。

 七名はビクゥッと体を揺らし、裸のまま二人に土下座をした。

「も、申し訳……」

 顎の骨を砕かれ、歯を折られ痛みで上手く話せない颯は、モゴモゴと口ごもる。

ーーびゅんッ、ビシィッ!

 けたたましい音を立て、木刀が尻を打つ。

「ぎゃああ!」

「聞こえない。……ちゃんと謝んな」

 澪がそう言うと、七人は額を擦らせて「申し訳ございませんでした!」と声を揃えた。

「いい? 私は優しいから殺さないであげたのですよ。……これが瑛梓様と梓月くんならあのまま殺してしまっただろうね……」

 澪が静かにそぅっと言うと、七人はゆっくりと瑛梓と梓月を見上げ、ぶるぶると震え上がった。
 澪の恐怖の支配により、七名には瑛梓と梓月が澪以上に恐ろしい存在に見えた。

「この二人に手を出したらただじゃおかないよ。……今度は……主達と相談しようかね」

 ふふっと澪が笑うと、七人は再び瑛梓と梓月を見上げ「ひいっ!」と声を上げた。

「兄上、俺澪は敵に回さないことにする……」

「同感だ……」

 瑛梓と梓月は顔を強張らせてそう言った。
 五平と琥太郎は、再度身を寄せ合って震え上がるのだった。





 琥太郎の部屋に戻った五人。部屋に着いた途端、琥太郎はボロボロと涙を溢した。仕返しをした澪に感謝をするものの、やり返すこともできない自分が情けなくて仕方がなかった。

「姫様っ……ごめんなさい……僕が弱いから」

「今回は人数としても不利だった。仕方がないよ」

「で、でも姫様はあんなに大人数相手に……。どうせ僕なんて強くなれないんです。どんなに努力しても強くなんて……」

 めそめそと泣く琥太郎に、澪は軽く息をつく。

「どんなに努力してもっていう程努力したっけ?」

 澪は琥太郎にそう尋ねた。琥太郎は顔を上げ、澪の目を見つめた。いつもは優しく微笑んでくれる澪が真剣な面持ちで琥太郎を捕らえた。
 その様子を瑛梓、梓月、五平は黙って見つめた。

「簡単に諦めるな。私が強いのはそれだけの努力をしたから。琥太郎くんよりももっと長い時間鍛練をしたから」

 当然の事に、瑛梓と梓月は軽く頷く。二人も血が滲むような努力をし、今の地位にいるのだ。

「……強くなりたいなら諦めるな。泣いている暇があったら死ぬ程努力をしろ。泣くなら死ね」

 目を細めて言った澪にびくぅっと飛び上がる琥太郎。

「鬼か!」

 瑛梓、梓月、五平は声を揃えて叫んだ。
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