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前進
【44】
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花の水やりを終えると、「まどかちゃん、運動ってする?」とダリアさん。
「運動……ですか? 今では全くしないですね。仕事でけっこう体力を使ってたので……」
なんて言い訳だけれど。体を動かすこと自体は嫌いではないが、わざわざ運動をするということはしてこなかった。
実際に仕事から帰ってくれば、何もする気力が起きなかったのも事実だ。
「私ね、いつもこの時間から体を動かすの。まどかちゃんも一緒にどう? 気持ちいいわよ」
にっこり笑って誘われたら断れない。暫く体を動かしていないし、大丈夫だろうかと不安しかないが、着替えてからダリアさんについて行くと一室がジムのようになっていた。
色んなマシーンがあって、何に使うのかは不明だ。ただ、ランニングマシーンだけはわかる。
「すごいですね……自宅にこんな……」
「体型は維持したくて、ここも作ってもらったの。やっぱりいつまでも若くいたいし、健康にも気を付けなくちゃね」
この家の人達は皆努力家のようだ。ダリアさんのスタイルの良さも、美貌も生まれ持ったものだろうが、それを維持するためにはやはり日々の積み重ねが必要なのだろう。
「毎日体を動かしてるんですか?」
「うん。主人や律もたまに走ってるの」
「旦那さん、若いですもんね……」
きっとうちの父と年齢はそう変わらないが、あまねくんの父親は背も高く、引き締まっているためか、とても若く見える。私の父だって清潔感はある方だと思うが、昭和気質の性格からか、今どきとは言いがたい。
「そう? ありがとう。周も、ここにいた時には、よく運動してたよ」
「そうなんですね。でも、あまねくんは機敏に動けるイメージですもん」
「機敏かなぁ? でも、リレーとかは速かったよ」
「運動会の動画とかないんですか?」
「運動会ね! あるある! 明日は皆お休みだし、皆で見ようか」
「いいんですか!?」
「うん! 赤ちゃんの時のもあるよ」
「うわぁ! 見たいです!」
急激にテンションが上がる。あまねくんに私が幼い頃のホームビデオが見たいと言われた時には恥ずかしいから嫌だと断ったが、ダリアさんにこんなふうに言われたら見たくないわけがない。
明日はあまねくんも帰ってくるし、楽しみが1つできた。
ダリアさんと話をしながら、軽いストレッチから始める。
「まどかちゃん、意外と体硬いのね 」
なんて笑われてしまったが、少しずつ伸ばしていき、ゆっくり時間をかけて体を解していった。
「一気に動かしすぎてもよくないから、ヨガにしない?」
ダリアさんの提案で、やったことのないヨガに挑戦した。呼吸法から、体の動かし方から学ぶ。見よう見まねでついていく。
時々、私の腕や背中を押して、補助してくれた。
こんなにもゆっくりと体を動かしているのに、いつの間にか汗だくだった。ランニングをした時のように息が切れるわけでもないのに、少しずつ体力が奪われていっているような感覚だ。
「はい、じゃあ今日はこれで終わり」
ダリアさんの掛け声で、本日の運動は終了した。
2階にあるシャワールームを借りて汗を流せば、スッキリとして気持ちがよかった。
悪いものが全部出た気がする。
「運動……ですか? 今では全くしないですね。仕事でけっこう体力を使ってたので……」
なんて言い訳だけれど。体を動かすこと自体は嫌いではないが、わざわざ運動をするということはしてこなかった。
実際に仕事から帰ってくれば、何もする気力が起きなかったのも事実だ。
「私ね、いつもこの時間から体を動かすの。まどかちゃんも一緒にどう? 気持ちいいわよ」
にっこり笑って誘われたら断れない。暫く体を動かしていないし、大丈夫だろうかと不安しかないが、着替えてからダリアさんについて行くと一室がジムのようになっていた。
色んなマシーンがあって、何に使うのかは不明だ。ただ、ランニングマシーンだけはわかる。
「すごいですね……自宅にこんな……」
「体型は維持したくて、ここも作ってもらったの。やっぱりいつまでも若くいたいし、健康にも気を付けなくちゃね」
この家の人達は皆努力家のようだ。ダリアさんのスタイルの良さも、美貌も生まれ持ったものだろうが、それを維持するためにはやはり日々の積み重ねが必要なのだろう。
「毎日体を動かしてるんですか?」
「うん。主人や律もたまに走ってるの」
「旦那さん、若いですもんね……」
きっとうちの父と年齢はそう変わらないが、あまねくんの父親は背も高く、引き締まっているためか、とても若く見える。私の父だって清潔感はある方だと思うが、昭和気質の性格からか、今どきとは言いがたい。
「そう? ありがとう。周も、ここにいた時には、よく運動してたよ」
「そうなんですね。でも、あまねくんは機敏に動けるイメージですもん」
「機敏かなぁ? でも、リレーとかは速かったよ」
「運動会の動画とかないんですか?」
「運動会ね! あるある! 明日は皆お休みだし、皆で見ようか」
「いいんですか!?」
「うん! 赤ちゃんの時のもあるよ」
「うわぁ! 見たいです!」
急激にテンションが上がる。あまねくんに私が幼い頃のホームビデオが見たいと言われた時には恥ずかしいから嫌だと断ったが、ダリアさんにこんなふうに言われたら見たくないわけがない。
明日はあまねくんも帰ってくるし、楽しみが1つできた。
ダリアさんと話をしながら、軽いストレッチから始める。
「まどかちゃん、意外と体硬いのね 」
なんて笑われてしまったが、少しずつ伸ばしていき、ゆっくり時間をかけて体を解していった。
「一気に動かしすぎてもよくないから、ヨガにしない?」
ダリアさんの提案で、やったことのないヨガに挑戦した。呼吸法から、体の動かし方から学ぶ。見よう見まねでついていく。
時々、私の腕や背中を押して、補助してくれた。
こんなにもゆっくりと体を動かしているのに、いつの間にか汗だくだった。ランニングをした時のように息が切れるわけでもないのに、少しずつ体力が奪われていっているような感覚だ。
「はい、じゃあ今日はこれで終わり」
ダリアさんの掛け声で、本日の運動は終了した。
2階にあるシャワールームを借りて汗を流せば、スッキリとして気持ちがよかった。
悪いものが全部出た気がする。
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