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再会
【45】
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「暗い気持ちになってもしょんないしさ、割りきってお休み楽しむことにするよ。臣くんのことは、検察の人と弁護士さんに任せるしかないしか」
「じゃあさ、またハイジさんのところ行こうよ!」
「まだハイジさんに拘ってたの!? 私、皆で飲みに行った後、1回だけあまねくんと行ったきりだからもう2ヶ月くらい行ってないかな」
「あんたっち薄情だね。2人がくっつく時に色々手助けしてもらったくせに」
手助け……と言っても、あまねくんに振られた後、電話越しにあまねくんとの約束は有効なのだと教えてもらっただけだ。あと、盗聴器の存在も。
まあ、あそこでハイジさんが伝達役を引き受けてくれなければ、私は悲しみに暮れたまま、人間不信に陥っていたかもしれない。とはいえ、あまねくんがそんなに頻繁に行かなくてもいいなんて言うから行かなくなってしまっただけだ。私1人で飲みに行くのはおかしな話だし。
「年齢的に仕事の前日に飲みに出るのは堪えるし、だからと言ってあまねくんと休みが会う日も中々ないからね。わざわざ行かないわけじゃないよ」
嘘ではない。飲ませたがりのハイジさんのペースに合わせて飲んでいたら、初めて彼の店に遊びに行った時のようになりかねない。
自重しなければならないのは仕方のないことだ。
「ふーん。じゃあ、私とならいいじゃん。先週も行ってきたんだけどね」
「は!? 1人で!?」
「うん」
「子供は?」
「まあ、預かりたいって言う時にちょこちょこ」
「しかもちょこちょこって……。授乳も必要なのにそんなに出掛けてる場合じゃないら」
「それがさ、麗夢ってばお利口さんでさ、1回授乳したら3時間泣かないのよ。その隙にささっとね」
そう言いながら、両腕を軽く振って見せる。全く呑気なものだ。こちらはストーカー被害に遭って深刻な状況だというのに。
「なんて言って出てくんの?」
「まどかと遊ぶ」
「……やっぱり。私の名前、言い訳に使われ過ぎててあんたの旦那にも義母にもよく思われてないんだからね」
「まあ……そうでしょうね。言っても旦那と会う機会なんかほぼほぼないんだから気にしなくていいら」
「あんたはいいかもしんないけん、勝手に悪者にされるこっちの身にもなってや」
相変わらずマイペースな茉紀に呆れる。こんなに馬鹿げたことでため息をつくなんて、茉紀といる時くらいのものだ。
私は、いつぞや茉紀の旦那に会った時の「いつも茉紀がお世話になっています」そう言った時の何か言いたげな目を思い出していた。夜な夜な妻を連れ出す親友として、認識されているのだろう。
彼女が言ったようにほとんど会う機会もないが、それにしたってそのほとんどに出くわした時、無駄に肩身の狭い思いをするのは私だ。
「んー、じゃあ別の方法を考える。なんて、私だって毎週のように出歩いてるわけじゃないだよ。2週間に1回くらい? 週末になる度、飲みに出てる旦那に比べたら可愛いもんしょ」
旦那は毎週飲みに出てるのか……。そりゃ、酒豪の茉紀からした面白くないか……。いやいや、だからと言って私の名前を使って遊びに行っていい理由にはならない。
危うく上手く丸め込まれてしまいそうになり、ひやりとする。
「じゃあさ、またハイジさんのところ行こうよ!」
「まだハイジさんに拘ってたの!? 私、皆で飲みに行った後、1回だけあまねくんと行ったきりだからもう2ヶ月くらい行ってないかな」
「あんたっち薄情だね。2人がくっつく時に色々手助けしてもらったくせに」
手助け……と言っても、あまねくんに振られた後、電話越しにあまねくんとの約束は有効なのだと教えてもらっただけだ。あと、盗聴器の存在も。
まあ、あそこでハイジさんが伝達役を引き受けてくれなければ、私は悲しみに暮れたまま、人間不信に陥っていたかもしれない。とはいえ、あまねくんがそんなに頻繁に行かなくてもいいなんて言うから行かなくなってしまっただけだ。私1人で飲みに行くのはおかしな話だし。
「年齢的に仕事の前日に飲みに出るのは堪えるし、だからと言ってあまねくんと休みが会う日も中々ないからね。わざわざ行かないわけじゃないよ」
嘘ではない。飲ませたがりのハイジさんのペースに合わせて飲んでいたら、初めて彼の店に遊びに行った時のようになりかねない。
自重しなければならないのは仕方のないことだ。
「ふーん。じゃあ、私とならいいじゃん。先週も行ってきたんだけどね」
「は!? 1人で!?」
「うん」
「子供は?」
「まあ、預かりたいって言う時にちょこちょこ」
「しかもちょこちょこって……。授乳も必要なのにそんなに出掛けてる場合じゃないら」
「それがさ、麗夢ってばお利口さんでさ、1回授乳したら3時間泣かないのよ。その隙にささっとね」
そう言いながら、両腕を軽く振って見せる。全く呑気なものだ。こちらはストーカー被害に遭って深刻な状況だというのに。
「なんて言って出てくんの?」
「まどかと遊ぶ」
「……やっぱり。私の名前、言い訳に使われ過ぎててあんたの旦那にも義母にもよく思われてないんだからね」
「まあ……そうでしょうね。言っても旦那と会う機会なんかほぼほぼないんだから気にしなくていいら」
「あんたはいいかもしんないけん、勝手に悪者にされるこっちの身にもなってや」
相変わらずマイペースな茉紀に呆れる。こんなに馬鹿げたことでため息をつくなんて、茉紀といる時くらいのものだ。
私は、いつぞや茉紀の旦那に会った時の「いつも茉紀がお世話になっています」そう言った時の何か言いたげな目を思い出していた。夜な夜な妻を連れ出す親友として、認識されているのだろう。
彼女が言ったようにほとんど会う機会もないが、それにしたってそのほとんどに出くわした時、無駄に肩身の狭い思いをするのは私だ。
「んー、じゃあ別の方法を考える。なんて、私だって毎週のように出歩いてるわけじゃないだよ。2週間に1回くらい? 週末になる度、飲みに出てる旦那に比べたら可愛いもんしょ」
旦那は毎週飲みに出てるのか……。そりゃ、酒豪の茉紀からした面白くないか……。いやいや、だからと言って私の名前を使って遊びに行っていい理由にはならない。
危うく上手く丸め込まれてしまいそうになり、ひやりとする。
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