【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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再会

【26】

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「拗ねてるって何……」

「さくらもお嫁に行っちゃったし、寂しいのよ。まどかがお嫁に行く前に最後に頼ってくれるのは、自分がよかったんじゃないのかな。実家を出て一人暮らしさせるのだって反対だったんだから」

「一人暮らしは、最初から反対してたじゃない。どうせすぐ根を上げて帰ってくるとか言ってきてさ」

「そう思ってたんでしょうね。まどかの頑固なところはお父さん譲りなのにね」

「ちょっ……私はあんなに石頭じゃないし」

「意地になって絶対実家になんか戻らないって言ったのはまどかじゃない」

「……そうだけど」

 就職してからずっと学生と同じように規則正しい生活を送っている父には、私のような交代勤務の仕事が理解できなかったようで、休みの日に遅くまで寝ていることを嫌った。

 夜勤だって昼過ぎに起きないととても24時間なんて起きていられないのに、「朝ごはんをちゃんと食べないと生活が乱れる」なんて言って朝5時半に起こされたり。
 職場まで少し遠いからと始めた一人暮らしだったが、逆に乱される生活リズムにうんざりして飛び出したのも確かだった。

「お母さんは、たまにまどかのアパートに遊びに行ってたけど、お父さんとはあまり会ってなかったでしょ? だから、これを機に実家に帰って来てほしいっていうのもあるんだと思うの」

「何それ……結局お父さんの我が儘じゃん。私のこと考えてるようなこと言って」

「まあまあ。まどかがもうお嫁に行っちゃうってわかってての最後の我が儘なんだから、少しはお父さんのことも理解してあげて。でも、結城くんのことはやっぱりお母さんも心配だから、弁護士さんつけてちゃんと法的措置をとってもらった方がいいと思う 」

「うん」

 私と母の会話を聞いていたあまねくんも「近いうちに、まどかさんと一緒に実家に行ってきます。また、近況報告はさせていただきますので」と言ってくれた。

「あまねくん、まどかのことお願いしますね。あなたがそんなに責任感じることはないんだからね。主人はああ言ってるけど、私達もできることはするから、一緒に頑張りましょう」

「ありがとうございます。お母様だけでもそう言っていただけると、心強いです。お姉さんもいますしね」

「そうね。さくらはまどかよりももっと気が強いから、結城くんを懲らしめるためなら、きっと何でも手を貸してくれるわ」

 あまねくんは、それを聞くと一瞬瞳を大きく開けたが、すぐにふっと微笑んで「まどかさんは、家族皆に愛されてるんですね」と言った。
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