117 / 289
再会
【17】
しおりを挟む
「守屋! てめぇ!」
縛られて身動きの取れない体で、彼は騒ぐ。縛っておいてよかったと心底思う。
雅臣は暫く大声を出していたが、その内に玄関でガチャッとドアが開いた。
勢いよく、警察官の制服を着た男性2人が乗り込んで来た。
牽制しようと意気込んできた警察官は、私達の様子を見て、動きを止めた。
「来てくださってありがとうございます。この人が、勝手に家に入り込んだ犯人です」
あまねくんは、そっと立ち上がり、警察官にそう説明した。
縛り上げられている雅臣を見て、警察官2人は顔を見合わせている。まさか、犯人を捕まえているだなんて思いもしなかったのだろう。
雅臣は、そのまま現行犯で連行されることとなり、私とあまねくんは事情聴取を受けることとなった。
顔合わせどころではなくなってしまった。私は、簡単な経緯を姉に連絡した。今日は、姉も菅沼さんも来てくれる予定だった。
まず両親のどちらかに連絡するのが道義ではあるが、父はあれこれと質問し、話が長くなるだろうし、母は取り乱すだろう。
雅臣が脱税で捕まった過去を知っている姉が1番冷静に話ができると思った。
案の定、両親には私から伝えておくと言ってくれた。
どこの警察署に行くのか聞かれ、場所を伝えると、迎えに来てくれるとのことだった。
事情聴取も時間がかかるだろうから、終わったら連絡すると言ったのだけれど、心配だからと聞かなかった。
妊婦の体に負担をかけてしまったのではないかとこちらも申し訳ない気持ちになる。
あまねくんと一緒に警察署に行くと、別々に事情聴取をされた。嫌な聞かれ方をされるのかと思っていたが、対応してくれたのは女性警察官で、優しく接してくれた。
そのお陰で、付き合っていた時のことから全てを順を追って話すことができた。
勝手に合鍵を作られたことには、鍵を変えるよう指摘を受け、危険だったらすぐに110番することや、防犯ブザーの常用なども提案された。
雅臣は、暫く勾留されるようで、はっきりとした刑罰については今後決まっていくと説明を受けた。
仮に雅臣が弁護士をつけるとなると、少々ややこしいことにもなるようだった。
そして、あまねくんが言ったように、私から訴訟を起こす時の、注意事項が伝えられた。
女性の警察官は、「同じ女性として、あなたを傷付けたあの人のことを私も許せない。こちらも証拠を集めて、なるべく一さんが安全に生活できるように努めます」と言ってくれた。
事情聴取は、雅臣の脱税についても聞かれ、話は広がりに広がって、結局3時間程かかってしまった。
疲弊しきった私達が警察署の出入口まで行くと、姉が待っていてくれた。
縛られて身動きの取れない体で、彼は騒ぐ。縛っておいてよかったと心底思う。
雅臣は暫く大声を出していたが、その内に玄関でガチャッとドアが開いた。
勢いよく、警察官の制服を着た男性2人が乗り込んで来た。
牽制しようと意気込んできた警察官は、私達の様子を見て、動きを止めた。
「来てくださってありがとうございます。この人が、勝手に家に入り込んだ犯人です」
あまねくんは、そっと立ち上がり、警察官にそう説明した。
縛り上げられている雅臣を見て、警察官2人は顔を見合わせている。まさか、犯人を捕まえているだなんて思いもしなかったのだろう。
雅臣は、そのまま現行犯で連行されることとなり、私とあまねくんは事情聴取を受けることとなった。
顔合わせどころではなくなってしまった。私は、簡単な経緯を姉に連絡した。今日は、姉も菅沼さんも来てくれる予定だった。
まず両親のどちらかに連絡するのが道義ではあるが、父はあれこれと質問し、話が長くなるだろうし、母は取り乱すだろう。
雅臣が脱税で捕まった過去を知っている姉が1番冷静に話ができると思った。
案の定、両親には私から伝えておくと言ってくれた。
どこの警察署に行くのか聞かれ、場所を伝えると、迎えに来てくれるとのことだった。
事情聴取も時間がかかるだろうから、終わったら連絡すると言ったのだけれど、心配だからと聞かなかった。
妊婦の体に負担をかけてしまったのではないかとこちらも申し訳ない気持ちになる。
あまねくんと一緒に警察署に行くと、別々に事情聴取をされた。嫌な聞かれ方をされるのかと思っていたが、対応してくれたのは女性警察官で、優しく接してくれた。
そのお陰で、付き合っていた時のことから全てを順を追って話すことができた。
勝手に合鍵を作られたことには、鍵を変えるよう指摘を受け、危険だったらすぐに110番することや、防犯ブザーの常用なども提案された。
雅臣は、暫く勾留されるようで、はっきりとした刑罰については今後決まっていくと説明を受けた。
仮に雅臣が弁護士をつけるとなると、少々ややこしいことにもなるようだった。
そして、あまねくんが言ったように、私から訴訟を起こす時の、注意事項が伝えられた。
女性の警察官は、「同じ女性として、あなたを傷付けたあの人のことを私も許せない。こちらも証拠を集めて、なるべく一さんが安全に生活できるように努めます」と言ってくれた。
事情聴取は、雅臣の脱税についても聞かれ、話は広がりに広がって、結局3時間程かかってしまった。
疲弊しきった私達が警察署の出入口まで行くと、姉が待っていてくれた。
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる