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ラポール形成
【17】
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「色々ありますけど、1番は年齢です。30過ぎてあんな若作りした格好恥ずかしくないんですか?」
おお……それは、ちょっとキツイ。
でも、膝丈にしたし、自分の中ではTPOをわきまえたつもりだ。
「相手のご実家に伺うのには、失礼のない服装で行ったつもりだよ?」
「ファッション業界にいる私からすれば、あなたの服装、ダサいですから」
「そっか。じゃあ、奏ちゃんとは趣味が合わないんだね。あまねくんは可愛いって言ってくれたよ?」
「兄は女性の服装に疎いだけです!」
「そう。じゃあ、年齢以外には?」
私は、長期戦になりそうなのでソファに体を移して、背中を預けた。
ボーッと点いていないテレビの画面を見ながら会話を続ける。
「兄は国公立の大学出てるけど、あなたはどうなんですか!?」
「私は、短大卒だけど、奏ちゃん高卒だよね? 確かにあまねくんよりは学歴下だけど、奏ちゃんよりは上だよ」
「なっ……兄は税理士もってます! 国家資格ですよ!」
「私も税理士には敵わないけど、一応介護福祉士は国家資格だよ? 奏ちゃん、国家資格持ってたっけ?」
くだらないことをだらだらと……私もそんなに暇じゃないんだけどな。明日も仕事だし。
そんなことが頭を過る。
23歳ってこんなに子供だったかな? 大塚さんは現在23歳だし、千尋ちゃんの23歳の頃も見てきた。
だけど、こんなに子供っぽい考え方はしていなかったように思う。
「……私は、色んなショーにも出させてもらってるし、日本で活躍してます!」
「そうだね」
「あなたは、日本のために役立ってるんですか!?」
そんなことを言うものだから、思わず笑ってしまった。なんだか、すっごく小さい子供と話をしている気分になって、段々と可愛く思えてしまった。
「何笑ってるんですか!?」
「ごめっ……ははっ……、日本のためだよね。そうだなぁ……超高齢社会の今、介護士はいないと困るだろうね。自負しているわけじゃないけど、私1人でも辞めたら施設も利用者も困るだろうし、日本全体で言えば介護職員の人手不足は深刻な問題だと思うよ。
奏ちゃんはさ、ファッションの世界で最先端で頑張ってて、若い子からの人気者かもしれない。でも、モデルさんってあんまり上下関係ないの? 私に説教する前に、ちゃんと一般常識を身につけた方がいいと思うよ。あまねくんの彼女としてじゃなくて、人生の先輩として言わせてもらうけど、若いから許されてるのは今だけだと思う」
そこまで言うと、彼女は黙りこくった。だから、ついでに思っていることを全て言わせていただく。
「奏ちゃんさ、私の年齢について凄く気にしてるけど、自分はどうなの? 10代で活躍してるモデルさん、いっぱいいるよね? 世界のコレクションだって旬は10代後半から20台前半でしょ? 奏ちゃんはあと2年で20代後半でしょ?
これからどんどん若くて綺麗なモデルさん入ってくるのに、自分はいつまで活躍できると思ってるの? 人生設計がしっかりされてるならかまわないけど、同じ社会人として、もし私が起用する側なら、常識のない子は扱いにくいから使わないなぁ……」
年下相手にここまで言うつもりはなかったけれど、私にならまだしも現場でこんな態度を取っているのならきっといつか切り捨てられる。
競争社会のモデル業界では、ある程度気が強いのも大事なのかもしれないが、協調性のなさ、常識のなさが仇となる時がきっとくる。
それを目の当たりにしてからじゃ、立て直すのは難しい。今、それに気付くことができれば、まだ間に合う。
おお……それは、ちょっとキツイ。
でも、膝丈にしたし、自分の中ではTPOをわきまえたつもりだ。
「相手のご実家に伺うのには、失礼のない服装で行ったつもりだよ?」
「ファッション業界にいる私からすれば、あなたの服装、ダサいですから」
「そっか。じゃあ、奏ちゃんとは趣味が合わないんだね。あまねくんは可愛いって言ってくれたよ?」
「兄は女性の服装に疎いだけです!」
「そう。じゃあ、年齢以外には?」
私は、長期戦になりそうなのでソファに体を移して、背中を預けた。
ボーッと点いていないテレビの画面を見ながら会話を続ける。
「兄は国公立の大学出てるけど、あなたはどうなんですか!?」
「私は、短大卒だけど、奏ちゃん高卒だよね? 確かにあまねくんよりは学歴下だけど、奏ちゃんよりは上だよ」
「なっ……兄は税理士もってます! 国家資格ですよ!」
「私も税理士には敵わないけど、一応介護福祉士は国家資格だよ? 奏ちゃん、国家資格持ってたっけ?」
くだらないことをだらだらと……私もそんなに暇じゃないんだけどな。明日も仕事だし。
そんなことが頭を過る。
23歳ってこんなに子供だったかな? 大塚さんは現在23歳だし、千尋ちゃんの23歳の頃も見てきた。
だけど、こんなに子供っぽい考え方はしていなかったように思う。
「……私は、色んなショーにも出させてもらってるし、日本で活躍してます!」
「そうだね」
「あなたは、日本のために役立ってるんですか!?」
そんなことを言うものだから、思わず笑ってしまった。なんだか、すっごく小さい子供と話をしている気分になって、段々と可愛く思えてしまった。
「何笑ってるんですか!?」
「ごめっ……ははっ……、日本のためだよね。そうだなぁ……超高齢社会の今、介護士はいないと困るだろうね。自負しているわけじゃないけど、私1人でも辞めたら施設も利用者も困るだろうし、日本全体で言えば介護職員の人手不足は深刻な問題だと思うよ。
奏ちゃんはさ、ファッションの世界で最先端で頑張ってて、若い子からの人気者かもしれない。でも、モデルさんってあんまり上下関係ないの? 私に説教する前に、ちゃんと一般常識を身につけた方がいいと思うよ。あまねくんの彼女としてじゃなくて、人生の先輩として言わせてもらうけど、若いから許されてるのは今だけだと思う」
そこまで言うと、彼女は黙りこくった。だから、ついでに思っていることを全て言わせていただく。
「奏ちゃんさ、私の年齢について凄く気にしてるけど、自分はどうなの? 10代で活躍してるモデルさん、いっぱいいるよね? 世界のコレクションだって旬は10代後半から20台前半でしょ? 奏ちゃんはあと2年で20代後半でしょ?
これからどんどん若くて綺麗なモデルさん入ってくるのに、自分はいつまで活躍できると思ってるの? 人生設計がしっかりされてるならかまわないけど、同じ社会人として、もし私が起用する側なら、常識のない子は扱いにくいから使わないなぁ……」
年下相手にここまで言うつもりはなかったけれど、私にならまだしも現場でこんな態度を取っているのならきっといつか切り捨てられる。
競争社会のモデル業界では、ある程度気が強いのも大事なのかもしれないが、協調性のなさ、常識のなさが仇となる時がきっとくる。
それを目の当たりにしてからじゃ、立て直すのは難しい。今、それに気付くことができれば、まだ間に合う。
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