【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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愛情

【40】

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「まどかさんもいつもより濡れてる。気持ちいの?」

 下からずんずんと突き上げられて、体が上下する。その度にナカで擦れて何も考えられなくなる。

「きもち……っぁ……んん……ふぁっ、ぁっ」

「俺も。ずっと繋がってたい」

 こんなにも激しく揺さぶられているのに、背中を預けた安定している彼の体に安心する。
 既に2回の絶頂を迎えている私の体は、敏感になり、少しの刺激ですぐにでもまた達しそうになる。

「あまねくっ……またっ、あっ……」

「待って、まどかさっ……今イカれたら俺、もたないっ」

 余裕そうだった彼の息も途切れつつあり、汗だかお湯だかわからない水滴を体で擦り合って入り乱れていく。
 彼はそう言うけれど、とても我慢できそうになくて、自分の意思とは関係なく、彼の熱を咥え込んだまま果てる。

「や、ばっ……キツ……」

 彼の苦しそうな声が聞こえ、一気に体から圧が消えると、彼は私の体をぎゅっと抱き締めた。2人揃って息を荒げる。
 彼の胸が上下しているのが背中に伝わり、浴槽に張った湯からでる湯気か、2人から出る蒸気かわからない白い靄が浴室を覆っていた。

 両足を彼の太腿にかけたままの状態でいる私は、少しだけ体を起こす。
 浴室のドアまで白濁の液が飛び散っていて、冷静になってみれば中々の大惨事だった。いつの間にか取れてしまっていた頭のタオルを拾い上げ、含んだお湯を絞る。

「……あんな方まで飛んでるよ」

「言わなくていいの。久しぶりだったからね」

 ようやく呼吸も落ち着き始め、どっと疲れた体を再び彼に預ける。
 おそらく汗をかいたであろう体をシャワーで流し、ようやく浴槽へと浸かった。洗い場にいた時と同じように、彼の胸に背中を預けた。

「あったか……。いくら運動してもやっぱシャワーだけだと寒いよね」

「もう絶対あまねくんとはお風呂入んないからね……」

「え?  何で?」

「毎回こんなことされたらリラックスできない……」

 膝を抱えて鼻先まで顔を湯に浸ける。せっかくのお風呂なのに体はくたくただ。

「えー……。まどかさんだって気持ち良さそうにしてたじゃん」

「……」

 お湯をぶくぶくとさせてしらを切る。

「聞こえないふりしないの」

 後ろで彼が笑うから、お湯が少しだけ波打つ。

「ねぇ、それよりさ。まどかさん、仕事で何かあった?」

 不意にそう聞かれて、顔をお湯から出す。

「仕事?  何で?」

「んー、昼休みにラインくれないこととか今までなかったからさ。急変とかあってお昼ご飯食べる暇もなかったのかなぁって」

「あー……。急変じゃないんだけどね、じわじわ系」

 千代さんのことが心配で昼休みも早く切り上げたり、ご飯を食べててもそっちに気をとられてしまった。その結果彼をほったらかしにしてしまったのだけれど。

「じわじわ系?」

「うん。私の好きな利用者さんがいてね、おばあちゃんなんだけど。今、体調悪いんだ」

「病気なの?」

「うーん……少なからず病気はあるんだと思うよ。でも、施設ってよっぽどの急変でもない限り病院にはいかないの。だから、あの人の体の中で何が起こってるのかはわからない」

「そっか……。それじゃあ、心配だね。今も体調悪いんだ?」

「うん。ちょっと水分とれるようにはなったし、元気になってはきたけどね……96歳だしね。多分もうダメだと思う」

 仕事中は口に出さないようにしていた。諦めたくはなかったし。けれど、私の経験がそう言っている気がした。
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