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愛情
【31】
しおりを挟む家に帰ったら電話をしよう。もう眠ってしまっているかもしれないけれど。
明日は休みだし、彼の好物のグラタンでも作ってあげよう。それから、この靴を履いてデートの計画を立てよう。
1人で抱えるのが辛いものは、いつもあまねくんが半分背負ってくれた。今は同じ悩みを抱えているのだから、共有して、半分こすればいい。
「じゃ、まどかの方はそれで解決でいいね」
「うん。大丈夫。うちに帰ったら連絡してみる」
「よし。それじゃ、うちらの話に入るけど……」
そう言って間をとる姉。いよいよ、結婚するのね。お姉ちゃん、おめでとう。そう思っていたら「子供ができたの」と言葉を続けた。
「は!? 入籍の話じゃなくて?」
「うん。入籍、するよ」
「そりゃ……するよね」
てっきりそろそろちゃんと入籍しますから話が入ると思っていたため、茉紀に続き姉までもかと驚きを通り越して呆れた。
「順番変わっちゃってごめんね、まどかちゃん」
「いえ……まあ、おめでたいことには変わりないですから。お姉ちゃん、おめでとう」
父と母は、だからさっさと籍入れればよかったじゃないかと言うことだろう。しかし、同棲生活ももう4年だ。ほとんど事実婚状態だったのだから、いつできてもおかしくはなかった。
結婚したからといってすぐに子供ができるとは限らないし、それなら授かってくれてよかったというものだ。
あんなに孫の顔を見たがっていた両親のことだから、案外すんなり受け入れてくれるかもしれない。
「まどか、ありがとう。それでね、同棲する時に、各々の家族に挨拶は行ってるし、そのまま両家顔合わせをしようと思うの」
「そうだよね。いつ?」
「あんたの仕事の都合もあると思うから、来月の土日のどこかで予定してる。それでシフト組める?」
「うん。じゃあ、およその日取りが決まったら教えて」
こうして驚きはあったものの、おめでたいニュースを聞き、私も前向きに自分のことを考えていかなきゃダメだなと背筋を伸ばすのだった。
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