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パーティーでは淑女を演じさせていただきます
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ぎこちない動きをしていたことが恥ずかしかったのもあるが、横に並んだ旭との距離が近く、緊張から夕映はカチンと硬直した。普段とは異なる、爽やかで甘い香りがした。
「あ、ありがとうございます……お肉が食べたいです」
ブロッコリーと鶏肉を和えた料理を指差した夕映。顔を伏せ、少し震える指先をすぐにしまい込んだ。
先生、いい匂いする……香水でも付けてるのかな?
そっと見上げてみれば、身長差から旭の顎の下を見つめる形になった。綺麗に浮き出た顎骨のライン。手を伸ばしたことにより首筋の腱が浮き出て見えた。そこに男性としての魅力を感じ、ドキドキと鼓動が速くなる。
まだ香水すら付けたことのない夕映は、自分が知らない大人の魅力をたっぷりと見せつけられて心臓が忙しそうである。
「他には?」
「えっと……あれと、それと……これも……」
どぎまぎしながら、適当に指を指すと、手際よくそれらを皿に乗せていく。盛り付け方も美しく、見ただけで涎が出そうなほど夕映の空腹感を更に膨らめた。
渡された皿を受け取ると、口角を上げる夕映。自然とこぼれた笑みが何とも嬉しそうで、旭は本当に子供みたいだと思わず笑い、頭を撫でてしまいそうにすらなった。
しかし、子供扱いを嫌がる素振りを見せる夕映の姿を思い出し、そっと伸ばしかけた手を降ろした。
「あーさひ」
後から心地良い声が聞こえ、旭の胸は大きく1度跳ね上がった。聞き間違えるはずのない、愛しい人の声。その瞬間、肩にずしんと重さが加わり、少し前のめりになった。
「どれ美味しい?」
すぐに耳元でそう囁かれ、旭は心臓が口から飛び出てしまうんじゃないかというほど激しく動いた。頬を掠める保の吐息と、ヘアワックスの匂い。
普段はその美しい顔立ちを隠すため、前髪をセンター分けにして黒縁の伊達眼鏡をかけている。入社したばかりの頃は、確かに前髪も下ろしていたし、眼鏡なんてかけてはいなかった。
同じく同期である心療内科医の古河朋樹と同じ風貌にし始めたのはいつからだったか。
「あ、ありがとうございます……お肉が食べたいです」
ブロッコリーと鶏肉を和えた料理を指差した夕映。顔を伏せ、少し震える指先をすぐにしまい込んだ。
先生、いい匂いする……香水でも付けてるのかな?
そっと見上げてみれば、身長差から旭の顎の下を見つめる形になった。綺麗に浮き出た顎骨のライン。手を伸ばしたことにより首筋の腱が浮き出て見えた。そこに男性としての魅力を感じ、ドキドキと鼓動が速くなる。
まだ香水すら付けたことのない夕映は、自分が知らない大人の魅力をたっぷりと見せつけられて心臓が忙しそうである。
「他には?」
「えっと……あれと、それと……これも……」
どぎまぎしながら、適当に指を指すと、手際よくそれらを皿に乗せていく。盛り付け方も美しく、見ただけで涎が出そうなほど夕映の空腹感を更に膨らめた。
渡された皿を受け取ると、口角を上げる夕映。自然とこぼれた笑みが何とも嬉しそうで、旭は本当に子供みたいだと思わず笑い、頭を撫でてしまいそうにすらなった。
しかし、子供扱いを嫌がる素振りを見せる夕映の姿を思い出し、そっと伸ばしかけた手を降ろした。
「あーさひ」
後から心地良い声が聞こえ、旭の胸は大きく1度跳ね上がった。聞き間違えるはずのない、愛しい人の声。その瞬間、肩にずしんと重さが加わり、少し前のめりになった。
「どれ美味しい?」
すぐに耳元でそう囁かれ、旭は心臓が口から飛び出てしまうんじゃないかというほど激しく動いた。頬を掠める保の吐息と、ヘアワックスの匂い。
普段はその美しい顔立ちを隠すため、前髪をセンター分けにして黒縁の伊達眼鏡をかけている。入社したばかりの頃は、確かに前髪も下ろしていたし、眼鏡なんてかけてはいなかった。
同じく同期である心療内科医の古河朋樹と同じ風貌にし始めたのはいつからだったか。
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