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先生は同性愛者
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旭はふうっと軽く息をつく。そっと視線を伏せて「迷惑がるような人じゃない。だから困るんだよね。いっその事突っぱねてくれたら諦めはつくんだけど」と呟く。
「つかないと思いますよ。だって私は何度も先生に振られてますけど、未だに諦めてませんもん」
旭は目を丸くさせて、ゆっくりパチパチと瞬かせる。そう言えばこの子は俺のことが好きだったんだっけ。そう思わず忘れてしまうほど、保について話し過ぎてしまったと不思議な感覚を抱いた。
「諦め悪いね」
「悪いですね。だって可能性ゼロじゃないですもん。先生言ったじゃないですか。女性に興味がないわけじゃないって。それって女性を好きになる可能性もなくはないってことですよね」
「すごい、前向き。なくはないかもしれないけど、今までないんだよ? 今の俺の恋愛対象は限りなく男性のみなんだけど」
「ゼロじゃない」
「……まあ、ゼロじゃ、ない……まぁ……」
旭はうーんと考え込んだ。こんなことを言われたのは初めてだった。幼い頃から好きになるのは決まって男だった。女性を可愛いと感じることもある。性的魅力を一切感じないわけでもない。ただ、恋愛感情は別だった。
一緒にいてドキドキしたり、また会いたいと思ったり、寄り添って触れてみたいと思うのは男性ばかりだ。
それを初めて知られた中学生の時、からかわれ、蔑まれ、罵られた。別に他人にどう思われようとかまわなかった。自分は他の人とは違う。そう思って生きてきた。辛いことは数え切れないほどあったが、医師になるという目的が自分にはあったから、生きる希望を失わずにいられた。
ただ、死にたくなるほど辛かったのは、好きだった相手に「気持ち悪い。2度と近付くなよ」と言われたことだった。
つい先日まで仲良くしていたのに、旭と一緒にいるのが1番楽しいと言ってくれたのに、旭の持つ感情が恋愛の類だと知るや否や、一瞬で掌を返された。
「つかないと思いますよ。だって私は何度も先生に振られてますけど、未だに諦めてませんもん」
旭は目を丸くさせて、ゆっくりパチパチと瞬かせる。そう言えばこの子は俺のことが好きだったんだっけ。そう思わず忘れてしまうほど、保について話し過ぎてしまったと不思議な感覚を抱いた。
「諦め悪いね」
「悪いですね。だって可能性ゼロじゃないですもん。先生言ったじゃないですか。女性に興味がないわけじゃないって。それって女性を好きになる可能性もなくはないってことですよね」
「すごい、前向き。なくはないかもしれないけど、今までないんだよ? 今の俺の恋愛対象は限りなく男性のみなんだけど」
「ゼロじゃない」
「……まあ、ゼロじゃ、ない……まぁ……」
旭はうーんと考え込んだ。こんなことを言われたのは初めてだった。幼い頃から好きになるのは決まって男だった。女性を可愛いと感じることもある。性的魅力を一切感じないわけでもない。ただ、恋愛感情は別だった。
一緒にいてドキドキしたり、また会いたいと思ったり、寄り添って触れてみたいと思うのは男性ばかりだ。
それを初めて知られた中学生の時、からかわれ、蔑まれ、罵られた。別に他人にどう思われようとかまわなかった。自分は他の人とは違う。そう思って生きてきた。辛いことは数え切れないほどあったが、医師になるという目的が自分にはあったから、生きる希望を失わずにいられた。
ただ、死にたくなるほど辛かったのは、好きだった相手に「気持ち悪い。2度と近付くなよ」と言われたことだった。
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