現代摩訶不思議詩集

yoh_okazaki

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絵〜或いは阿片が欲しかった

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この目玉と指先の紡ぐ
なににも見えない絵
タグを付けて売られる
#モノクロ#緻密#抽象画

わたしの絵は怖い
んだって
気持ち悪い
んだって
でも魅力てき
なんだってさ

覚醒剤を打ってた頃は
一日中布団の中で
マルマン図案スケッチブック
SARASAボールペン
絵だけ描いてた

絵といっても
とりとめのない模様や線
塗り潰された形や
塗り潰さない丸
点が打ち込まれている辺り
目玉をモチーフにして
細胞をモチーフにして

わたしは脳の一部に損傷があり
記憶がなくなる
絵を描いてるときは
意識のない状態で

脳の一部がないけど
画用紙の白いところを
ボールペンで黒くする

そんな頃
飲み食いもしない
眠りも短い
完全に精神病だった

社長というひと
嘘を一手に引き受けて
嘘を広めるのが業だという
社長とわたしとは
覚醒剤で知り合った

覚醒剤を抜くという
病院で
同じリハビリを受けてて
わたしは脳の一部に損傷があり
絵を描いてた
コカコーラ
それが社長のもってた
すべてで
感動てきな出会いだった

或いは阿片が欲しかったけど
わたしは社長に
コカコーラをもらってのんだ
あぶくが苦しかったけど
とてもとても美味しかった

リハビリないときも
わたしは絵を描いてて
脳の一部に損傷はあるが
生きていたのに
社長は
なぜかコカコーラばかり
のんだし持ってた
なんなのだろう


或いは阿片が欲しかった
阿片は知らないけど
むかしは阿片を売ってたと
社長が言ってた
覚醒剤はもういらない
社長は

たまに
しがれっとを吸った
かなしそうだったし
わたしにしがれっとをすすめた
ことわらずもらって吸った
或いは阿片が欲しかった
しがれっとじゃダメだった
コカコーラはいい

しがれっとの苦みはいらない
コカコーラばっかもらった
とてもとても美味しくて
コカイン入りだと
社長は言った
わたしのやった覚醒剤の名をきくと
それははやく死ぬ
と言った
まだ死にたくないだろう
と言った
絵の才能がある
と言った
そういうことは
わたしは脳の一部に損傷があり
よくわからない

そして覚醒剤も抜けて
健康てきな
わたしも社長も

絵を描くだけがわたしで
社長にやとわれた
わたしにコカコーラを与えては
わたしの描いた絵を売っていた
金になってたらしい

そのようにカンパニーはできて
社長はその他の嘘を
仕入れては売りさばく
コカイン入りの
コカコーラだって売る

わたしは脳の一部に損傷がある
子どもの頃、オヤに
殺されるほど殴られて
大金もちに
引き取られて
めたくそかわいがられて
でも
ガッコではとことん
いじめられて
はだかにされたり
爪剥がれたり
あとわすれた

わたしが
いつから絵を描いたか
もうずっとまえ
おぼえてないくらいずっとまえ
気がついたら
絵を描かなくては
生きてられなかった

描いちゃった絵はいらない
欲しいならあげるから
新しい紙とペンちょうだい
覚醒剤はやめたから
コカコーラのんで
やっぱりわたしは
一日中布団の中で絵を
描いちゃうし
眠れないし
でもちょっと疲れたよ
コカコーラ美味しいけど
或いは阿片が欲しかった

わたしはそうやって
死ぬ間際まで絵を描いて
変死しました
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