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Chapter2 『実験』の始まり
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お弁当を食べ終えて、教室に帰ってゆったり座る。短い時間だけれど、これが私の至福の時間だ。なんならちょっとウトウトするのもいい。
だけど今日は、手にした携帯端末のメモを見てうんうん唸っていた。
試験勉強じゃない。買い物のメモでもない。
これは、さっきナオヤと一緒に作った『実験リスト』だ。ちなみにナオヤとメモデータを共有しているので、二人同時に見られるし、編集もできる。
今も、ナオヤは隣の席で同じメモを見て、何やら考え込んでいる。私よりもずっと楽しげに、だけど。
「ねえ、これ……本当にやるの?」
「もちろん」
即答だ。名案だと思っているらしい……。
事の発端は、先ほどのお弁当の後の会話。話が先日の会話……『二人とも、愛や尚也のプロトタイプだ』というところに巻き戻った。
では、どうしたらよりオリジナルに近づけるか。幸いお互いに、お互いのオリジナルを知っている。つまりオリジナルを知る人間が自分以外にもできたという状況だ。
そこでナオヤが言ったのは……
――オリジナルの特徴や行動パターンをトレースしてみましょう
一人でなら発想に限界があるけど、二人なら違う角度で指摘し合えて、良い結果を生むのではないか、と……そういうわけだ。
そこでナオヤは、提案した。
これから色々と、オリジナルの行動パターンをトレースした行動をリストにして、一つ一つ実験していこう、と。
そうしてあれこれアイデアを出して出来たのが、この『実験リスト』だ。
なんだかずっと前に聞いた、死ぬまでにやりたいことを記したという『棺桶リスト』に似たものを感じるけれども……目的が違うので、まぁよしとしよう。
それにしても、いざ案を出し合うとけっこう色々思いつくものだった。
リストは、概ねこんな内容……
・学校帰りに寄り道
・友達をつくる
・激甘スイーツを食べる
・激辛料理を食べる
・部活動をする
・誰かを笑わせる
今のところはこんな感じ。どれもこれも、すぐにでもできるんじゃないかと思えて、実験になるんだろうかと不安になる。
「やはり難易度の低いものから試していきましょう。まずは、これから……」
そう言ってナオヤは、リストを指さした。リストの先頭にある項目『学校帰りに寄り道』を。
そんなに気合いを入れて臨むものなのか……そう、思っていたのだけれど……。
だけど今日は、手にした携帯端末のメモを見てうんうん唸っていた。
試験勉強じゃない。買い物のメモでもない。
これは、さっきナオヤと一緒に作った『実験リスト』だ。ちなみにナオヤとメモデータを共有しているので、二人同時に見られるし、編集もできる。
今も、ナオヤは隣の席で同じメモを見て、何やら考え込んでいる。私よりもずっと楽しげに、だけど。
「ねえ、これ……本当にやるの?」
「もちろん」
即答だ。名案だと思っているらしい……。
事の発端は、先ほどのお弁当の後の会話。話が先日の会話……『二人とも、愛や尚也のプロトタイプだ』というところに巻き戻った。
では、どうしたらよりオリジナルに近づけるか。幸いお互いに、お互いのオリジナルを知っている。つまりオリジナルを知る人間が自分以外にもできたという状況だ。
そこでナオヤが言ったのは……
――オリジナルの特徴や行動パターンをトレースしてみましょう
一人でなら発想に限界があるけど、二人なら違う角度で指摘し合えて、良い結果を生むのではないか、と……そういうわけだ。
そこでナオヤは、提案した。
これから色々と、オリジナルの行動パターンをトレースした行動をリストにして、一つ一つ実験していこう、と。
そうしてあれこれアイデアを出して出来たのが、この『実験リスト』だ。
なんだかずっと前に聞いた、死ぬまでにやりたいことを記したという『棺桶リスト』に似たものを感じるけれども……目的が違うので、まぁよしとしよう。
それにしても、いざ案を出し合うとけっこう色々思いつくものだった。
リストは、概ねこんな内容……
・学校帰りに寄り道
・友達をつくる
・激甘スイーツを食べる
・激辛料理を食べる
・部活動をする
・誰かを笑わせる
今のところはこんな感じ。どれもこれも、すぐにでもできるんじゃないかと思えて、実験になるんだろうかと不安になる。
「やはり難易度の低いものから試していきましょう。まずは、これから……」
そう言ってナオヤは、リストを指さした。リストの先頭にある項目『学校帰りに寄り道』を。
そんなに気合いを入れて臨むものなのか……そう、思っていたのだけれど……。
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