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第3章 泥まみれの宝
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素っ頓狂な声がどこからか響いた。
アベルは急に緊張が解けたように、呆れた顔をしていた。
レオナールは、念のため周囲に視線を向けた。アランも含めた他の領民たちは、顔を見合わせながら、小さく首を傾げたり、横に振ったりしている。
「ほら、これから畑をもっと拡張していくでしょう? そのために労働力を確保しないといけないじゃないですか。畑作りに長けていて職に困っているこの人たち、働き手が一人でも多く欲しい私たち……ちょうどいいじゃありませんか。いかがですか、アベル様?」
「……元の村の領主とも交渉がいる。それにうちの民の意見も聞かねば」
アベルはもう一度、領民たちに意思を問うた。すると、領民たちはおずおずと頷いたのだった。
「俺らは……アベル様に従うんで……それに、きちんと罰になるんなら……」
アベルは村人たちを見回してから今度は侵入者に顔を向けた。
「だそうだ。どうする? 念のため、意見を聞いてやろう」
「お、俺は……やります。やらせて下さい。せめてもの、罪滅ぼしに……」
「わかった。ならばお前たちの身柄は俺が預かろう。我が領地で盗みを働いた罰として、ひとまずは三ヶ月ほど農作業奉仕……ということでどうだ?」
そう、全員に告げるアベル。皆戸惑っていたが、決して悪い戸惑いではなかった。
「そう……か。そういう方法もあるのか」
「それで問題が全部解決するんなら、いいんじゃないのか?」
「むしろ、その方がいいよな」
口々に聞こえてくる言葉は、これからの未来に希望を見いだす言葉ばかり。
その声に後を押されたようにジャンが手を挙げた。
「じゃあアベル様。俺からも提案です」
「……何だ」
アベルの眉が、またしても中央に寄った。
「そんな顔しないで下さいよ。合理的な話をしようとしているだけですって」
「……すまんな。今の俺は懐疑的なんだ」
「畑泥棒は快く受け入れたのに? 身内には厳しいんだから……」
ジャンは苦笑いをして、手にしていたジャガイモをずいと突き出した。
「作るんなら、こいつの畑を作りませんか?」
「はあ!?」
アベルは急に緊張が解けたように、呆れた顔をしていた。
レオナールは、念のため周囲に視線を向けた。アランも含めた他の領民たちは、顔を見合わせながら、小さく首を傾げたり、横に振ったりしている。
「ほら、これから畑をもっと拡張していくでしょう? そのために労働力を確保しないといけないじゃないですか。畑作りに長けていて職に困っているこの人たち、働き手が一人でも多く欲しい私たち……ちょうどいいじゃありませんか。いかがですか、アベル様?」
「……元の村の領主とも交渉がいる。それにうちの民の意見も聞かねば」
アベルはもう一度、領民たちに意思を問うた。すると、領民たちはおずおずと頷いたのだった。
「俺らは……アベル様に従うんで……それに、きちんと罰になるんなら……」
アベルは村人たちを見回してから今度は侵入者に顔を向けた。
「だそうだ。どうする? 念のため、意見を聞いてやろう」
「お、俺は……やります。やらせて下さい。せめてもの、罪滅ぼしに……」
「わかった。ならばお前たちの身柄は俺が預かろう。我が領地で盗みを働いた罰として、ひとまずは三ヶ月ほど農作業奉仕……ということでどうだ?」
そう、全員に告げるアベル。皆戸惑っていたが、決して悪い戸惑いではなかった。
「そう……か。そういう方法もあるのか」
「それで問題が全部解決するんなら、いいんじゃないのか?」
「むしろ、その方がいいよな」
口々に聞こえてくる言葉は、これからの未来に希望を見いだす言葉ばかり。
その声に後を押されたようにジャンが手を挙げた。
「じゃあアベル様。俺からも提案です」
「……何だ」
アベルの眉が、またしても中央に寄った。
「そんな顔しないで下さいよ。合理的な話をしようとしているだけですって」
「……すまんな。今の俺は懐疑的なんだ」
「畑泥棒は快く受け入れたのに? 身内には厳しいんだから……」
ジャンは苦笑いをして、手にしていたジャガイモをずいと突き出した。
「作るんなら、こいつの畑を作りませんか?」
「はあ!?」
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