義妹の策略で婚約破棄された高嶺の花は、孤高の王太子に溺愛される。

胡桃

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第一章

51.エピローグ

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 ――XX年後。

 どこまでも広がる青空の下、純白のドレスに身を包んだ彼女は、これまで以上に美しく、華やかな笑みを見せていた。
 眩しくて、眩しくて、この目がけてしまっても良いと思うほど、その笑顔から僕は目を離せない。
 今日この日に、彼女が永遠に己のものになるだなんて、今になっても信じられなくて、目を離したら幻になって消えてしまうのではないかと不安もあって――一生見つめていたいと思って……。
 
 他者が聞けば、そんな馬鹿なことがあるかと嘲笑うだろう。
 
 人が幻になって消えるなどあり得ないと諭されるだろう。

 そんなことは、誰に言われずともわかっている。
 人は、己が手に入れた幸福が大きければ大きいほど、それと同じくらいの不幸が訪れるのではと考えるものだと僕は思う。
 
 だが、僕が不安に呑まれ道を迷えば、彼女も共に不安を抱き、進む道を見失ってしまうだろう。
 
 彼女には、いつも笑っていて欲しいから。

 天命を全うするそのときまで、幸せだったと笑っていて欲しいから。

 そのために、僕は溢れんばかりの愛を君に贈ると決めた。

 不安なんて微塵も見せずに、ただ君の手を取って、前だけを見据えて――君の幸せは、僕が命を賭してでも守り通すと決めた。

 もう何者にも邪魔させやしない――奪わせない。

「アルベルト様!」

 君は、その瞳に僕を映して笑ってくれるだけで良い。
 
 ただ僕の隣で笑っていて――
 
 美しく気高き花カトレアの笑顔が、永遠に僕の隣で咲き続けること。

 それが、僕にとっての最大の幸福なのだから――

 
 [第一章 完]


 
 ~*~*~*~*~*~

 ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!
 ひとまず、この話までを一区切りにし、掲載ページで設定している“本編”から“第一章”として区分を変更させていただきます。
 
 新章の開始日は現時点で未定ですが、それまでは第一章の補足も兼ねて、番外編の掲載を予定しております。
 なるべく間を空けないように努めますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いですm(_ _)m
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