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第一章
34.憎しみに燃える悪魔の瞳①
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アルベルトとカトレアが親密であるという噂が、グロリオーサ王立学園内にあっという間に拡散されていった朝のこと。
ルシアが隣の教室前に集う生徒たちに対して、悪魔の囁きとも言える言葉を発したところを目撃していた者がいた。
それはルシアも全く気づいておらず、他の誰も気づいていない。
彼は、カトレアがライモンドから婚約破棄を言い渡された直後に、急速に広まっていった、“カトレアがルシアを虐めている”という噂を全く信用していなかった。
ルシアが被害者ぶって話す内容に真実味がないと、真っ先に気づいたのも彼である。
それは、カトレアを盲信する信者と言っても過言ではない彼が、最初からルシアの言葉を疑っていたからこそ気づいたのかもしれない。
何故なら、彼は唯一、ルシアの悪魔のような所業について知っていたから。
彼は王立学園に入学して以来、三年前、ルシアがスノーベル侯爵家で暮らすようになるまで、未婚の女が産んだ子という理由で日陰者として扱われてきたルシアの腹いせのような嫌がらせ――虐めを受けていたから。
現在、ルシアは堂々とスノーベル侯爵家の名を名乗れるようになったことで気が晴れたのか、彼のことなどすっかり忘れ、視界の端にすら入れなくなったため、虐めを受けることはなくなったが、三年経ったからと言って、その時の恨みが消えるはずもない。
しかし、彼はルシアに復讐をするのではなく、カトレアを守ることに尽力することに決めた。
とはいえ、彼がスノーベル侯爵家の屋敷内に入ることはできないため、学園でルシアの行動を監視することしかできないが。
ルシアが彼を視界に収めないことを利用して、割と近い位置から日常的に監視しているのだが、やはりルシアは気づいていないようだった。
そのため、ルシアが放った言葉を一言一句余さず耳にし、何かを企んだ笑みを堪えているのもしっかり目撃している。
(今度は何をするつもりなのか……)
カトレアからライモンドを奪ったように、アルベルトにも何かするつもりだと推測した彼は、それを報告するため、ひっそりと教室を後にした――
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