4 / 39
4 甘い殺意
しおりを挟む
最近、寝るのが恐くなった。知らない誰かに見られているような気持ちの悪さ。寝たら寝たで、妙な悪夢を見て数時間ほどで目が覚めてしまう。
スマホを手に取り、神様にLINEをした。
『もう寝た?』
『今、髪乾かしてる。もうすぐ寝るとこ』
異常に返信が速い。
『寝るのが恐い』
『ホラー小説書いてるくせに恐がりだよね~。変なの。じゃあ、一緒に添い寝してあげよっか?』
たぶん、僕が頼めば本当に今からでも家に来てくれて、一緒に寝てくれるだろう。とっても優しいから。
『………エッチなことするかも』
『ふ~ん。もしね、もしハクシが私に手を出したら、お姉ちゃんがキレて地獄行き直行だよ? まぁでも、それはそれで面白いかも。私もハクシとくっついて…………。あっ! 忘れないうちに言うけど、枕の下にある包丁は危ないから片付けた方がいいよ。護身用なのか知らんけど』
はぁ? 何言ってんだ。
枕を静かに捲ると、赤黒い刃がチラッと見えた。
「っ!?」
生唾を飲み込む。ドキドキが止まらない。痰が絡んだように息が苦しい。僕を苦しめるアノ頭痛もしてきた。
『は、はやくっ、添い寝してくれ!』
◆◆◆◆◆◆【甘い殺意】◆◆◆◆◆◆◆◆
毎晩、夢に出てくるお婆さん。
包丁を持ち、笑いながら僕を刺すお婆さん。
だけどね、恐くないよ。だって、これが夢だって分かっているから。
夢だから、何されても大丈夫。
殺されても大丈夫。
何日目かなぁ。
夢の中で。僕は、殺される前にお婆さんと色々お話したんだ。
学校やゲームや、テレビの話。
お婆さんは、静かに僕の話を聞いてくれたよ。でも、やっぱり最後は刺されて、殺されちゃったけどね。
そんなことをしていると、いつからかなぁ。お婆さんは、僕を刺さなくなったんだ。包丁も持っていない。笑いながら、僕の話を聞いてくれた。毎晩。
夢の中だけど、僕は友達が出来たみたいで嬉しかった。学校じゃあ、毎日イジメられてたし、家でも親は喧嘩ばかり。僕の話を聞いてくれる人なんて誰もいない。
だからね、最後の夜。
お婆さんとの別れは死ぬほど辛かった。最後は、夢の中で僕は泣いていた。
「どうして、オマエハ、私を恐れない? 」
「だって、僕たちは友達でしょ? 恐いわけない。だから、行かないで。僕を一人にしないで!」
お婆さんは、驚いた顔をした後、大声で笑いながら僕の前から消えた。
朝起きると、僕の枕の下にお婆さんが僕を殺すのに使っていた真っ赤な包丁が置いてあった。
僕は、その包丁を握り、声を出さないで泣いたんだ。
スマホを手に取り、神様にLINEをした。
『もう寝た?』
『今、髪乾かしてる。もうすぐ寝るとこ』
異常に返信が速い。
『寝るのが恐い』
『ホラー小説書いてるくせに恐がりだよね~。変なの。じゃあ、一緒に添い寝してあげよっか?』
たぶん、僕が頼めば本当に今からでも家に来てくれて、一緒に寝てくれるだろう。とっても優しいから。
『………エッチなことするかも』
『ふ~ん。もしね、もしハクシが私に手を出したら、お姉ちゃんがキレて地獄行き直行だよ? まぁでも、それはそれで面白いかも。私もハクシとくっついて…………。あっ! 忘れないうちに言うけど、枕の下にある包丁は危ないから片付けた方がいいよ。護身用なのか知らんけど』
はぁ? 何言ってんだ。
枕を静かに捲ると、赤黒い刃がチラッと見えた。
「っ!?」
生唾を飲み込む。ドキドキが止まらない。痰が絡んだように息が苦しい。僕を苦しめるアノ頭痛もしてきた。
『は、はやくっ、添い寝してくれ!』
◆◆◆◆◆◆【甘い殺意】◆◆◆◆◆◆◆◆
毎晩、夢に出てくるお婆さん。
包丁を持ち、笑いながら僕を刺すお婆さん。
だけどね、恐くないよ。だって、これが夢だって分かっているから。
夢だから、何されても大丈夫。
殺されても大丈夫。
何日目かなぁ。
夢の中で。僕は、殺される前にお婆さんと色々お話したんだ。
学校やゲームや、テレビの話。
お婆さんは、静かに僕の話を聞いてくれたよ。でも、やっぱり最後は刺されて、殺されちゃったけどね。
そんなことをしていると、いつからかなぁ。お婆さんは、僕を刺さなくなったんだ。包丁も持っていない。笑いながら、僕の話を聞いてくれた。毎晩。
夢の中だけど、僕は友達が出来たみたいで嬉しかった。学校じゃあ、毎日イジメられてたし、家でも親は喧嘩ばかり。僕の話を聞いてくれる人なんて誰もいない。
だからね、最後の夜。
お婆さんとの別れは死ぬほど辛かった。最後は、夢の中で僕は泣いていた。
「どうして、オマエハ、私を恐れない? 」
「だって、僕たちは友達でしょ? 恐いわけない。だから、行かないで。僕を一人にしないで!」
お婆さんは、驚いた顔をした後、大声で笑いながら僕の前から消えた。
朝起きると、僕の枕の下にお婆さんが僕を殺すのに使っていた真っ赤な包丁が置いてあった。
僕は、その包丁を握り、声を出さないで泣いたんだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
私の周りの裏表
愛’茶
キャラ文芸
市立桜ノ小路女学園生徒会の会長は、品行方正、眉目秀麗、文武両道、学園切っての才女だった。誰もが憧れ、一目を置く存在。しかしそんな彼女には誰にも言えない秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる