21 / 22
21 15年
しおりを挟む
僕のお気に入りは、彼女だけじゃない。だから手放し、引退も許した。
十五年前。
初めて父に牙を剥いた。
今までずっーーーと、ずっーーーーと僕を暴力で支配してきた父。歯向かう牙はすべて折ったとでも思っていたのだろう。
まさか、こんな幼い我が子に首を噛まれるなんてね~。
まぁ、でもね~。それって油断し過ぎだよね?
夜よりも暗い世界に君臨し、世界中の殺し屋を手の平で転がしてきた父。
そんな父が、僕よりも幼い彼に命乞いをしている。
「たっ、頼む! 助けてくれ」
「………」
「金だろ? いくらだ? そこにいる息子の二倍出すっ!!」
「…………二倍?」
「あ、いやっ! 分かった!! 三倍、いや四倍出す。だから助けてくれ」
「う~ん。ゼロを何倍してもゼロのままだからなぁ」
「お前、なに言っ」
父を警護していた殺し屋ちゃん(死体)の背中に座り、しばらく彼のお遊戯を見ていた。
彼の体を覆う黒いモノ。
いつ見ても気持ち悪い。
………………。
………ふぁ~……。
欠伸をしたら、終わっていた世代交代。胸に穴を空け、動かなくなった父に一度だけお辞儀をし、僕は屋敷に火を放った。
「終わったから帰って良い?」
「うん。たっちゃん、今日はありがとう。最高の誕生日になったよ」
「もしかして………明日からキミが、僕のボス?」
「そうだよ~」
「うぇっ。マジか」
「そんな悲しいこと言わないでよ~」
絶対に引退はさせない。
だって彼は、僕の一番のお気に入りだからね。
十五年前。
初めて父に牙を剥いた。
今までずっーーーと、ずっーーーーと僕を暴力で支配してきた父。歯向かう牙はすべて折ったとでも思っていたのだろう。
まさか、こんな幼い我が子に首を噛まれるなんてね~。
まぁ、でもね~。それって油断し過ぎだよね?
夜よりも暗い世界に君臨し、世界中の殺し屋を手の平で転がしてきた父。
そんな父が、僕よりも幼い彼に命乞いをしている。
「たっ、頼む! 助けてくれ」
「………」
「金だろ? いくらだ? そこにいる息子の二倍出すっ!!」
「…………二倍?」
「あ、いやっ! 分かった!! 三倍、いや四倍出す。だから助けてくれ」
「う~ん。ゼロを何倍してもゼロのままだからなぁ」
「お前、なに言っ」
父を警護していた殺し屋ちゃん(死体)の背中に座り、しばらく彼のお遊戯を見ていた。
彼の体を覆う黒いモノ。
いつ見ても気持ち悪い。
………………。
………ふぁ~……。
欠伸をしたら、終わっていた世代交代。胸に穴を空け、動かなくなった父に一度だけお辞儀をし、僕は屋敷に火を放った。
「終わったから帰って良い?」
「うん。たっちゃん、今日はありがとう。最高の誕生日になったよ」
「もしかして………明日からキミが、僕のボス?」
「そうだよ~」
「うぇっ。マジか」
「そんな悲しいこと言わないでよ~」
絶対に引退はさせない。
だって彼は、僕の一番のお気に入りだからね。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ようこそ精神障害へ
まる1
ライト文芸
筆者が体験した精神障碍者自立支援施設での、あんなことやこんな事をフィクションを交えつつ、短編小説風に書いていきます。
※なお筆者は精神、身体障害、難病もちなので偏見や差別はなく書いていこうと思ってます。

俺はパンツが見れると直観した
黒うさぎ
ライト文芸
駅のホームを歩く女性。そして迫る特急電車。その時俺は直観した。「パンツがみれるぞ」、と。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しています。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。


アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる