【Ｒ18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません！〜

偽りない自分 ※

「……ふぅ…うっ…あぁぁ………」

　口から漏れる甘ったるいあえぎ声が、耳を犯し、脳内を侵食していく。

　首、胸、脇腹、脚へと移っていく愛撫が、徐々に体温を上げていき、焦ったい程の緩慢な動きが、確実に私を追い詰めていった。

「もぅぅ…いやぁぁ……」

「いや、じゃないでしょ。ココもココもココも紅く染まって、誘っている」

「ひっ！やぁぁ……」

　意地悪な言葉と共に、双丘の頂きで自己主張をしている突起を弾かれれば、頭からつま先まで、強烈な痺れが駆け抜け、全身が痙攣する。

「鈴香…イッちゃったの？本当、可愛い」

「も、も……いじわる…しないで」

「意地悪なんてしてないでしょ。鈴香に気持ち良くなってもらいたいだけだよ」

「はぁぁ………」

　耳元で響く艶を含んだ声と共に耳殻を喰まれ、漏れた自身の声にすら感じてしまう。

　鏡の中の自分が涎よだれを垂らし、彼を誘う。上気した頬に、トロンと焦点が合っていない瞳。両脚は、糸が切れたように開ききっている。

　客観的に見れば、決して美しいとは言えない姿を晒しているのに、何故か鏡の中の自分を美しいと感じた。

　欲望のまま、鏡に写る真紘を誘う。

　脱力した脚を持ち上げ、Ｍ字型へと開く。震える指先を、愛液を垂れ流す蜜壺の入り口、二つの花弁へと添えると、グイッと開いた。

　耳元でゴクリっと喉が鳴る音が聴こえる。

　彼もまた、求めてくれていると言う自信が、私を更に大胆にさせていった。

　花弁に添えた指先はそのままに、残っている指を蜜壺の中へと埋めていく。グチュっという音を響かせ、一本、二本と指が埋まっていく光景は、視覚的にも淫靡で、興奮する。ゆっくりと埋められた指を抜き差しすれば、奥の疼きが強くなり、指の動きに合わせ溢れる愛液も増えていった。

「ひっ！…やぁぁ…あぁぁぁぁ……」

　甲高い声が部屋中に響き渡る。

　出たり入ったりを繰り返す指の動きに夢中で、背後から伸ばされた彼の手に気づかなかったのだ。剥き出しになった蜜粒に容赦なく添えられた指先が動く。

「クリも一緒に弄ってあげる」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……」

　摘まれ、潰され、捏こねくり回され、次々に襲い来る強い刺激に、叫声を止められない。あまりの快感に、止まってしまった指も、手首を掴まれ容赦なく動かされ、蜜壺の中をかき混ぜる。

　蜜壺内のシコリを擦る度に湧き上がる快感に、叫声がひっきりなしに上がる。その度に、その部分を擦るように容赦なく掴まれた手を動かされれば、簡単にイクようになってしまった。

　永遠に続くかと思われたイキ地獄は、突然終わりを告げる。

「今夜は優しくしようと思ったけど無理だ。鈴香……煽り過ぎだ」

「へっ⁈……あっ……」

　鏡の中に見えた彼の瞳は、獲物を前に舌舐めずりする獣を彷彿とさせるような色を湛えている。

　あぁぁ、彼が欲しい。

　その場に押し倒され、私の両脚を持ち上げた彼と目が合う。

　燃えるような欲望を隠しもせず、覗かせる瞳を綺麗だと思った瞬間、最奥に打ち込まれた楔くさびに、悲鳴をあげた。

　蜜道をみっちりと埋める楔は、痛いくらいに熱く太い。突然与えられた衝撃に、蜜壺は悲鳴をあげ、痛みを訴える。

　涙の滲んだ瞳で見上げれば、彼もまた苦しそうに顔を歪めていた。

　私の呼吸が整うまで、待ってくれている彼の優しさに胸がキュっとなる。心が満たされれば、痛みで強張った身体も解けていった。

「もう……だ、だいじょ…ぶ……」

「鈴香、ごめん。無理させる……」

　ゆっくりと動き出した楔は、蜜壺の中を丁寧に擦っていく。少しずつ角度を変え抜き差しを繰り返す楔の動きで、蜜道内は緩み快感を得られやすくなっていった。一点を擦られる度、湧き上がる快感が身体を支配し、甘やかな叫声が上がる。

「あぁぁ…いぃ…気持ち…いいからぁ……」

　徐々に速くなる律動に、さらに体積を増した楔に容赦なく感じる場所を突かれ、限界が近い事を悟る。

「……鈴香…愛…愛して……いる。一緒に……」

「あぁぁぁぁ…真紘……」

　耳元で響いた熱い吐息と最奥に叩きつけられた飛沫を感じながら、意識を手放した。



※


　心地よい揺れに、深淵へと沈んでいた意識が浮上してくる。

　気持ちいい……

　全身を包む温かな感触に目を開ければ、靄もやの中に、真っ白な天井が見えた。

「鈴香、目が覚めた？」

　耳元で聴こえた愛しい人の声に、首を動かせばバシャっという音がたつ。

「……真紘…ここ、お風呂？」

「あぁ。鈴香、気絶しちゃったんだよ。そんなに気持ち良かったの」

「ひっ…あぁぁ……」

　腰に回されていた手が悪戯に動き、敏感な部分をスッとなぞり、離れていく。そんな些細な指の動きですら、彼の愛撫に慣らされた身体は、敏感に反応してしまった。

「ま、待って。これ以上は……無理」

「今夜は、もうしないよ。声も枯れているし、一人じゃ動けないでしょ？」

　彼の言葉に、浴槽の縁に手をかけ力を入れようとしたが無理だった。この分だと立つ事も難しいだろう。

「それにしても、今夜の鈴香はエロかったなぁ。あんな誘われ方したら、どんな男だって落ちる。鏡の前で自慰……」

「あぁぁぁぁ、やめてぇぇ」

　恋人から聞かされる自身の痴態ほど恥ずかしいものはない。

　最後の力を振り絞り、暴れてみるが水がチャプチャプと揺れるだけで、大した抵抗にはならない。

　ブクブクと沈んでしまいたい……

「鈴香は、忘れ去りたいのかもしれないけど、俺は忘れないよ。初めて、ありのままの鈴香を俺に見せてくれたんだろう？」

　確かに、あの鏡に映っていた私は欲望に忠実な、ただの女だった。何の鎧も、仮面もつけていなかった。

　そんな私に真紘は欲情してくれた。

　欲望に塗まみれた私を綺麗だと言った。そして、愛していると言ってくれたのだ。

「えぇ……
あんな私でも愛してくれる？」

「もちろん。どんな鈴香も愛している」

　心が満たされていく……

　これからも、ありのままの自分を曝け出すのが怖くなる時が来るだろう。その時は、彼が偽りの仮面を打ち壊してくれる。

　ただ、少しずつ自分も変わっていきたい。ありのままの自分を愛せるように……