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襲来
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「............橘」
振り向いた先にいた思いがけない人物を見つけ、頭が真っ白になる。
ーー何でいるのよ……
何週間と通いつめても、見かけることすらなかった彼が、目の前にいるという現実が受け止められない。
わずかな期待を抱き、このBARに通っていた。最悪な想い出しかないこの場所が、いつの間にか橘真紘と私を繋ぐ大切な場所へと変わっていた。
フラッと現れるのではないかと期待する自分と、来る筈がないと思う自分のせめぎ合いは、いつしか橘真紘は現れないという、諦めの気持ちに支配されていった。
それなのに、何で今日なのだ……
こんな姿、見られたくなかった。元彼との関係を精算し、綺麗さっぱり身軽になるつもりが、逆に追いつめられている。しかも、元彼に肩を抱かれている現状は、側から見たら恋人同士にしか見えないだろう。
ーー最悪だ……
しかし、元彼の手を振り払う事すら出来ず、あまりの事に、ポカンと橘を見つめ、完全に固まっていた。
あぁぁ、このまま全てから逃げ出せたらどんなに楽だろうか……
「そろそろ、その手退けてくれますか?自分の彼女が他の男に触られていると思うとムカつくんで」
「「……はっ?彼女⁉︎」」
見事にハモった疑問符に、さらに頭が混乱する。
橘は、私の事を彼女と言ったのか⁇
意味がわからない。
「そうです。貴方が肩を抱いている女性、俺の彼女ですよ。鈴香さんから聞いていませんか?その様子では、聞いていないようですけど」
「はぁあ‼︎ 嘘も休み休み言えよな。誰に頼まれたか知らねぇが、鈴香に彼氏がいない事は知ってんだよ。会社の後輩か何かかぁ?どうせ、コイツに頼まれて彼氏のフリでもしてんだろう?なぁ、鈴香。彼氏でも連れてくれば、俺があきらめるとでも思ったのか?本当、考えが浅はかだよな。お前に、こんな顔だけいい年下の男、出来る訳ないじゃん」
隣で喚き散らしている元彼の言葉も耳に入らないほど、頭が混乱している。とにかく、今の状況を整理しなければならない。このまま、訳も分からず固まっているなんて出来ない。
「鈴香さんに彼氏がいない?おかしいですね。俺、彼女と最近まで同棲してましたが。何処ぞのストーカーに帰宅途中で襲われそうになった彼女を一時避難する目的でね」
「……おっ、お前!あの時の……」
「思い出して頂けましたか?ストーカーさん。あの時から、すでに鈴香さんとは恋仲です」
「いや…今は、一人で暮らしているはず」
「あぁ、貴方は知らないと思いますが、俺と鈴香さんは同僚でしてね。彼女の希望で、付き合っている事は社内で秘密にしていたんです。だから、同棲していたのも、一時的な避難のつもりだったのか、ストーカーさんの影が消えた途端、さっさと自分の家に帰っちゃったんですよ。俺は、あのまま本格的に同棲に持ち込みたかったんですけどね。それに、貴方があのまま諦めるとは思えなかったし、案の定、こんな事態になっている。彼女は一人でどうにかしようと考えていたようですが……」
奴を見据え淡々と話をしていた橘の視線が一瞬逸れ、私を捉える。その強く鋭い視線に晒され、私の背を冷や汗が伝い、猛禽類に睨まれた獲物の如く、息をする事すら忘れてしまう。
あぁぁ、あの時からずっと彼の強い視線に魅せられ、囚われていた。あの悲しみに満ちた瞳が私を写す度、徐々に変わっていく様に、確かな喜びを感じていた。
悲しみに沈んだ瞳に宿る怒りが喜びに変わり、徐々に光を宿していく。そんな様を見るのが好きだった。
あの強い光を宿した瞳にもう一度、私を写して欲しい……
湧き上がる欲求を裏切るように、フッと外された視線に、胸がズキリと痛む。
本当、嫌になる……
「ところで、何やら色々と鈴香さんを脅してくれたようですが、人の彼女を脅迫するのですから、それ相応の覚悟は出来ているって事ですよね?」
「お、脅す⁉︎はっ?そんな事してねぇよ」
隣から聴こえる上擦った声に、奴もまた橘に気圧されているとわかる。それほどまでに、橘から発せられる威圧は、周囲を圧倒していた。
いつの間にか静まりかえった店内に、ゆったりとしたジャズだけが響く。緊張感に包まれた店内で唯一の救いは、この場所が他の客からは見えない死角となっている事だ。でなければ、興味津々な他の客達の視線に晒されていた事だろう。
「では、アレは脅しではなかったと。何やら、上司との関係がどうとか、写真をばら撒くとか聴こえましたが」
「いや、アレは……」
「それに、鈴香さんを脅していた写真って、もしかしてコレですか?」
「なっ‼︎な、何でお前が持っているんだよ⁉︎」
橘が、掲げたスマホの画面には確かに奴から送られて来た課長との写真が映し出されていた。
ーーなっ…なんで橘が持っているの?
あの写真は、橘との関係を断ち切った後に奴から送られてきたもので、誰にも見せた事はなかった。もちろん、同僚の明日香にも見せていない。その写真を、橘が持っている事実が信じられない。
「言いませんでしたか?鈴香さんとは恋人同士だって。彼女の様子が最近おかしかったので、調べたまでですよ。まぁ、鈴香さんは全く気づいてなかったようですし、バレたら嫌われそうなんでバラしたくなかったんですけどね。これで、信じて貰えました?俺と鈴香さんが恋人同士だって」
「……いや…まさか、そんな筈は……」
「まぁ、貴方がどう思おうが関係ないですが、自分の彼女の側をウロウロされると目障りなんですよ。しかも、こんな写真で脅そうなんて、馬鹿気ている。確かに、見方によってはキスしているようにも見えますが、鈴香さんとココに写っている男の関係性を理解している社内の人間には、貴方の主張は通らない。誰も彼らが不倫関係だなんて思いませんよ」
「そ、そんなの……
お前の勝手な言い分だろ!事実、鈴香はこの男との関係を否定しなかった。本人が不倫関係を認めているんだ。きっとお前が知らないだけで、二人の関係を疑っている奴だって中にはいるだろうよ。それに、俺は鈴香を脅してなんていない。忠告してやっただけだ。不毛な関係を精算して、戻って来いってな。鈴香もやっと目が覚めて、ヨリを戻すって言ってくれた。お前が、鈴香の恋人?コイツが顔だけの年下男なんて相手にする訳ないだろう」
「……ちょっ、違う…………」
勝手な事を言い出した奴の言葉を遮る事も出来ず、ただ二人の会話を傍観するしか出来ない自分自身に腹が立つ。
「……ち、違うの…橘…………」
「本当、ムカつくんでその手退けてもらえますかねぇ」
ドスの効いた声とともに、伸びた手に腕を掴まれ引き寄せられていた。
強い力で抱き締められ包まれた彼の香りに泣きたくなる。少し苦くて、甘い懐かしい匂い。こんなにも、彼を求めている。胸いっぱいに広がる喜びは、もう隠しようがなかった。彼の胸に顔を埋め、漏れそうになる嗚咽を必死で堪える私に囁かれた言葉に力が抜けていく。
「鈴香、もういいよ。あとは、俺がどうにかする」
「ごめん…ごめんなさい……」
「お、お前!手離せよ‼︎」
「鈴香さんが、不倫関係を認めた?おかしいですね。俺の記憶が正しければ、彼女はその写真否定していたと思いますけど。写真の男とは、そんな関係ではないと。しかも、一度たりとも貴方とヨリを戻すなんて口にしてませんよね。それに、俺には貴方が、写真をネタに鈴香さんを脅しているようにしか聞こえませんでしたが、違いますか?」
「どこから聞いて……」
「そんなの始めからに決まっているじゃないですか。言いませんでしたか?最近、鈴香さんの様子がおかしかったので色々と調べさせてもらったと。あの内容は、明らかに脅しですよね?写真を他の奴に売りつけるだなんだとおっしゃっていたようですし」
「そ、そんな事言ってねぇよ。お前の聞き違いだろ!」
「自分の言ったことも忘れたんですか?じゃあ、思い出してもらいましょうか」
「……ろ、録音‼︎……嘘だろう」
「人を脅すときはそれ相応の覚悟が必要だと言いましたよね?貴方が仰ったように、この録音データにも利用価値はあると言うことですよ。貴方も、色々と悪どい方法で上にのし上がったようですし、恨みはたくさん買っているでしょうからね。貴方を今の地位から引きずり下ろしたいと考えている人間に渡ればどうなるかは、頭の良い貴方ならわかるでしょ。まぁ、自分の地位と引き換えにしても、鈴香さんを取り戻す気概があるならどうぞ」
「お前……俺を、脅すって言うのか……」
「脅すなんて馬鹿なマネ、する訳ないじゃないですか。貴方の出方次第で出る所に出ますよって話です」
「なっ!テメェ…………」
殴りかかろうとする奴の手を容易く掴んだ橘が、発した言葉に息を飲む。
「……物産の入江部長、言っている意味分かりますよね?こんな所で油売っている暇ありませんよ。横領の疑いがあるとかないとか……」
「なっ、何で知って……
ちっ!こんな尻軽女こっちから願い下げだ‼︎ わざわざ忠告してやっただけだってのに、勘違いしやがって。金輪際俺に近づくな‼︎」
捨て台詞を吐き、走り去って行く奴の後ろ姿を見つめ、安堵で力が抜けていく。
「鈴香さん、大丈夫ですか?場所を移しましょうか。きちんと話をした方がいいでしょ?」
胸に顔を埋め、コクンっと頷いた私を抱き上げ、彼は歩き出す。
本当の想いを…………
振り向いた先にいた思いがけない人物を見つけ、頭が真っ白になる。
ーー何でいるのよ……
何週間と通いつめても、見かけることすらなかった彼が、目の前にいるという現実が受け止められない。
わずかな期待を抱き、このBARに通っていた。最悪な想い出しかないこの場所が、いつの間にか橘真紘と私を繋ぐ大切な場所へと変わっていた。
フラッと現れるのではないかと期待する自分と、来る筈がないと思う自分のせめぎ合いは、いつしか橘真紘は現れないという、諦めの気持ちに支配されていった。
それなのに、何で今日なのだ……
こんな姿、見られたくなかった。元彼との関係を精算し、綺麗さっぱり身軽になるつもりが、逆に追いつめられている。しかも、元彼に肩を抱かれている現状は、側から見たら恋人同士にしか見えないだろう。
ーー最悪だ……
しかし、元彼の手を振り払う事すら出来ず、あまりの事に、ポカンと橘を見つめ、完全に固まっていた。
あぁぁ、このまま全てから逃げ出せたらどんなに楽だろうか……
「そろそろ、その手退けてくれますか?自分の彼女が他の男に触られていると思うとムカつくんで」
「「……はっ?彼女⁉︎」」
見事にハモった疑問符に、さらに頭が混乱する。
橘は、私の事を彼女と言ったのか⁇
意味がわからない。
「そうです。貴方が肩を抱いている女性、俺の彼女ですよ。鈴香さんから聞いていませんか?その様子では、聞いていないようですけど」
「はぁあ‼︎ 嘘も休み休み言えよな。誰に頼まれたか知らねぇが、鈴香に彼氏がいない事は知ってんだよ。会社の後輩か何かかぁ?どうせ、コイツに頼まれて彼氏のフリでもしてんだろう?なぁ、鈴香。彼氏でも連れてくれば、俺があきらめるとでも思ったのか?本当、考えが浅はかだよな。お前に、こんな顔だけいい年下の男、出来る訳ないじゃん」
隣で喚き散らしている元彼の言葉も耳に入らないほど、頭が混乱している。とにかく、今の状況を整理しなければならない。このまま、訳も分からず固まっているなんて出来ない。
「鈴香さんに彼氏がいない?おかしいですね。俺、彼女と最近まで同棲してましたが。何処ぞのストーカーに帰宅途中で襲われそうになった彼女を一時避難する目的でね」
「……おっ、お前!あの時の……」
「思い出して頂けましたか?ストーカーさん。あの時から、すでに鈴香さんとは恋仲です」
「いや…今は、一人で暮らしているはず」
「あぁ、貴方は知らないと思いますが、俺と鈴香さんは同僚でしてね。彼女の希望で、付き合っている事は社内で秘密にしていたんです。だから、同棲していたのも、一時的な避難のつもりだったのか、ストーカーさんの影が消えた途端、さっさと自分の家に帰っちゃったんですよ。俺は、あのまま本格的に同棲に持ち込みたかったんですけどね。それに、貴方があのまま諦めるとは思えなかったし、案の定、こんな事態になっている。彼女は一人でどうにかしようと考えていたようですが……」
奴を見据え淡々と話をしていた橘の視線が一瞬逸れ、私を捉える。その強く鋭い視線に晒され、私の背を冷や汗が伝い、猛禽類に睨まれた獲物の如く、息をする事すら忘れてしまう。
あぁぁ、あの時からずっと彼の強い視線に魅せられ、囚われていた。あの悲しみに満ちた瞳が私を写す度、徐々に変わっていく様に、確かな喜びを感じていた。
悲しみに沈んだ瞳に宿る怒りが喜びに変わり、徐々に光を宿していく。そんな様を見るのが好きだった。
あの強い光を宿した瞳にもう一度、私を写して欲しい……
湧き上がる欲求を裏切るように、フッと外された視線に、胸がズキリと痛む。
本当、嫌になる……
「ところで、何やら色々と鈴香さんを脅してくれたようですが、人の彼女を脅迫するのですから、それ相応の覚悟は出来ているって事ですよね?」
「お、脅す⁉︎はっ?そんな事してねぇよ」
隣から聴こえる上擦った声に、奴もまた橘に気圧されているとわかる。それほどまでに、橘から発せられる威圧は、周囲を圧倒していた。
いつの間にか静まりかえった店内に、ゆったりとしたジャズだけが響く。緊張感に包まれた店内で唯一の救いは、この場所が他の客からは見えない死角となっている事だ。でなければ、興味津々な他の客達の視線に晒されていた事だろう。
「では、アレは脅しではなかったと。何やら、上司との関係がどうとか、写真をばら撒くとか聴こえましたが」
「いや、アレは……」
「それに、鈴香さんを脅していた写真って、もしかしてコレですか?」
「なっ‼︎な、何でお前が持っているんだよ⁉︎」
橘が、掲げたスマホの画面には確かに奴から送られて来た課長との写真が映し出されていた。
ーーなっ…なんで橘が持っているの?
あの写真は、橘との関係を断ち切った後に奴から送られてきたもので、誰にも見せた事はなかった。もちろん、同僚の明日香にも見せていない。その写真を、橘が持っている事実が信じられない。
「言いませんでしたか?鈴香さんとは恋人同士だって。彼女の様子が最近おかしかったので、調べたまでですよ。まぁ、鈴香さんは全く気づいてなかったようですし、バレたら嫌われそうなんでバラしたくなかったんですけどね。これで、信じて貰えました?俺と鈴香さんが恋人同士だって」
「……いや…まさか、そんな筈は……」
「まぁ、貴方がどう思おうが関係ないですが、自分の彼女の側をウロウロされると目障りなんですよ。しかも、こんな写真で脅そうなんて、馬鹿気ている。確かに、見方によってはキスしているようにも見えますが、鈴香さんとココに写っている男の関係性を理解している社内の人間には、貴方の主張は通らない。誰も彼らが不倫関係だなんて思いませんよ」
「そ、そんなの……
お前の勝手な言い分だろ!事実、鈴香はこの男との関係を否定しなかった。本人が不倫関係を認めているんだ。きっとお前が知らないだけで、二人の関係を疑っている奴だって中にはいるだろうよ。それに、俺は鈴香を脅してなんていない。忠告してやっただけだ。不毛な関係を精算して、戻って来いってな。鈴香もやっと目が覚めて、ヨリを戻すって言ってくれた。お前が、鈴香の恋人?コイツが顔だけの年下男なんて相手にする訳ないだろう」
「……ちょっ、違う…………」
勝手な事を言い出した奴の言葉を遮る事も出来ず、ただ二人の会話を傍観するしか出来ない自分自身に腹が立つ。
「……ち、違うの…橘…………」
「本当、ムカつくんでその手退けてもらえますかねぇ」
ドスの効いた声とともに、伸びた手に腕を掴まれ引き寄せられていた。
強い力で抱き締められ包まれた彼の香りに泣きたくなる。少し苦くて、甘い懐かしい匂い。こんなにも、彼を求めている。胸いっぱいに広がる喜びは、もう隠しようがなかった。彼の胸に顔を埋め、漏れそうになる嗚咽を必死で堪える私に囁かれた言葉に力が抜けていく。
「鈴香、もういいよ。あとは、俺がどうにかする」
「ごめん…ごめんなさい……」
「お、お前!手離せよ‼︎」
「鈴香さんが、不倫関係を認めた?おかしいですね。俺の記憶が正しければ、彼女はその写真否定していたと思いますけど。写真の男とは、そんな関係ではないと。しかも、一度たりとも貴方とヨリを戻すなんて口にしてませんよね。それに、俺には貴方が、写真をネタに鈴香さんを脅しているようにしか聞こえませんでしたが、違いますか?」
「どこから聞いて……」
「そんなの始めからに決まっているじゃないですか。言いませんでしたか?最近、鈴香さんの様子がおかしかったので色々と調べさせてもらったと。あの内容は、明らかに脅しですよね?写真を他の奴に売りつけるだなんだとおっしゃっていたようですし」
「そ、そんな事言ってねぇよ。お前の聞き違いだろ!」
「自分の言ったことも忘れたんですか?じゃあ、思い出してもらいましょうか」
「……ろ、録音‼︎……嘘だろう」
「人を脅すときはそれ相応の覚悟が必要だと言いましたよね?貴方が仰ったように、この録音データにも利用価値はあると言うことですよ。貴方も、色々と悪どい方法で上にのし上がったようですし、恨みはたくさん買っているでしょうからね。貴方を今の地位から引きずり下ろしたいと考えている人間に渡ればどうなるかは、頭の良い貴方ならわかるでしょ。まぁ、自分の地位と引き換えにしても、鈴香さんを取り戻す気概があるならどうぞ」
「お前……俺を、脅すって言うのか……」
「脅すなんて馬鹿なマネ、する訳ないじゃないですか。貴方の出方次第で出る所に出ますよって話です」
「なっ!テメェ…………」
殴りかかろうとする奴の手を容易く掴んだ橘が、発した言葉に息を飲む。
「……物産の入江部長、言っている意味分かりますよね?こんな所で油売っている暇ありませんよ。横領の疑いがあるとかないとか……」
「なっ、何で知って……
ちっ!こんな尻軽女こっちから願い下げだ‼︎ わざわざ忠告してやっただけだってのに、勘違いしやがって。金輪際俺に近づくな‼︎」
捨て台詞を吐き、走り去って行く奴の後ろ姿を見つめ、安堵で力が抜けていく。
「鈴香さん、大丈夫ですか?場所を移しましょうか。きちんと話をした方がいいでしょ?」
胸に顔を埋め、コクンっと頷いた私を抱き上げ、彼は歩き出す。
本当の想いを…………
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