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真紘side
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「橘君、ごめんね。食事付き合ってもらって」
「いいえ。それで相談って何ですか?」
目の前に出された魚介のカルパッチョにも、彩りの野菜サラダにも手をつけず、思いつめたように俯き緊張に耐えていた彼女が意を決したのか、ガバッと顔をあげた。
呼び出された時から、今日起こるであろう事は想像していた。
『近藤麻里奈』社内でも人気の高い女性であることは知っている。そして、彼女から向けられる好意にも気づいていた。
しかし、何の興味も湧かない。
俺の中の『鈴香』の存在があまりに大きくて、誰に対しても食指が湧かなくなった。
彼女から向けられる好意に気づきながら放置していたのは、ただ単に事を荒立てるのが嫌だったから……
いやそんなのは、建前に過ぎない。正直な所、彼女の存在が『鈴香』に与える影響を考えての事だった。
ただ単純に、嫉妬してもらいたかっただけなのだ。
自分でも卑怯な男だと思う。
あの夜、鈴香に別れを切り出されてなお、諦める事など出来なかった。
彼女が言った通り、騙した俺に対する復讐のつもりで今まで同棲していたのかもしれない。そんな心情になっても、おかしくない程の過ちを犯してしまった自覚はある。
ただ、心の何処かであの言葉は彼女の本心ではなかったのではないかと期待している自分がいるのも事実だった。
『好きよ…………………』
夢うつつの中、口走ったあの言葉こそ彼女の本心ではないだろうか。
「……あのね。橘君………………
薄々気づいていると思うけど、今日呼び出したのは、私の気持ちをきちんと伝えたいと思ったからなの」
「気持ちですか……」
「えぇ。橘君は、覚えていないと思うけど、会社で出会う以前に、私達昔会っているのよ。高校生の時かな……
私が高校三年の時、橘君が同じ高校に入学して来たの。当時から、目立つ存在だったわね。学校中の人気者で、平凡な私との接点なんて出来る筈もない、雲の上の人だと思っていた。でもね、運命の悪戯か、彼氏に振られて屋上で泣いていた私に声をかけてくれたのが、橘君だったの。嬉しかったなぁ。ただ、話を聞いてくれるだけで、当時の私は救われた。それから、何度も屋上で顔を合わせるようになって、いつの間にか好きになっていた。でも、最後まで告白すら出来なかった。だって、橘君にとっては、あの女が全てだったでしょ。私が入る隙なんてなかった」
苦い想い出が去来し、消えていく。
当時、俺にとって彼女が全てだった。歳の離れた幼馴染だった『吉瀬美沙江』とは、物心ついた時からいつも一緒にいた。面倒見の良い、優しいお姉さん。そんな彼女との関係が変わったのは、美沙江が大学生になった時だった。まだ、中学生だった俺に離れていく彼女を引き留める術などなく、手の届かない所へと行ってしまう美沙江を意識した時、自身の恋心を自覚した。
あれから数年、何度振られようと追いすがり、やっと恋が実ったのが高校入学の時だった。あの時の俺は、確かに有頂天になっていた。他の女に興味が湧く事などなかっただろう。現に、目の前に座る彼女が話す昔話さえ、全く覚えていない。
「高校を卒業すると同時に、橘君への想いも捨て去った筈だった。でもね、偶然再会してしまった。変わってしまった橘君と。クラブでの貴方は、私の知る橘君じゃなかった。あの場を支配する暴君そのもの。傷ついた私を救ってくれた優しい貴方はどこにもいなかった。そして、知ったの。貴方が、あの女と別れた事を」
確かに、美沙江と別れてからの俺は全てに自棄になっていた。
俺にとって、彼女は特別な存在だった。世界の全てだったと言っても過言ではない。
やり場のない悲しみに支配され、それが怒りへと変わっていく。美沙江にとって俺の存在は、ただの幼馴染に過ぎなかった。いや、それ以下だったのかもしれない。退屈を紛らわすための男達よりも格下の何の価値もない俺。
知らない男の手を取り、去って行く彼女を見つめ、引きとめる事も、その男から美沙江を奪う事も出来ない。自身の不甲斐なさに憤り、やり場のない怒りはいつしか、美沙江を恨み、女という生き物を恨むまでに成長してしまった。
しかし、そんな感情はいつの間にか消えていた。自身の心の中の『美沙江』の存在が小さくなっていた。
もう恋なんてしないと思っていた……
意地っ張りで、不器用な『彼女』の存在がいつの間にか大きくなっていた。
バリバリ仕事をこなす癖に、変な所で抜けている七つ歳上の彼女。恋には疎くて、男女の機微には鈍感なくせに、男慣れした年上女の振りをする。
深く付き合えば付き合う程、彼女が纏った仮面をぶち壊し、本当の『彼女』が見たくなる。あの仮面の下に隠された弱い彼女が見たくなる。
俺の前でだけは、ありのままの姿を見せて欲しいと叫ぶエゴのまま、だいぶ苛めてしまった自覚はある。
もう、嫌われてしまったのかもしれない。彼女が言うように始めから、俺に対する好意などなかったのかもしれない。
彼女の本心がどうであれ、もう諦める事などしない。格好悪くたって、徹底的に追いすがり、手に入れると決めた。
ーー鈴香……
彼女の事を想うだけで、こんなにも心がふるえる。
「橘君、私ね……
もう、後悔したくないの。あの時、貴方に告白していたら、橘君の人生に一石投じる事が出来たかもしれないと思うと悔やんでも悔やみ切れないの。私の存在で貴方の事を救えたかもしれない。全てを諦め、死んだような目をした貴方を救えたかもしれない。だから……」
「近藤先輩。貴方が何をしても、当時の俺には響かなかったと思います。あの頃の俺にとって、美沙江が全てでしたから」
「あの女よね……
でも、今は違うのでしょ?」
「えぇ。俺の真っ黒に染まった心をぶち抜いてくれた人に出会えましたから」
「……そう。鈴香先輩よね?」
「えぇ。そうです」
「やっぱりね。貴方に告白する前に先手を打たれちゃったわ。もう、とっくに私の気持ちには気づいているのでしょ?」
「はい。まぁ、近藤先輩も気づかせるために、色々と工作していたみたいですしね」
目の前に座る彼女は、見た目に反して中々の策士でもある。部署内で、囁かれている俺と近藤先輩の恋人説も、裏で噂を流していたのは、他ならぬ彼女自身だ。しかも、鈴香への牽制目的で俺との仲を取り持つように、持ちかけていた事も知っている。
そのせいで、鈴香との仲が拗れる結果に繋がった訳だが。
「……ふふふ、それも知っているのね。
でも、どんな噂が流れようとも、何度誘っても食いつかないんだもん。嫌になるわよねぇ。でも、今日誘いに乗ったのは、私との関係を終わりにして、鈴香先輩を本気で手に入れるつもりになったって事なの?」
「えぇ、そうです。そろそろ貴方の存在も目障りになって来たので」
「よく、言うわよ……」
「それは、お互い様だと思いますが。色々と引っかき回してくれた事ですしね。おかげで、鈴香との仲は最悪です」
「あら?自然な事じゃない。手に入れるには手段を選ばずってね。橘君だって、同じ考えじゃないの?」
「そうですね。もう後悔はしたくないんで……」
もう、美沙江の時のような後悔はしたくない。俺に背を向け去って行く彼女をただ見つめる事しか出来なかった過去の自分には戻らない。
「橘君も大変ね。相手が、鈴香先輩じゃ苦労するのが目に見えてる。本当、女の趣味悪いわ。まぁ、あの女よりはマシかもしれないけど。あえて言うけど、あの女は強かで残酷な人よ。橘君には、悪いと思ったけど、私なりに彼女の動向は調べさせてもらった。当時から、三股、四股は当たり前、今だって旦那さんがいるのに……」
「それ以上はいい‼︎ もう、美沙江の事はいいんだ」
「……そう。まぁ、いいわ。
さて、結局最後まで告白すらさせてもらえなかったなぁ。私も過去を忘れて前に進まなきゃね。鈴香先輩かぁ……
あの鈍感、無自覚人たらしに苦労すると思うけど、がんばってね。ここのお会計くらいおごりなさいねぇ」
スッキリ顔の彼女が立ち上がり、背を向け去って行く。こころなしか落ちた肩が彼女の本心を現しているようで、僅かに胸の痛みを覚える。以前には、感じたことすらなかった心の変化に改めて、鈴香の存在の大きさを思い知った。
ーー鈴香は、今頃何をしているのだろうか……
最近の彼女の動向は、全て把握しているつもりだ。まぁ、仕事帰りは、ほぼあのBARに立ち寄っているようだが。
優の話では、ヤケ酒のつもりか無茶な飲み方をしていると聞いている。
彼女にとっては、けっして良い想い出などない場所に入り浸っている事実は、俺に僅かな希望を与えてくれる。
まだ、望みはあると……
「どうした?」
「ま、真紘さん!すいません。突然電話して。鈴香さんの事で……」
突然鳴り出したスマホのバイブ音に、電話に出れば、慌てた様子の第一声に心がざわつき出す。
「例のストーカーですが、どうやら鈴香さん、奴と待ち合わせをしているみたいです。鈴香さんの様子も何だか変で。入店した時から思いつめた様子なんです。あのストーカー相手にひとりで暴走するかもしれません。このまま様子見ますか?俺に何か出来る事があれば」
「そのまま二人の監視続けてくれるか?何かあったらメールくれ。あと頼みがある......」
優にある指示を出し、その足で店を出る。
BARでの様子を優に報告させていると鈴香が知ったら、彼女は俺を軽蔑するだろうか?
ある意味、俺も鈴香のストーカーだな。
あのストーカー男が今だに彼女の心を支配しているかと思うと腹わたが煮え繰り返る。
ーーあの男......
奴を追いつめる手札はそろっている。あとは、上手く立ち回るだけだ。
鈴香がヤケを起こさない事を願いつつ、足早にBARへと向かった。
「いいえ。それで相談って何ですか?」
目の前に出された魚介のカルパッチョにも、彩りの野菜サラダにも手をつけず、思いつめたように俯き緊張に耐えていた彼女が意を決したのか、ガバッと顔をあげた。
呼び出された時から、今日起こるであろう事は想像していた。
『近藤麻里奈』社内でも人気の高い女性であることは知っている。そして、彼女から向けられる好意にも気づいていた。
しかし、何の興味も湧かない。
俺の中の『鈴香』の存在があまりに大きくて、誰に対しても食指が湧かなくなった。
彼女から向けられる好意に気づきながら放置していたのは、ただ単に事を荒立てるのが嫌だったから……
いやそんなのは、建前に過ぎない。正直な所、彼女の存在が『鈴香』に与える影響を考えての事だった。
ただ単純に、嫉妬してもらいたかっただけなのだ。
自分でも卑怯な男だと思う。
あの夜、鈴香に別れを切り出されてなお、諦める事など出来なかった。
彼女が言った通り、騙した俺に対する復讐のつもりで今まで同棲していたのかもしれない。そんな心情になっても、おかしくない程の過ちを犯してしまった自覚はある。
ただ、心の何処かであの言葉は彼女の本心ではなかったのではないかと期待している自分がいるのも事実だった。
『好きよ…………………』
夢うつつの中、口走ったあの言葉こそ彼女の本心ではないだろうか。
「……あのね。橘君………………
薄々気づいていると思うけど、今日呼び出したのは、私の気持ちをきちんと伝えたいと思ったからなの」
「気持ちですか……」
「えぇ。橘君は、覚えていないと思うけど、会社で出会う以前に、私達昔会っているのよ。高校生の時かな……
私が高校三年の時、橘君が同じ高校に入学して来たの。当時から、目立つ存在だったわね。学校中の人気者で、平凡な私との接点なんて出来る筈もない、雲の上の人だと思っていた。でもね、運命の悪戯か、彼氏に振られて屋上で泣いていた私に声をかけてくれたのが、橘君だったの。嬉しかったなぁ。ただ、話を聞いてくれるだけで、当時の私は救われた。それから、何度も屋上で顔を合わせるようになって、いつの間にか好きになっていた。でも、最後まで告白すら出来なかった。だって、橘君にとっては、あの女が全てだったでしょ。私が入る隙なんてなかった」
苦い想い出が去来し、消えていく。
当時、俺にとって彼女が全てだった。歳の離れた幼馴染だった『吉瀬美沙江』とは、物心ついた時からいつも一緒にいた。面倒見の良い、優しいお姉さん。そんな彼女との関係が変わったのは、美沙江が大学生になった時だった。まだ、中学生だった俺に離れていく彼女を引き留める術などなく、手の届かない所へと行ってしまう美沙江を意識した時、自身の恋心を自覚した。
あれから数年、何度振られようと追いすがり、やっと恋が実ったのが高校入学の時だった。あの時の俺は、確かに有頂天になっていた。他の女に興味が湧く事などなかっただろう。現に、目の前に座る彼女が話す昔話さえ、全く覚えていない。
「高校を卒業すると同時に、橘君への想いも捨て去った筈だった。でもね、偶然再会してしまった。変わってしまった橘君と。クラブでの貴方は、私の知る橘君じゃなかった。あの場を支配する暴君そのもの。傷ついた私を救ってくれた優しい貴方はどこにもいなかった。そして、知ったの。貴方が、あの女と別れた事を」
確かに、美沙江と別れてからの俺は全てに自棄になっていた。
俺にとって、彼女は特別な存在だった。世界の全てだったと言っても過言ではない。
やり場のない悲しみに支配され、それが怒りへと変わっていく。美沙江にとって俺の存在は、ただの幼馴染に過ぎなかった。いや、それ以下だったのかもしれない。退屈を紛らわすための男達よりも格下の何の価値もない俺。
知らない男の手を取り、去って行く彼女を見つめ、引きとめる事も、その男から美沙江を奪う事も出来ない。自身の不甲斐なさに憤り、やり場のない怒りはいつしか、美沙江を恨み、女という生き物を恨むまでに成長してしまった。
しかし、そんな感情はいつの間にか消えていた。自身の心の中の『美沙江』の存在が小さくなっていた。
もう恋なんてしないと思っていた……
意地っ張りで、不器用な『彼女』の存在がいつの間にか大きくなっていた。
バリバリ仕事をこなす癖に、変な所で抜けている七つ歳上の彼女。恋には疎くて、男女の機微には鈍感なくせに、男慣れした年上女の振りをする。
深く付き合えば付き合う程、彼女が纏った仮面をぶち壊し、本当の『彼女』が見たくなる。あの仮面の下に隠された弱い彼女が見たくなる。
俺の前でだけは、ありのままの姿を見せて欲しいと叫ぶエゴのまま、だいぶ苛めてしまった自覚はある。
もう、嫌われてしまったのかもしれない。彼女が言うように始めから、俺に対する好意などなかったのかもしれない。
彼女の本心がどうであれ、もう諦める事などしない。格好悪くたって、徹底的に追いすがり、手に入れると決めた。
ーー鈴香……
彼女の事を想うだけで、こんなにも心がふるえる。
「橘君、私ね……
もう、後悔したくないの。あの時、貴方に告白していたら、橘君の人生に一石投じる事が出来たかもしれないと思うと悔やんでも悔やみ切れないの。私の存在で貴方の事を救えたかもしれない。全てを諦め、死んだような目をした貴方を救えたかもしれない。だから……」
「近藤先輩。貴方が何をしても、当時の俺には響かなかったと思います。あの頃の俺にとって、美沙江が全てでしたから」
「あの女よね……
でも、今は違うのでしょ?」
「えぇ。俺の真っ黒に染まった心をぶち抜いてくれた人に出会えましたから」
「……そう。鈴香先輩よね?」
「えぇ。そうです」
「やっぱりね。貴方に告白する前に先手を打たれちゃったわ。もう、とっくに私の気持ちには気づいているのでしょ?」
「はい。まぁ、近藤先輩も気づかせるために、色々と工作していたみたいですしね」
目の前に座る彼女は、見た目に反して中々の策士でもある。部署内で、囁かれている俺と近藤先輩の恋人説も、裏で噂を流していたのは、他ならぬ彼女自身だ。しかも、鈴香への牽制目的で俺との仲を取り持つように、持ちかけていた事も知っている。
そのせいで、鈴香との仲が拗れる結果に繋がった訳だが。
「……ふふふ、それも知っているのね。
でも、どんな噂が流れようとも、何度誘っても食いつかないんだもん。嫌になるわよねぇ。でも、今日誘いに乗ったのは、私との関係を終わりにして、鈴香先輩を本気で手に入れるつもりになったって事なの?」
「えぇ、そうです。そろそろ貴方の存在も目障りになって来たので」
「よく、言うわよ……」
「それは、お互い様だと思いますが。色々と引っかき回してくれた事ですしね。おかげで、鈴香との仲は最悪です」
「あら?自然な事じゃない。手に入れるには手段を選ばずってね。橘君だって、同じ考えじゃないの?」
「そうですね。もう後悔はしたくないんで……」
もう、美沙江の時のような後悔はしたくない。俺に背を向け去って行く彼女をただ見つめる事しか出来なかった過去の自分には戻らない。
「橘君も大変ね。相手が、鈴香先輩じゃ苦労するのが目に見えてる。本当、女の趣味悪いわ。まぁ、あの女よりはマシかもしれないけど。あえて言うけど、あの女は強かで残酷な人よ。橘君には、悪いと思ったけど、私なりに彼女の動向は調べさせてもらった。当時から、三股、四股は当たり前、今だって旦那さんがいるのに……」
「それ以上はいい‼︎ もう、美沙江の事はいいんだ」
「……そう。まぁ、いいわ。
さて、結局最後まで告白すらさせてもらえなかったなぁ。私も過去を忘れて前に進まなきゃね。鈴香先輩かぁ……
あの鈍感、無自覚人たらしに苦労すると思うけど、がんばってね。ここのお会計くらいおごりなさいねぇ」
スッキリ顔の彼女が立ち上がり、背を向け去って行く。こころなしか落ちた肩が彼女の本心を現しているようで、僅かに胸の痛みを覚える。以前には、感じたことすらなかった心の変化に改めて、鈴香の存在の大きさを思い知った。
ーー鈴香は、今頃何をしているのだろうか……
最近の彼女の動向は、全て把握しているつもりだ。まぁ、仕事帰りは、ほぼあのBARに立ち寄っているようだが。
優の話では、ヤケ酒のつもりか無茶な飲み方をしていると聞いている。
彼女にとっては、けっして良い想い出などない場所に入り浸っている事実は、俺に僅かな希望を与えてくれる。
まだ、望みはあると……
「どうした?」
「ま、真紘さん!すいません。突然電話して。鈴香さんの事で……」
突然鳴り出したスマホのバイブ音に、電話に出れば、慌てた様子の第一声に心がざわつき出す。
「例のストーカーですが、どうやら鈴香さん、奴と待ち合わせをしているみたいです。鈴香さんの様子も何だか変で。入店した時から思いつめた様子なんです。あのストーカー相手にひとりで暴走するかもしれません。このまま様子見ますか?俺に何か出来る事があれば」
「そのまま二人の監視続けてくれるか?何かあったらメールくれ。あと頼みがある......」
優にある指示を出し、その足で店を出る。
BARでの様子を優に報告させていると鈴香が知ったら、彼女は俺を軽蔑するだろうか?
ある意味、俺も鈴香のストーカーだな。
あのストーカー男が今だに彼女の心を支配しているかと思うと腹わたが煮え繰り返る。
ーーあの男......
奴を追いつめる手札はそろっている。あとは、上手く立ち回るだけだ。
鈴香がヤケを起こさない事を願いつつ、足早にBARへと向かった。
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