上 下
12 / 49

後悔後に佇む ※

しおりを挟む
ーーー後悔先に立たず

先人は上手い事を言ったものだ。今まさに奴の怒りを煽った事を心底後悔していた。sexの経験は元彼一人の私が、美女をより取り見取りして来たであろう百戦錬磨の奴に敵う筈がないのだ。

数十分前の自分を殴り倒してやりたい。下手したてに出ていれば多少は違ったかも知れないのに。こんな責め苦を味わう羽目になる事もなかっただろうに………

もう何度イカされたかわからない。

秘所から響くグチュグチャと鳴る水音にも耳を犯され、頭の中が酩酊していく。

「ひっ‼︎いやぁぁ…もう嫌ぁぁ………」

「くくっ、またイッたの………
イキっぱなしだねぇ。まだ、ココに突っ込んだ訳でもないのに、汁が溢れて止まらないね。シーツがぐっしょりだ」

二つの花弁の縁にかけられた指先が左右へ開かれ、隘路に溜まった蜜がゴプッと溢れ出す様が天井の鏡に写る。

ベット脇のボタンを操作し天井に鏡が現れた時は、なんて悪趣味な趣向だろうとラブホテルの設備を呪いたくなったが、そんな事を気にする余裕すら、今の私には残っていなかった。

鏡に写し出される自身の痴態に視界まで犯され、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、五感全てを支配され、止まらない快感に意識も朦朧としてくる。

「鈴香、まだ意識飛ばすには早いよ。一人だけ気持ち良くなっちゃって………
俺は全く満足してないけど」

「ひっ…いぃぃ………」

突然、秘処に感じた強烈な痛みに落ちかけた意識が引き戻される。

双丘に隠された真っ赤に熟した淫芽を上部に持ち上げられれば、包皮が剥かれ秘されていた突起が顔を出す。その固く立ち上がった真珠に爪を立てられ悲鳴が上がった。

身体を巡る痛みは信号となり、脳髄の奥深くに巣食う快楽の炎を呼び醒まし、震えるほどの快感が全身を駆け抜けていく。

「はっあぁ、あぁぁぁぁ………」

全身を巡った強烈な快感に丸まった足先が宙を掻き、背が弓なりに弧を描く。ブワッと吹き出た汗と共に、秘処から撒き散らかされた液体が、シーツを濡らす。

「………うそっ…漏らした………」

大量の液体を噴き出した感覚が、私を現実に引き戻す。

ーーー失禁するなんて………

茫然自失でベットに横たわり、動かない私の視界に笑みを浮かべた奴の顔が写る。

あぁぁぁぁ、馬鹿にされるのね………

いい歳したおばさんが、気持ち良すぎて失禁するなんて恥でしかない。奴の顔を見ているのもしゃくで、顔を背ける。

「痛みで潮吹くなんて、鈴香はマゾだったんだ………」

「………潮⁈失禁じゃない………」

「えっ⁈潮吹いたことないのか?」

知識としては知っていた。快感が極まり、イキっぱなしの状態になった時、『潮吹き』という現象が起きるらしいと。しかし、まさか尿が噴き出る感覚とあんなにも似ているとは思わなかった。

「はは…ははは………
元彼とのsexで潮吹いたことないのか………」

乾いた笑いを聴き、馬鹿にされた怒りで背けていた顔を奴に向け固まった。

ななな、何て顔して笑うのよぉ………

子供のような無邪気な顔して笑う奴を見て、みるみる頬に熱が溜まっていく。

奴の皮肉に満ちた馬鹿にしたような黒い笑みしか見た事がなかった私の心が掴まれる。

あんな顔も出来るのね………

嬉しさを隠し切れない純粋無垢な笑顔が荒んだ心に温かな火を灯す。

『橘真紘』

奴の本当の姿がわからなくなる。傷心の女の心の隙につけ込んで賭けに勝っても、何とも思わないクズ男。しかも、情事の写真をネタに脅すような奴だ。蛇のように陰険で、獣の王のような残忍な一面を隠し持つ。しかも、自分の思い通りに事が進まなければ、途端に牙をむく。はっきり言って、顔が良いだけの性格最悪なクズだと思う。

しかし、それだけが彼の本質なのだろうか………?

彼の本質は、大人になりきれない子供なのかもしれない。欲望のまま欲しいモノを欲しいと言い、気に入らない事があれば癇癪を起こし、嬉しい事には全力で喜びを表す。

ーーー本当、大きな子供ね………

今まで誰にも指摘されず大人になったから、こんなひねた性格になってしまったのかもしれない。外面そとづらばかり大人になって、内面は子供のまま。

そんな不完全な彼の内面に母性本能が刺激され、胸がキュっと締めつけられる。

「………ふふ…ふふふ………」

「………何が可笑しいんだよ」

さっきまで笑っていた顔が途端に不機嫌になる様を見て、さらに笑みが深まる。

本当、子供みたい………

「ちっ!本当、自分の立場が分かってねぇなぁ」

脱力した身体に与えられた強烈な刺激が心に灯った温かな火を消し去る。隘路を掻き分け侵入した指が内壁をズクズクと掻き荒らし、新たな快感を産む。抜き差しを繰り返す度に溢れ出した愛液を剥き出しの蜜芽に塗り込み、コリコリと扱かれれば、叫声を止めることも出来なくなった。

ーーー思考が霧散していく。

心に僅かに宿った『橘真紘』に対する温かな想いも、いつしか消えていた。

ビクビクと震える身体は、とうの昔に限界を迎えていたが、強い刺激を与え続けられた脳は簡単には落ちてくれない。

蜜道を掻き回す指ですら届かない奥底が疼いて疼いて仕方ない。

「………鈴香、俺が欲しいって言え」

蜜口に充てがわれた切っ先が、ドクドクと脈打つ感覚ですら感じてしまうのか、蜜道がうねり、さらなる蜜を溢れさせる。

「………ふふ………
貴方こそ私が欲しいのでしょ?」

その言葉を最後に私の思考は快楽の海に投げ出され沈んでいった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

推活♡指南〜秘密持ちVtuberはスパダリ社長の溺愛にほだされる〜

湊未来
恋愛
「同じファンとして、推し活に協力してくれ!」 「はっ?」 突然呼び出された社長室。総務課の地味メガネこと『清瀬穂花(きよせほのか)』は、困惑していた。今朝落とした自分のマスコットを握りしめ、頭を下げる美丈夫『一色颯真(いっしきそうま)』からの突然の申し出に。 しかも、彼は穂花の分身『Vチューバー花音』のコアなファンだった。 モデル顔負けのイケメン社長がヲタクで、自分のファン!? 素性がバレる訳にはいかない。絶対に…… 自分の分身であるVチューバーを推すファンに、推し活指南しなければならなくなった地味メガネOLと、並々ならぬ愛を『推し』に注ぐイケメンヲタク社長とのハートフルラブコメディ。 果たして、イケメンヲタク社長は無事に『推し』を手に入れる事が出来るのか。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

あまやかしても、いいですか?

藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。 「俺ね、ダメなんだ」 「あーもう、キスしたい」 「それこそだめです」  甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の 契約結婚生活とはこれいかに。

私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
身長172センチ。 高身長であること以外はいたって平凡なアラサーOLの佐伯花音。 婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。 名前からしてもっと可愛らしい人かと…ってどういうこと? そんな人こっちから願い下げ。 −−−でもだからってこんなハイスペ男子も求めてないっ!! イケメン副社長に振り回される毎日…気が付いたときには既に副社長の手の内にいた。

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

英国紳士の熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです

坂合奏
恋愛
「I love much more than you think(君が思っているよりは、愛しているよ)」  祖母の策略によって、冷徹上司であるイギリス人のジャン・ブラウンと婚約することになってしまった、二十八歳の清水萌衣。  こんな男と結婚してしまったら、この先人生お先真っ暗だと思いきや、意外にもジャンは恋人に甘々の男で……。  あまりの熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです。   ※物語の都合で軽い性描写が2~3ページほどあります。

処理中です...