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第7章 それぞれの未来【ミリア視点】
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しおりを挟む~ルティア視点~
『………完敗だ。今回は君の策にまんまと嵌められたようだ。グルテンブルク王国に来て沢山の仲間を得たようだね。
約束通り、今後いっさい君に干渉する事はしない。私自身もリザンヌ王国としても………好きに生きればいい………』
今朝方、届けられたルカ王太子からの手紙を読み私は歓喜に震えていた。
………これでやっと自由を手に入れられる!
昨晩開かれた王城での夜会………
私にとっても人生の分岐点になった………
ミリア様が夜会に現れるかは五分五分といったところで、夜会の中盤に差し掛かれば隣でため息をつくリドル様の存在もあり、ほとんど諦めかけていた。
そんな時、にわかにザワつき始めた入り口付近からゆっくりと近づいてくる何かに気づいた時、私の心が期待で震えた。
目の前の人垣が割れ現れたミリア様は、妖艶な魅力を放ち、周りの者達の視線を釘づけにし圧倒的な存在感で佇んでいた。
ゆっくりと近づいてくるミリア様に動く事も出来ず、ただ呆然と立ち尽くす私からリドル様の腕を引き、奪い取りキスをする妖艶で色香漂うミリア様の強く輝く瞳に魅了される。
私は妙に納得してしまった………
………リドル様があんなにミリア様に固執する訳を………
………あんなに美しい女性はそういない………
………いいえ………
内から溢れ出す妖艶な魅力を凌駕する程の圧倒的な存在感を放ち、大切な者を守ろうとする強い意志を宿す瞳………
あの強く輝く瞳にリドル様は惹かれたのね………
………そしてルカ王太子も………………
「どうしたの?ルティ………」
部屋に入って来たイアンにルカ王太子からの手紙を手渡す。
「………そう………
やっと自由になれたんだね………」
ソファに腰掛けた私の隣に座って抱きしめてくれる。
「………イアン…本当にありがとう。
貴方がいなかったらここまでたどり着けなかったと思うわ。貴方と出会い、レッシュ公爵家で過ごす日々がなければ今でもリザンヌ王国の操り人形のままだった。私の心を解放し前に進む勇気をくれたのは紛れもなくイアンよ。
………私を愛し導いてくれて本当にありがとう………」
目の前のイアンの頬を両手で包み瞳を見つめ口づけを交わす………
「………ふふふ………
なんだか別れの挨拶みたいだよ…ルティ………
今後もルティアを離すつもりはないよ。邪魔者のリドルもいなくなった事だし、もう遠慮はいらないよね………」
いつの間にか黒い笑みを称えたイアンにソファへ押し倒されていた。
「………ま…待って………」
「もう待てない………………………
公私ともに晴れてルティの婚約者になった事だし、今までは涙を飲んでリドルに譲っていたエスコート役も婚約者として堂々と出席出来る………
………婚約者になってまだ日が浅い僕達はもっと親交を深めるべきだと思わないかい………?」
「………っ‼︎」
ソファに押し倒された私の抗議の声は、仕掛けられた深いキスに飲み込まれ、有耶無耶にされてしまった。
イアンの悪戯に動く手に翻弄され私の官能が刺激される………
直近に香るイアンの匂いに鼻腔をくすぐられ、耳元で囁かれる愛の言葉に私が陥落するのは早かった。
イアンから与えられる官能の波に翻弄されていた私は、静かに部屋に入って来たアンナの怒号で我にかえる事となった。
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