売れ残り男爵令嬢は、うたた寝王女の愛ある策略に花ひらく

湊未来

文字の大きさ
上 下
78 / 92
第7章 それぞれの未来【ミリア視点】

4

しおりを挟む

~リドル視点~

………エリザベスがミリアを連れ去った………

タウンハウスへ帰って来た俺に侍女頭のエマが告げた言葉は衝撃だった。

確かにミリアの様子が少しずつおかしくなっていたのは気付いていた。
ルティア王女との婚約に関してミリアに告げてからだ………

ルティア王女との婚約は俺が断る事が出来ないのに、ミリアとは結婚するつもりだなんて………
自分でも矛盾していると思う。
でもどうしてもミリアを手放すことは出来ず今日までタウンハウスに監禁するような真似をしてきた。

………ミリアが助けを求めたのがエリザベスだったのが救いだ………
これでルカ・リックベンにでも助けを求められていたら最悪だった。
ルティア王女の計画も何もかも失敗するところだった………

ルティア王女との密会という名のルカ王太子を欺くための定期的な会食はずっと続いていたが、今夜の会食の時に、ルティア王女からルカ王太子に勝負を仕掛けた事を聞いた。
勝負の内容は、ミリアが俺を選べばルティア王女はイアンと結婚し、ミリアがルカ王太子を選べばベイカー公爵家へ嫁ぐという衝撃的な内容だったが………

今後、定期的にルティア王女に会う必要もなくなり、これからミリアとの時間を増やし少しずつ気持ちを変えさせようと思っていたのに………



『ミリアはしばらくシュバイン公爵家にてお預かり致します。お兄様に任せていては上手く行くものも上手く行かないと悟りました。お兄様はのんびりと高見の見物でもしていなさい。
わたくしとルティア王女殿下で必ずやミリアの気持ちを変えさせて見せますので………』

シュバイン公爵家に匿われたのなら取り返す事など不可能だ………

俺はエリザベスからの手紙を読み、ただ項垂れるしかなかった。

しかし………ルティア王女殿下とエリザベスはどうやってミリアの気持ちを変えさせるつもりなのだろうか………?

アイツは想像以上に頑固だ………

俺があの手この手で懐柔したが全く自身の考えを変えなかった。
それがたかが数週間で気持ちが変わるとは到底思えない。

ルカ王太子がリザンヌ王国へ帰る日取りが決まった今、全く時間がないのが現状だ。

今度の王城で開かれる晩餐会………
そこでルティア王女は婚約者を決めると言う………
そして、情報によるとルカ王太子がリザンヌ王国に戻るため、我が国を出立するのが晩餐会の翌日との事だ。

ルカ王太子側も時間がないのは、こちら側と同じ………
ルカ・リックベンは必ずミリアに接触してくるはずだ。
だからタウンハウスからミリアを出したくなかったというのに………

シュバイン公爵家へ連れ去られた今、ミリアが望めば街に出る事も可能だろう。

あの底知れない情報網を持つルカ王太子がミリアの行動を把握していない訳がない。すでに、タウンハウスからシュバイン公爵家へミリアが移った事も知っている可能性が高い。

そんな状態でミリアをルカ王太子に攫われないようにする事など本当に出来るのだろうか………

俺は憂鬱な気持ちのまま自室のベットに突っ伏した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~

矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。 隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。 周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。 ※設定はゆるいです。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

【 完結 】「平民上がりの庶子」と言っただなんて誰が言ったんですか?悪い冗談はやめて下さい!

しずもり
恋愛
 ここはチェン王国の貴族子息子女が通う王立学園の食堂だ。確かにこの時期は夜会や学園行事など無い。でもだからってこの国の第二王子が側近候補たちと男爵令嬢を右腕にぶら下げていきなり婚約破棄を宣言しちゃいますか。そうですか。 お昼休憩って案外と短いのですけど、私、まだお昼食べていませんのよ?  突然、婚約破棄を宣言されたのはチェン王国第二王子ヴィンセントの婚約者マリア・べルージュ公爵令嬢だ。彼女はいつも一緒に行動をしているカミラ・ワトソン伯爵令嬢、グレイシー・テネート子爵令嬢、エリザベス・トルーヤ伯爵令嬢たちと昼食を取る為食堂の席に座った所だった。 そこへ現れたのが側近候補と男爵令嬢を連れた第二王子ヴィンセントでマリアを見つけるなり書類のような物をテーブルに叩きつけたのだった。 よくある婚約破棄モノになりますが「ざまぁ」は微ざまぁ程度です。 *なんちゃって異世界モノの緩い設定です。 *登場人物の言葉遣い等(特に心の中での言葉)は現代風になっている事が多いです。 *ざまぁ、は微ざまぁ、になるかなぁ?ぐらいの要素しかありません。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

あなたが選んだのは私ではありませんでした 裏切られた私、ひっそり姿を消します

矢野りと
恋愛
旧題:贖罪〜あなたが選んだのは私ではありませんでした〜 言葉にして結婚を約束していたわけではないけれど、そうなると思っていた。 お互いに気持ちは同じだと信じていたから。 それなのに恋人は別れの言葉を私に告げてくる。 『すまない、別れて欲しい。これからは俺がサーシャを守っていこうと思っているんだ…』 サーシャとは、彼の亡くなった同僚騎士の婚約者だった人。 愛している人から捨てられる形となった私は、誰にも告げずに彼らの前から姿を消すことを選んだ。

処理中です...