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第5章 忘れられない想い【ミリア&リドル編】
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しおりを挟む………本当にルカには最後まで驚かされてばかりね………
私の目の前には白亜の大豪邸が建っている。ビックリし過ぎて言葉も出ない………
馬車で移動中も、何となく外が気になり何度か窓から覗いていたが、進むにつれ豪邸がいくつも建ち並ぶエリアに入り、此処が貴族家のタウンハウスがあるエリアだと分かった。
この場所は王城からも近く、王城で働く大臣や官僚、執務官などの別宅があるエリアとも聞いたことがある。
見てきた家々の中でも一際大きく美しい白亜の邸宅の門扉を馬車が入っていく…
綺麗に手入れをされた道を抜けエントランスに入り馬車は止まった。
ルドルフの手を借り、エントランスに降り立った私は、その足で邸宅内へと案内された。
邸宅内は、所々に趣味の良い絵画や花が飾られ品の良い空間になっている。
………エントランスも開放的で明るい雰囲気だったけど、廊下も絵画や花が飾られ素敵ね………
ルドルフの案内で邸内を進んでいた私は、ある部屋へと通された。
「こちらでルカ様がお待ちです。」
案内された部屋は、綺麗な花々が咲き誇る庭に面していて、テラスから庭に出られる造りになっていた。
テラスに置かれたテーブルチェアにラフな格好をしたルカが座っている。
部屋に入って来た私に気づいたルカは、こちらを振り向き笑顔で迎え入れてくれる………
眩しい程の笑顔に…こちらが恥ずかしくなる………
………本当…天性の人たらしでイヤになっちゃう………
「ミリア…よく来てくれました。お迎えが遅くなり申し訳ありませんでした。」
「そんなことないわ。商会では、お茶にお菓子まで出してもらって、かえって申し訳なかったわ。
………それよりも………
ルカは、随分立派な屋敷に住んでいるのね………ビックリしちゃった。」
「大したことないですよ。ここは別宅ですから………
本宅は、隣国のリザンヌ王国にあります。私はリザンヌ王国出身なんです。」
「え⁈ルカはリザンヌ王国出身だったのね………どうりで、グルテンブルク王国では珍しい銀髪に紫の瞳だったのね。
リザンヌ王国といえば…クーデターの時は大変だったんじゃない?王都も凄く荒らされたと聞いたわ………」
「クーデターの時には、既にグルテンブルク王国に居ましたので大した被害はありませんでしたよ。多少あちらの国でやっていた店は被害を受けましたが、直ぐに鎮圧されましたので………」
ルカの表情は特に変わらなかったが、リザンヌ王国の事を話す時、少し顔を顰めたのでクーデターの時は色々大変だったのだろう………
「それより…ミリアが突然私を訪ねて来るなんて何かありましたか?」
「実は、ベイカー公爵家の侍女を辞めることになったの………
準備が出来次第実家へ帰ることになるからルカにもサヨナラを言いに来たの………
男爵家の仕事を手伝う事になると思うから、もう王都には来れないの。
最後に色々良くしてもらってありがとうね。」
「………待ってくださいミリア………
ベイカー公爵家を突然辞めるなんて何があったのですか?実家の男爵家で急に戻らないといけない程の事があったのですか?」
………ルカが真剣な顔で聞いてくる………
「実家は関係ないわ………
私がベイカー公爵家に勤めるのが辛くなってしまっただけよ。」
「………ベイカー公爵家のリドル様と何かありましたか?
以前に聞きましたよね…辛い恋をしているのかと………
それはリドル様だったのですか?」
「………ルカ…ごめんなさい………
それ以上は答えられない………
………ただ…私の心が耐えられなかっただけ………」
私はルカの前で泣きまいと耐える………
………涙を必死に堪える私をルカが抱きしめてくれる………
「………ねぇ…ミリア………
私と結婚してください………」
「………っ⁈」
「貴方がリドル様を忘れられなくてもいい………身代わりだって構わない………
辛そうな貴方を見ていられない………
私がずっと傍にいます。
必ずリドル様の事を忘れさせてあげるから………」
「………そんなの………ダメよ………」
「いつまででも待ちます。返事は急ぎませんから…私との事、考えてみて下さい。」
私は何も答える事が出来なかった………
ただ、ルカに身を委ね涙を堪えることしか………
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