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第5章 忘れられない想い【ミリア&リドル編】
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しおりを挟む~リドル視点~
………ちゅ………くちゅ………
俺はミリアへの切ない想いをぶつけるように深いキスを落としていた………
キスをした時…緊張に強張らせていた体も今では力が抜け俺に身を委ねてくれている………
俺はミリアを抱きしめたまま、蒸気して紅く染まった顔を見つめる………
キスの余韻でかミリアの放つ色香に煽られる………
………このまま俺だけのモノにしてしまいたい………
暴れ出しそうな欲望をどうにか抑え、ミリアに向き合う。
まだ、何処か虚な瞳のミリアに語りかける………
「ミリアは………
俺が本気でミリアを口説けば、好きになってくれるのか………?
一緒の家にいるのに普通に話すことも出来ないなんて耐えられない」
ミリアを目で追うだけの生活………
遠すぎる主人と侍女の関係は辛すぎる。
ミリアが俺の部屋に毎朝花を飾っていることを知ってからずっと、隣の寝室から様子を見ていた。
毎朝ただミリアを見ていることしか出来ない現実に耐えられなくなるのは早かった。
声をかけたい………
前みたいに気さくに話したい………
………抱きしめたい………
毎朝のミリアの行動を、俺は恥をしのんでアーサーに聞いてみた。
そして早朝に庭の草花の水やりをミリアがしている事を知った。
誰もいない庭で気持ち良さそうに水やりをするミリアを見て思わず近づき、振り向いたミリアに水をかけられた訳だが………
ずぶ濡れになったおかげで、今ミリアを抱きしめられている。
「………ミリア…愛しているんだ………」
「………へっ⁈………リドル様…何を言って………」
「俺の部屋に毎朝花を飾ってくれているのはミリアだろう。専属侍女を辞めてからも俺の事を考えてくれていたんだろう………
もう嫌なんだ………ミリアと離れている生活は………」
俺はミリアを強く抱きしめ想いの丈をぶつける………
飾らない言葉は、泥くさくて正気ならカッコ悪くて絶対に言わないだろう………
「………リドル様………
ダメです………わたくしでは身分が違い過ぎます………
貴方には…身分も教養も兼ね備えたルティア王女様こそふさわしい………」
ミリアが力なく応える………
「身分なんて関係ない………
俺が愛しているのはミリアだけだ………」
「………わたくし………
リドル様の言葉を信じられるほど純粋な子供ではないのです………
打算だらけの大人は…今さら恋なんて出来ない………
誰も私達の関係を許しません………
………どうかわたくし以外の方と幸せになってください………ルティア王女様と………」
放心状態の俺から背を向けミリアが離れていく………
………もう俺の想いは届かないのか………
その場に立ちつくし、部屋を出て行くミリアを見つめることしか出来なかった。
………もうミリアを手に入れる事は出来ないのか………
ミリアを諦めろというのか………
ミリア以外の誰かと幸せになれだと………
………ミリア以外と幸せになんてなれる訳がない!
………ミリアは………
ルカの元に行こうとしているのか………?
そんな事…許せない………
俺の中の仄暗い想いが溢れ出す………
もう遠慮はしない………
使えるものは何でも使ってやる………
『ミリアを領地に呼ぶ計画………すぐに実行してくれ。手遅れになる前に………』
俺はエリザベス宛の手紙をしたため、アーサーに至急シュバイン公爵家へ届けるよう伝えた。
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