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第4章 思惑は交錯する【ルティア編】
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しおりを挟む~イアン視点~
………とうとうルティアと一線越えてしまった………
酩酊状態のルティの可愛い戯言に僕の我慢の糸がぷっつり切れた。
濃厚なキスを仕掛け、服を肌け乳房の柔らかい感触を知ってしまった時には我慢の限界だった。
まさかルティアの口から先を促されるとは思っていなかった………
拒否されても、あそこで止められなかっただろうが………
『イアン………好きなの………』
酔っ払っていて理性がストップしていたとはいえ、僕への想いを言ってくれるとは………
あれは本心だったのだろうか………?
気を失ったルティをレッシュ公爵家に連れ帰り先程侍女に渡して来たが心配ではある。
僕は自室を出てルティの部屋へと向かった。
『トントン』
侍女のアンナが対応に出る………
「ルティア様の様子はどうだろうか?
かなり呑んでいたから心配でね………」
「先程、少し目を覚ましお水を飲まれそのまま直ぐに眠りに落ちました。
………かなりお酒を飲まれた様ですが………
失礼かと思いますが一言よろしいでしょうか。
こちらに来てルティア様はリザンヌ王国の頃と比べとても幸せそうです。
イアン様もご存知かと思いますが、生まれた時から不遇な立場だったルティア様に自由など全くありませんでした。唯一自由に行けたのが図書館だけで、あとは正妃のご機嫌を損ねぬよう自室に籠るしかなかった。
あの頃のルティア様は全てを諦めておられました。
しかし、レッシュ公爵家でお世話になり公爵家の皆様の人柄に触れ少しずつ変わり始めているようです。
そこにはイアン様の存在がとても大きく関わっているようですね………
ルティア様に色々な事を経験させてくださる。
どうかルティア様の心が自由に翔けるよう導いてあげてください………
お願い致します。」
真摯に頭を下げられる………
アンナの主人を想う気持ちが痛いほど伝わってきた………
「今夜は心配をかけて済まなかった。
ルティの心は僕が責任を持って自由にしてあげるよ。リザンヌ王国という鎖からね………」
「………イアン様………
ありがとうございます………」
次の朝具合の悪いルティの口から本心を聞き出した僕は有頂天のまま一日ルティの看病を続ける事にした。
………やっと眠ったか………
恥ずかしがって、自分で食べると言い張るルティに消化の良いリゾットを僕自ら食べさせ、真っ赤になって口を開けるルティに欲情し、ベットに押し倒し可愛い攻防の末、限界を迎えたのか先程ルティは眠りに落ちた。
僕はルティの看病を侍女のアンナに任せ、書籍室へと向かった。
………母上から課せられた課題を解くために………
母上にレッシュ公爵家の家系と歴史を調べてみる様に言われ、多方面から調べるうちに、いくつかの疑問が浮かび上がってきたのだ。
我が国では高位貴族の家系図は、自家にあるのはもちろん王城の図書館にも保管されていて、王城に出入り出来る者であれば誰でも見られる。
レッシュ公爵家の家系図を振り返っていく内に、ある事実が浮かび上がってきた。
『レッシュ公爵家の当主には必ず王家の王女が降下しているのだ。』
今代の様に王家に王女がいない場合を除いてだが………
王家に王女がいるのに、レッシュ公爵家に跡取りとなる息子がいない場合もわざわざ養子をとり当主となり王女を娶っている。他の貴族家では女当主がいる現代でもだ。
まるでレッシュ公爵家の当主の役目が王女を娶る事であるかの様に………
同時に他の公爵家の家系図を調べて見ると極端に王女の降嫁が少ない。
というかほぼないと言っていい………
レッシュ公爵家に嫁いだ王女の姉妹は全て他国に嫁いでいるのだ。
例外は、母上の妹姫だったルシアンナ様くらいだ。ルシアンナ様は、現ベイカー公爵の亡くなった奥方だった。
レッシュ公爵家の歴史とグルテンブルク王家の歴史を照らし合わせても不思議な事が重なっている。
『グルテンブルク王家の危機には必ず古の騎士と呼ばれる集団が登場する』
その騎士団がどういう貴族家で構成されていて誰が在籍していたのかの記録は一切残っていない。
ただ、古の騎士団の活躍にて数々の王家の危機が救われた事実だけが記載されている。
その王家の危機が起こった時期とレッシュ公爵家の私兵が出兵した時期が見事に重なるのだ。
それだけではない、王家の内紛が起こった時レッシュ公爵家が支持した側が必ず次の王位を継いでいる。まるで王家を裏で操っているのがレッシュ公爵家であるかのように………
レッシュ公爵家はあまりにも王家と近過ぎるのだ………
この事実が母上が言っていた王家の秘密と、どう繋がるかはまだ分からないが、レッシュ公爵家が王家にとって重要な役割を担っていることは確かだ。
この事実は、他の公爵家も知らないだろう………
レッシュ公爵家の歴史と家系を知る者にしか導き出せない………
これがルティアを手に入れる鍵になる………
僕は書籍室で再びレッシュ公爵家の歴史を綴った本を開いた。
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