25 / 92
第3章 思惑は交錯する【ミリア編】
閑話 執事アーサーの嘆き
しおりを挟む私は私室にて深いため息を吐いていた………
最近のリドル様はおかしい………
ミリアと何かあったのは確かだ………
使用人に当り散らすことはないが、ベイカー公爵家に居ても自室に籠り出てこない。専属侍女のミリアですら、朝の準備以外入れない始末だ。
………いや………極力ミリアと合わないようにしているのか………
ルティア王女との夜会以降か………
ベイカー公爵様も罪な事をなさる。ふたりの仲が近づいてきた時に思わぬ爆弾を投下されるのだから。
リドル様はルティア王女の婚約者候補………
今回の婚約者候補の選定では、始めレッシュ公爵家のイアン様が決まっていたのだ。
イアン様とルティア王女はリザンヌ王国でも知り合いだったらしく、ルティア王女が婚約を受け入れれば、そのままイアン様との婚約が成立する筈だった。
そこに横ヤリを入れたのがベイカー公爵様だ。
自家にも未婚のリドル様が居るのに婚約者候補になっていないのはおかしいと。
ベイカー公爵家にとってリザンヌ王国との姻戚関係は、今のところ結ぶ必要がない位安定している。
どちらかというとレッシュ公爵家のバックにリザンヌ王国がつく方が四大公爵家同士の釣り合いが取れる。
ベイカー公爵家とシュバイン公爵家が姻戚関係の今、王家は更なる力を得るかも知れないルティア王女との結婚は絶対に許可しないだろう。
『早く結婚させる為にも、こちらから何か仕掛けるのも良いかもしれんなぁ~
恋は障害がある程燃えると言うし。』
私はベイカー公爵様が言っていたことを思い出していた。
………仕掛けるにしても規模がデカ過ぎます………
すでにリドル様はアップアップしておりますのに………
まぁ………公爵様に言わせると『こんな些末な事も解決出来ん男は次期公爵にもなれんわ!』と仰るのでしょうねぇ………
そんな事よりも………
最近ミリアに会いに来る、あの男は誰でしょうね………?
確か、ルカ・リックベンとか言いましたでしょうか。
なかなかの美丈夫………いえ………妙な迫力がある方ですなぁ。
リックベン商会と言えば、ここ数年で急激に成長している商会………
確か、第二王子廃太子事件以降ですね。マレイユ伯爵と繋がっていた組織が壊滅し、その後を埋めるように急激に成長した………裏組織にもかなり顔が利く方のようですが………
はて………ミリアといつ知り合ったのか………?
そういえば、使用人エントランスの門番………彼は最近雇った者でしたね………
使用人エントランスの護衛であれば、新入りでも任せられると思ったが………
これは調べてみる必要がありますね。
ルカ・リックベンの目的が何か………
ベイカー公爵家が標的か………
または………ミリアが標的か………
私は影の者に指示を出す為、私室をあとにした。
1
お気に入りに追加
720
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

【 完結 】「平民上がりの庶子」と言っただなんて誰が言ったんですか?悪い冗談はやめて下さい!
しずもり
恋愛
ここはチェン王国の貴族子息子女が通う王立学園の食堂だ。確かにこの時期は夜会や学園行事など無い。でもだからってこの国の第二王子が側近候補たちと男爵令嬢を右腕にぶら下げていきなり婚約破棄を宣言しちゃいますか。そうですか。
お昼休憩って案外と短いのですけど、私、まだお昼食べていませんのよ?
突然、婚約破棄を宣言されたのはチェン王国第二王子ヴィンセントの婚約者マリア・べルージュ公爵令嬢だ。彼女はいつも一緒に行動をしているカミラ・ワトソン伯爵令嬢、グレイシー・テネート子爵令嬢、エリザベス・トルーヤ伯爵令嬢たちと昼食を取る為食堂の席に座った所だった。
そこへ現れたのが側近候補と男爵令嬢を連れた第二王子ヴィンセントでマリアを見つけるなり書類のような物をテーブルに叩きつけたのだった。
よくある婚約破棄モノになりますが「ざまぁ」は微ざまぁ程度です。
*なんちゃって異世界モノの緩い設定です。
*登場人物の言葉遣い等(特に心の中での言葉)は現代風になっている事が多いです。
*ざまぁ、は微ざまぁ、になるかなぁ?ぐらいの要素しかありません。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
あなたが選んだのは私ではありませんでした 裏切られた私、ひっそり姿を消します
矢野りと
恋愛
旧題:贖罪〜あなたが選んだのは私ではありませんでした〜
言葉にして結婚を約束していたわけではないけれど、そうなると思っていた。
お互いに気持ちは同じだと信じていたから。
それなのに恋人は別れの言葉を私に告げてくる。
『すまない、別れて欲しい。これからは俺がサーシャを守っていこうと思っているんだ…』
サーシャとは、彼の亡くなった同僚騎士の婚約者だった人。
愛している人から捨てられる形となった私は、誰にも告げずに彼らの前から姿を消すことを選んだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる