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第2章 うたた寝王女絶叫編
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しおりを挟む「………ルティ………朝だよ。」
………誰よ………私の眠りを邪魔するバカ者は………
「………ルティ………早く起きないと、その可愛い唇にキスするよ。」
………キス………?
私は急激に眠りから覚醒し、目をパッチリと開けた。
………なぜ?………イアンがいるの?
あれ………王宮の図書館?
寝ぼけた頭が動き出す………
「………きゃ~あっ………」
大絶叫した私の口をイアンの手が塞ぐ………
「ルティ…ダメだよ。まだ朝早いから大声出したらみんな起きちゃうだろう。」
………イヤイヤイヤイヤ………なんで貴方がここにいるのよ!
私はベットの上に寝た状態で、イアンに見下ろされていた。
「大声出さないって約束してくれるなら、手退けるけど…約束出来る?」
私は、コクコク頷く………
「ルティおはよ。最後に王宮図書館で会って以来だから2週間ぶりだね。
元気だった?」
「………イアン………わたくしの上から退いてくださるかしら。」
「それは、ダメだよ。退いたら速攻で逃げそうだし………」
………そうだった………イアンは私の話を全く聞かないんだったわ………
「それよりも、どうしてイアンはレッシュ公爵家にいるの?
………まさか………私の寝顔が恋しくて、一緒について来ちゃったの?」
イアンは一瞬目を見開き、その後肩を震わせ笑いだした………
「…くくっ………どうしてそういう解釈になるかなぁ………」
「ルティ………初めて会った時、名乗らなかったかな?イアン・レッシュ………
レッシュ公爵家の跡取り息子だよ。」
「………‼︎」
私は衝撃で言葉が出ない………
「まぁ………3年も前の話だし覚えてないか。改めて、ルティ………君の婚約者候補のイアン・レッシュだよ。」
イアンは、私を抱きしめ耳元で紡ぐ………
「ルティと王宮図書館で会った最後の日………さよならじゃなくて、違う言葉が本当は欲しかったな。
『わたくしを連れて逃げて………』とね。
そしたら、そのまま連れ去って自由にさせてあげたのに。」
「………⁈」
「ルティア………君はもう逃げられないね。
僕という鎖から………覚悟するといいよ。」
イアンは、放心状態の私に軽いキスを落とすと部屋から出て行った。
………何だったの………開けてはいけない箱を開けてしまったみたいだわ………
私は、アンナが起こしに来るまで放心状態で布団に突っ伏していた。
朝食の席で、レッシュ公爵から紹介されたイアンは、まるで今朝の事がなかったかの様に、爽やかに挨拶をしてきた。
「お初に御目にかかります、ルティア王女様。イアン・レッシュと申します。」
思わずジト目になってしまったのは仕方ないでしょう………
グルテンブルク王国での私の日常は、波乱に満ちたものになりそうだ………
人知れず小さなため息をこぼした………
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