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あふれ出す想い③ ※
しおりを挟む(ハインツ様の指先から、目が離せない……)
秘裂へとゆっくり近づくハインツの指。それを目で追っていたエリザベスは、瞳に写った光景に膝に置いていた手を思わず顔へと戻しそうになった。
ぷっくりと膨れた二つの花弁に添えられたハインツの指先に力がこもり、グイッと割り開かれたのだ。
「やぁっ、あぁぁ!!」
誰にも暴かれたことのない最奥。それをハインツに覗き込まれていると言う感覚がエリザベスを追いつめ、おかしくさせる。
正気の時であれば、秘裂を割り開かれ覗きこまれるなどという破廉恥な状況、到底受け入れられなかっただろう。
しかし、今のエリザベスには『ハインツに秘部を見られている』という状況ですら、狂おしいほどの快楽を得るためのスパイスでしかなかった。
ハインツの指が、二つの花弁の縁をゆっくりとなぞる。
その緩慢な動きだけでは、劣情を煽られるだけで決定的な刺激にはならない。
もどかしいほどの疼きが、腹の奥底で燻り続けている。
(あぁぁ、早く……早く、ほしい……)
あの夜知った突き抜けるような快感が欲しい。
快楽を欲しがり、貪欲なエリザベスの身体が揺れる。
その時だった。
「ヒッ!! いっ……あぁぁ……」
突然、襲ってきた痛みにエリザベスの身体が弓なりにしなる。
二つの花弁の奥、まだ何物も受け入れたことのない蜜つぼに指を突き入れられたのだ。
「やはり、きついか……。あぁ、すまなかったね、エリザベス。泣かないで」
痛みで反射的に流れた涙をハインツに拭われる。
その行為があまりに優しくて、あふれ出した涙が止まらなくなっていた。
(うれしい……)
この先の行為が、どんなものかエリザベスは知っている。
閨の知識を身につけることも、王子妃教育の一環として学んでいた。その行為が、強烈な痛みを伴うであろうことも。
ハインツの指を入れただけで、あんなに痛かったのだ。男性の性器を突き入れたら、エリザベスの華奢な身体などひとたまりもないだろう。
(……きっと、さけてしまう)
それでも、よかった。
ウィリアムに蔑ろにされ続けたエリザベスにとって、惜しみない愛を注ぎ、甘やかしてくれるハインツの存在は、かけがえのないものへと変わっていた。
(この先の行為を受け入れることで、ハインツ様が喜んでくれるなら……)
「……ハインツ…さま。だい、じょうぶ……ですから。つづき、を……」
「エリザベス……、自分が言っていることが、何を意味するかわかっているのですか?」
「わかって…いる、から……、ハインツ…さま……うばって……」
見上げた先のハインツの顔が苦しそうに歪む。
本当はわかっていた。ハインツがエリザベスの処女を奪うことはしないだろうと。
最後の最後で、彼の優しさがエリザベスの純潔を奪うことをためらわせる。
だからこそ、エリザベスは自らの想いをハインツに伝えなければならない。
己を差し出すことで――
「おね、がい……、ハインツ、さま。あなたに、うばってほしいの……」
「くそっ!! もう、止まれないからな」
その言葉を最後に、エリザベスの脳は快楽の淵へとおとされ霞がかっていく。
奪うように重ねられたハインツの唇が、エリザベスを翻弄する。
縦横無尽に動き回る舌に口内を侵され、それと同時に胸を激しくもまれれば、引きかけていた熱が急速に高められていった。
「ひぃぃ……ん、あぁぁ……」
乳房の頂へと到達したハインツの唇に、硬くシコった紅い実を含まれ舐め転がされれば、エリザベスの口からは、ひっきりなしに叫声があがる。
(あぁぁ、もっと……、もっと欲しい……)
痺れるような快感を求め、エリザベスの腰がゆれる。
腹の奥底が疼いて仕方がない。
ハインツから与えられる快感を受け入れ、蜜つぼからあふれる愛液が尻を伝い落ちていく。
「エリザベス、コレを使えば少しは痛みが楽になる」
そう言って見せられたのは、ガラス瓶に入った金色の液体だった。陽の光に照らされ、キラキラと輝く液体をエリザベスは不思議そうに見つめる。
「……なに…、それ……?」
「はちみつだ」
「……はちみつ?」
「そう、はちみつ。コレを指にまとわせて、エリザベスの中に入れる」
カラカラっとガラス瓶の蓋を開けて、金色の液体の中へとハインツの指が差し込まれる。
その様をエリザベスはぼんやりと眺めていた。
ハチミツの中へ入れた指が持ち上がり、トロッとした液体が滴り落ちる。
(あの指が……、中へ入ってくる……)
そんなことを頭の中で考えていたエリザベスには、ただハチミツが落ちる光景ですら淫雛に写り、腹の奥で燻り続ける官能の炎を燃え上がらせる。
ハインツの指を伝い落ちていくハチミツ。
手の縁を伝い、腕の方へと流れていく金色の液体を、ハインツが舐め上げる。その光景があまりにも淫美で、目が離せない。
「このハチミツと、エリザベスの愛液が混ざったら、極上のデザートになるだろうね」
ハインツの言葉に全身が疼き、腹の奥底から湧き出た愛液が隘路を流れ、秘裂からあふれ出した。
「試してみようか、エリザベス」
エリザベスの喉が、期待からゴクリっと鳴る。
ハチミツをまとったハインツの指先が降りていき、ぷっくりと膨れたふたつの花弁に到達した時、エリザベスの脳内で火花が散った。
「はぁぁぁぁぁ……、きもち、いいぃぃ!!」
閉じかけていた花弁を割りひらき、ハインツの指が上に下にと動く。
始めはねっとりと、緩慢だった動きも徐々に早く激しくなっていく。そして、唐突にその時は訪れた。
「ひっ!! イクぅぅっ!!!!」
包皮に隠されていた秘豆をハインツの親指の腹で強く潰されたのだ。
ふにゃふにゃと摘み、転がされていた秘豆への甘い愛撫とは比べものにならないほどの、鋭い刺激。散々高められていた官能が、一気に落ちる感覚に、エリザベスは叫声を上げ果てた。
「エリザベス、えらいですね。ちゃんと『イクっ』って言えて。今度はちゃんと私の名前も呼んで」
緩みきった身体をブランケットに投げ出し大きく肩で息をするエリザベスには、もうハインツの声は届いていなかった。
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢
「はぁぁぁ……、いぃぃん……ハインツさま……」
ハインツの指に隘路を穿たれてどれくらいの時間が過ぎたのだろうか。
指一本でも痛みを訴えていたエリザベスの蜜つぼは、今やハインツの指を三本も美味しそうに咥え込んでいる。
じゅぷじゅぷと指を動かす度にあがる卑猥な音にもエリザベスの官能は刺激され、全身を甘く苛んでいた。
「上手ですよ、エリザベス。もう、指を三本も咥え込んでいる。ほらっ、もう一度、イッて」
隘路を穿つハインツの指が、ある一点を擦るたびに起こる狂おしいまでに激しい快感が、再びエリザベスを襲う。
(やぁぁ、またきちゃう!!!!)
「あぁぁ!! イクっ! ハインツ様、いっちゃ、うぅ……」
プシャと潮を撒き散らし、弓なりにのけぞったエリザベスの身体は、次の瞬間には落ちる。
そんな状態を何度も何度も繰り返したエリザベスには、ここがシュバイン公爵邸の敷地内であることも、誰に見られるかもわからない屋外であることも、きれいさっぱり頭の片隅から消え去っていた。
今のエリザベスの頭にあるのはただ一つ。
この甘い拷問から解放されたい。その一点だけだった。
「……もう、もう…、無理……、いけない、から……」
「エリザベス、まだダメです。もっと、慣らさないと貴方を壊してしまう」
「いや……、いやよ、もう無理だから……」
これ以上の快感が続くのは、辛すぎる。
イッても、イッても終わらない愛撫に、エリザベスの身体はとろけきっているのに、まだダメだと言うハインツの言葉に涙が込み上げる。
(おさまらないのぉ……、疼きがおさまらない……)
腹の奥底で燃え続ける疼きは、もう抑えられないところまで来ていた。
「ハインツさま……、もう我慢できない。お腹の中が、疼くの……」
「エリザベス……」
「――だから、お願い。疼きをとめて……」
最後の力を振り絞り足を開くと、愛液で濡れそぼった二つの花弁に自らの指を添え、割り開いた。
ハインツの喉が、ゴクリっと嚥下する。
「エリザベス、もう後戻りはできないのですよ。それでも、私が欲しいですか?」
「ハインツ様が……、ほしいの……」
その言葉に嘘偽りはなかった。
(ハインツ様になら、純潔をささげてもいい)
バックルをガチャガチャと外す音が響き、エリザベスの蜜口にハインツの楔が充てがわれる。
その感触にエリザベスの蜜口から愛液があふれる。
「エリザベス、愛している――」
その言葉を最後に唇が塞がれ、誰も受け入れたことのないエリザベスの最奥へと、楔が打ち込まれたのだった。
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