海とともに〜海賊に拾われましたが優しいクマ共に頑張ります〜

猿山 龍

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1.出会い

可愛いお前と誠実に

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次の日朝起きて日菜の部屋まで行ったが中から気配がなく、食堂に行ったと思い向かうことにした。

その途中でオスカーに会う。

「よう!昨日はあの後どうだった?」

「やはり飯は自分のか手を加えにくいもの、目の前で作るかしないと無理そうだ」

「そうか…あいつも今まで大変だったんだな…」

「俺がしっかり守る」

オスカーがジッとこちらを観察する。

「もしそれであいつが船を降りたいと言ったらどうする?」

「無理矢理一緒でもあいつは幸せにはなれないが俺はあいつの味方であり続ける」

「そうか。そんなに惚れ込んでるんだな」

はぁ?俺が日菜に惚れている?
頭がこんがらがりそうになっているとザックが声をかけてくる。

「おはようっす!こんなところで何してるんっすか?」

「ちょっと話したいただけだ。飯を食いに行こう」

そういいオスカーは歩き出す。

食堂に着くとはやり日菜はもういて手伝いをしていた。
オスカーやザックが声をかけている。

飯を受け取る時に日菜に話しかける。

「無理してないか?」

「無理はしてません。ありがとうございます」

嘘入っていないようで顔色もいい。
頷きそのまま席で飯を食べる。
他のクルーもやってきていつも通り賑やかな食堂になる。




しばらく海賊船や海軍に会うこともなく平穏な日々が続いた。

カンカンカン!

「前方に敵の海賊船!!こちらに向かっているもののよう!!」

見張り台にいた檣楼員(しょうろういん 見張り番のこと)が大きな声で叫ぶ。

「このまま進む!迎え撃て!!」

海賊の本番だ。闘志が燃えるのを感じると同時に日菜を探す。安全な場所に隠さなければ…

「部屋に隠れていろ。俺が呼びにくるまで何があっても出てくるな」

「わかりました」

真っ直ぐにこちら見てくる。
不安というような感じはない。
妖というものと戦っていたと聞いていたから経験があるのかもしれない。

日菜を船内に入れ、戦いの準備をする。
遠距離からの魔法を打てるものは限られているが備えておかなければあとあと困る。

敵がどの船かを確認しようとすると

「相手は最近ここいらで好き勝手はしゃいでいるやつだ」

「俺達も舐められたもんだな」

この世界で1番多い戦い方は己の肉体を鍛えて強化魔法を使い、拳や剣などの武器を使い戦うことだ。
水や炎などの自然系の魔法があるのにそれを戦闘に持ちいらない理由は単純でそもそも戦闘向きではない。
まず自然系で攻撃するには相手に近づいて防御魔法を破壊する必要があるし、強化魔法の攻撃を避けなければならない。
それをするなら強化魔法を使い殴った方が楽だ。

「夕闇のクマの首を取れば箔がつく。
いけー!お前ら!!」
「おおーー!!」

「おめぇらぁ!夕闇海賊団の力を見せてやれ!!」

そうして戦闘が始まった。



俺達の勝利に終わった。
大した敵ではなかったが少しクルーに怪我人がでて、グレイがそれを見ている。
いつも通り指示を後処理の指示をだし日菜の部屋へといく。

返り血を浴びているが隠すつもりはない。
もしあいつが仲間になるなら海賊というものを理解してもらわないとダメだ。
日菜は俺達に誠意と言って過去を話してくれた。
なら俺も隠さずに見せなければその誠意を汚すことになる。

日菜の部屋の前につき声をかける。
ドアを開けて日菜の顔が見えた。

「怪我はありませんか?」

返り血を見て少し驚いたが怖がっている様子はない。

「俺は大丈夫だ。クルーの中には怪我をしたやつもあるが死人はいない」

「ならよかったです」

安堵したように言われた。
嫌われないか怖かったから心底安心する。

「手当が必要なら自分お手伝いできます」

少し悩んだが日菜も戦闘経験があるものだし、俺達の戦場を一度見た方がいいと思い承諾した。

甲板に向かうドアを開けようとすると日菜の手を掴む。
こいつは一度も望んで戦場に立っていない。
もう見たくないのなら見せない方がいいのではと迷ってしまった。

「その先は戦場だった場所だ」

大丈夫かと意味を込め日菜を見つめる。
しっかりこちらを見つめてきて

「大丈夫です。今まで見てきましたから」

とハッキリ言われる。
大丈夫だと思い手を離す。
そうして日菜は自らの意志でドアを開けた。

甲板に出るとそこは先程まで悲惨な戦いがあったと伺えるように血まみれだった。

やってきた俺達に気づいたクルーから周りが何つれてきている!と批難される。

「日菜は俺達の仲間に誘った。
返事は貰ってないが守るにしても海賊というものを理解せずに仲間にする訳にはいかない」

俺達は海賊だが仲間になるものを騙し討ちしたくないそう思い言うと周りもそれを汲み取ったのか静かになる。

「前にいた場所でも血まみれの世界を見てきました。
これぐらいは大丈夫です」

真っ直ぐ前を向く日菜が美しいと思った。
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