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1.出会い
仲間
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目を覚ますと部屋には誰もいなくなっていた。
どうやら泣き疲れて寝てしまったようだ。
ガチャ
「起きていたか」
部屋に入ってきたヴィルターはお盆を持っていて、上にはパンがゆがのっていた。
「飯、食べられるか?」
そっと差し出されたかゆはとても美味しそうだ。
申し訳なく思いながら
「自分は他者から出されるものが食べられないんです。
多分、店のも含めて…」
反応が怖くて下を向いていると
「そうか」
それだけ言って頭をゆっくり撫でてきた。
「無理はしなくていい。だが食べないとダメだから何か食べられそうなものはないか?」
すごく…すごく優しい声で聞かれた。
「多分、果物とかキールが使っているところを見ながらできた料理なら食べられるかもです。
熱はないので許可をくれるなら自分で作ります」
「そうか」
そう言って部屋を出ていってしまった。
どうすればいいかわからず悩んでいたら数分後に帰ってきた。
その手にはりんごを持っていた。
そのりんごを差し出される。
食べろということかな…
「ありがとうございます」
吐くかもしれない。
食べられなかったら不愉快にさせるかもしれない。
そう思いながら意を決して口に含んだ。
シャリ
口には瑞々しい甘みが広がる。
りんごなんで母が生きていた頃以来ではないだろうか?
食べた記憶など全くない。
「美味しいです」
他者が差し出したものを食べられる。
そう思うとなぜが安堵がする。
ずっと気を張っていたのかもしれない。
「そうか」
自分の顔に手を伸ばし目元を拭く。
どうしたのかと思い見上げると
「泣いてる」
そこで気づいた。
また泣いている。
何年越しに泣いたことにより涙腺がバカになったのかもしれない。
「他者からのものが食べられなくなったのは昔飲んだジュースが関係しているのか?」
「多分…そうだと思います…
最もそれ以降ゴミの中から食べられるものを探して生きてきましたが…
たまたま依頼人が出す茶菓子が食べたら吐き気に襲われて…それが続いたから気づいたんです。
まぁ、そもそも妖は子供や死期が近い、特殊な状況とか出ない限り一般人には見えないので怪奇現象が起こってるだけで呼ばれると偽物だ、ぼったくりだっていった雰囲気で訝しまれることも多いので変なものも混じっていたのかもしれませんが…」
また頭を撫でてくれた。
「ゆっくりでいい。慣れてけ。ここにはお前を害するものはいない。俺は日菜を夕闇海賊団の一員になって欲しい」
目を見開いてヴィルターを見る。
冗談を言っているように見えない。
「仲間になるか決めるのはお前だ。急がなくていい。
だが俺は海賊だからお前がいいと言うまでずっと勧誘し続ける。」
「あ、り、がとうございます」
声が震えてることがわかる。
この人はなんでこんなに温かいのかな…
「グレイからの伝言だ。
熱が下がったから今日1日寝て、明日からは普通に過ごしていいが栄養はしっかり取り定期的に医務室へ診察されにこいとのことだ」
「わかりました… ご迷わ、、ありがとうございます」
また謝ろうと思ったが謝らなくていいと言われたことを思い出しお礼を言う。
まるでそれでいいと言わんばかりに頭を撫で部屋を出て行った。
「自分は自由にしていいのだろうか…」
まだ呪いは解けてない…
解呪方法もわかっていない。
抵抗により呪いが元々の形を成しておらず条件がわからなくなってしまった。
けどこの世界にあいつらはいない。
なら、なら自分は好きにしていいのかな…
自分は仲間を求めていいのかな…
そう考えながらまた眠りについた。
どうやら泣き疲れて寝てしまったようだ。
ガチャ
「起きていたか」
部屋に入ってきたヴィルターはお盆を持っていて、上にはパンがゆがのっていた。
「飯、食べられるか?」
そっと差し出されたかゆはとても美味しそうだ。
申し訳なく思いながら
「自分は他者から出されるものが食べられないんです。
多分、店のも含めて…」
反応が怖くて下を向いていると
「そうか」
それだけ言って頭をゆっくり撫でてきた。
「無理はしなくていい。だが食べないとダメだから何か食べられそうなものはないか?」
すごく…すごく優しい声で聞かれた。
「多分、果物とかキールが使っているところを見ながらできた料理なら食べられるかもです。
熱はないので許可をくれるなら自分で作ります」
「そうか」
そう言って部屋を出ていってしまった。
どうすればいいかわからず悩んでいたら数分後に帰ってきた。
その手にはりんごを持っていた。
そのりんごを差し出される。
食べろということかな…
「ありがとうございます」
吐くかもしれない。
食べられなかったら不愉快にさせるかもしれない。
そう思いながら意を決して口に含んだ。
シャリ
口には瑞々しい甘みが広がる。
りんごなんで母が生きていた頃以来ではないだろうか?
食べた記憶など全くない。
「美味しいです」
他者が差し出したものを食べられる。
そう思うとなぜが安堵がする。
ずっと気を張っていたのかもしれない。
「そうか」
自分の顔に手を伸ばし目元を拭く。
どうしたのかと思い見上げると
「泣いてる」
そこで気づいた。
また泣いている。
何年越しに泣いたことにより涙腺がバカになったのかもしれない。
「他者からのものが食べられなくなったのは昔飲んだジュースが関係しているのか?」
「多分…そうだと思います…
最もそれ以降ゴミの中から食べられるものを探して生きてきましたが…
たまたま依頼人が出す茶菓子が食べたら吐き気に襲われて…それが続いたから気づいたんです。
まぁ、そもそも妖は子供や死期が近い、特殊な状況とか出ない限り一般人には見えないので怪奇現象が起こってるだけで呼ばれると偽物だ、ぼったくりだっていった雰囲気で訝しまれることも多いので変なものも混じっていたのかもしれませんが…」
また頭を撫でてくれた。
「ゆっくりでいい。慣れてけ。ここにはお前を害するものはいない。俺は日菜を夕闇海賊団の一員になって欲しい」
目を見開いてヴィルターを見る。
冗談を言っているように見えない。
「仲間になるか決めるのはお前だ。急がなくていい。
だが俺は海賊だからお前がいいと言うまでずっと勧誘し続ける。」
「あ、り、がとうございます」
声が震えてることがわかる。
この人はなんでこんなに温かいのかな…
「グレイからの伝言だ。
熱が下がったから今日1日寝て、明日からは普通に過ごしていいが栄養はしっかり取り定期的に医務室へ診察されにこいとのことだ」
「わかりました… ご迷わ、、ありがとうございます」
また謝ろうと思ったが謝らなくていいと言われたことを思い出しお礼を言う。
まるでそれでいいと言わんばかりに頭を撫で部屋を出て行った。
「自分は自由にしていいのだろうか…」
まだ呪いは解けてない…
解呪方法もわかっていない。
抵抗により呪いが元々の形を成しておらず条件がわからなくなってしまった。
けどこの世界にあいつらはいない。
なら、なら自分は好きにしていいのかな…
自分は仲間を求めていいのかな…
そう考えながらまた眠りについた。
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